半導体受託生産・SMIC:12インチウエハー工場新設へ!

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投資額は約1兆円!
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中国の半導体受託生産大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)が生産拡大の動きを強めている。北京と深せんでの生産拡大プロジェクトの始動を発表したのに続き、9月3日には上海自由貿易試験区臨港新片区(エリア)管理委員会と協力枠組み協定を締結した。第三者資金と共同で88億7千万ドル(約9800億円・1ドル=約109円)を投じ、月産10万枚の12インチウエハー工場を建設する。SMICは半導体の生産能力を増強する。
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上海市政府直属で貿易や投資などの改革を進める自由貿易試験区の管理委員会などと共同出資で新工場を建設・運営する新会社を設立することで合意した。新工場は直径12インチのシリコンウエハーを月10万枚生産する能力を持つ。
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新会社の資本金は55億ドル。出資比率はSMICが51%以上、上海市政府側は25%以下で、ほかの投資家からの出資も募集する。新工場の建設開始時期や稼働時期などについては明らかにしていない。
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新工場で生産する半導体は回路線幅が28ナノ(ナノは10億分の1)メートル以上の製品。米商務省は2020年12月、安全保障上問題がある企業を並べた「エンティティー・リスト」にSMICを加え、10ナノメートル以下の半導体生産に必要な製造装置などについて許可を原則出さない方針を出した。SMICは28ナノメートル以上の技術を採用することで制裁の回避を狙うとみられる。
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趙海軍・共同最高経営責任者(CEO)は8月の決算説明会で、「28ナノと14ナノの設備を輸入するにあたり、米当局の許可取得が遅れており、サプライヤーと協力して努力している」と述べており、新工場が計画通り稼働するか不透明な要素もある。
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習近平指導部は15年に発表したハイテク産業育成策「中国製造2025」で半導体産業を重点産業に位置づけた。20%未満とされる半導体の国内自給率を25年をめどに70%まで引き上げる目標を掲げている。
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21年からの5カ年計画で半導体を戦略的な重点科学分野に位置づけ、外国からの制裁に影響されない独自供給網の構築をめざす。高い成長を続けるSMICは中国の半導体業界をけん引する企業だ。
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SMICは同日、経営トップの周子学董事長が健康上の理由で退任すると発表した。指名委員会のトップからも退く。中国メディアによると、周氏は1956年生まれ。現在の工業情報化省で電子産業畑を歩み、2015年からSMICの董事長を務めていた。高永崗・最高財務責任者(CFO)が代理を務めるとしている。
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業界関係者は、ウエハー受託生産業界の好景気が少なくとも2023年まで続くとみている。業界世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)も10年ぶりの全面値上げを発表しており、値上げは集積回路(IC)の旺盛な市場ニーズに伴う供給不足を反映している。
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