廃棄物・有価物の偽装工作:脱法行為の主役につくか!

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ますます巧妙・知能的に!
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擬装工作・その1:運搬費に見せかける
廃棄物処理法では、100円でも金を払って購入したものは廃棄物ではない。法の適用がなくなるため、廃棄物を原材料として購入する契約を結び、その一方では廃棄物の運搬費を請求するというやり方だ。
たとえば、ダンプ1台10、000円で廃棄物をリサイクル減量として購入したことにしておき、ダンプ1台8万円の運搬費を請求する。結果的には、7万円で廃棄物の処理を受託したのと同じ。
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廃棄物である場合は廃棄物処理法が適応されるので、排出物が廃棄物か否かに注意して適切に管理しなければなりません。判断する際は、平成25年3月29日付けの通知(環廃産発第130329111号)を押さえておく必要があります。 平成17年通知では、逆有償の場合、「産業廃棄物の収集運搬に当たり、廃棄物処理法が適用されること。
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上記通知のうち抜粋
『第四 「廃棄物」か否か判断する際の輸送費の取扱い等の明確化
1.産業廃棄物の占有者(排出事業者等)がその産業廃棄物を、再生利用又は電気、若しくはガスのエネルギー源として利用するために有償で譲り受ける者へ引渡す場合においては、引渡し側が輸送費を負担し、当該輸送費が売却代金を上回る場合等当該産業廃棄物の引渡しに係る事業全体において引渡し側に経済的損失が生じている場合であっても、少なくとも、再生利用又はエネルギー源として利用するために有償で譲り受ける者が占有者となった時点以降については、廃棄物に該当しないと判断しても差し支えないこと。
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2.上記1の場合において廃棄物に該当しないと判断するに当たっては、有償譲渡を偽装した脱法的な行為を防止するため、「「行政処分の指針」(平成25年3月29日付け環廃産発第1303299 号本職通知)第一の4の(2)において示した各種判断要素を総合的に勘案する必要があるが、その際には、次の点にも留意する必要があること。
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(1) 再生利用にあっては、再生利用をするために有償で譲り受ける者による当該再生利用が製造事業として確立・継続しており、売却実績がある製品の原材料の一部として利用するものであること。
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(2) エネルギー源としての利用にあっては、エネルギー源として利用するために有償で譲り受ける者による当該利用が、発電事業、熱供給事業又はガス供給事業として確立・継続しており、売却実績がある電気、熱又はガスのエネルギー源の一部として利用するものであること。
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(3) 再生利用又はエネルギー源として利用するための技術を有する者が限られている、又は事業活動全体としては系列会社との取引を行うことが利益となる等の理由により遠隔地に輸送する等、譲渡先の選定に合理的な理由が認められること。
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3.なお、廃棄物該当性の判断については、上述の「行政処分の指針」第一の4の(2)の②において示したとおり、法の規制の対象となる行為ごとにその着手時点における客観的状況から判断されたいこと。』
以上抜粋したが、自治体によっては逆有償の場合は廃棄物と判断する等、見解が異なる場合もあるので注意。
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偽装工作・その2:燃料に化けさせる
ダイオキシン規制法や大気汚染防止法の届出のいらない小さなボイラーを作って、表向きは木くずやRDFを燃料として購入したことにし、大量の廃棄物の処理を受託してしまう。

購入した燃料でボイラーを焚くのなら、廃棄物処理法の設置許可も処分業の許可も不要。 実際には運搬費の名目で処理費を貰うか、裏金で処理し、燃やしきれない廃棄物は不法投棄してしまう。
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平成17 年3 月25 日に環境省から出された都道府県の廃棄物処理担当局への通知には、廃棄物の受け取り業者が有価物として有償で廃棄物を受け取る場合は、輸送費の面で廃棄物の引き渡し業者が逆有償とならないことが求められている。
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有償譲渡を偽装した脱法的な行為を防止するため、この場合の廃棄物に該当するか否かの判断に当たっては特に次の点に留意し、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断する必要があること。
(1) その物の性状が、再生利用に適さない有害性を呈しているもの又は汚物に当たらないものであること。なお、貴金属を含む汚泥等であって取引価値を有することが明らかであるものは、これらに当たらないと解すること。
(2) 再生利用をするために有償で譲り受ける者による当該再生利用が製造事業として確立・継続しており、売却実績がある製品の原材料の一部として利用するものであること。
(3) 再生利用するために有償で譲り受ける者において、名目の如何に関わらず処理料金に相当する金品を受領していないこと。
(4) 再生利用のための技術を有する者が限られている、又は事業活動全体としては系列会社との取引を行うことが利益となる等の理由により遠隔地に輸送する等、譲渡先の選定に合理的な理由が認められること。
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偽装工作・その3:関連会社を使う
関連会社を設立して、書類上だけ売却したことにするのだ。
廃棄物は処分場内に積み上げたままなのに、売買契約書があるから、もはや有価物だとして、廃棄物処理法の適用の切断を擬装するのだ。いわゆるペーパーリサイクルである。
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総合判断説は、最高裁判例(H11.3.10最高裁第二小法廷決定。いわゆる「おから判決」)においても是認されています。
「総合判断説」において国が示す5つの判断要素(1.その物の性状、2.排出の状況、3.通常の取扱形態、4.取引価値の有無、5.占有者の意思)は、総合的に判断するということであって、どれか一つの要素だけで決まるものではありませんが、実務的に最も重要視されることが多い「4.取引価値の有無」については、環境省から次のようにその考え方が示されています。(H17.8.12環境省通知「行政処分の指針について」)
「占有者と取引の相手方の間で有償譲渡がなされており、なおかつ客観的に見て当該取引に経済的合理性があること。実際の判断に当たっては、名目を問わず処理料金に相当する金品の受領がないこと、当該譲渡価格が競合する製品や運送費等の諸経費を勘案しても双方にとって営利活動として合理的な額であること、当該有償譲渡の相手方以外の者に対する有償譲渡の実績があること等の確認が必要であること。」
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ある県の製紙会社からPS灰が排出されますが、これを有償売却しています。
その狙いは当然に廃掃法の枠外(マニフェスト等不要)で処分することです。
買取っているのは土木工事業者と産廃業者です。
トン当たり100円程度と聞いています。
彼らは「商品を買って、汚泥を固めている。」と言っています。
製紙会社もPS灰を有価物として取り扱っているそうです。
行政所有の飛灰も有価物として購入希望者が沢山いますが、今のところ、販売実績が皆無の状態です。それは、有害物質が含まれているためです
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偽装工作・その4:売り物にならないリサイクル商品
たとえば、焼却炉とほとんど変わらない構造なのに、炭焼き釜という名称で売られている炉がある。炭焼き釜は焼却炉でもボイラーでもないから、廃棄物処理法ばかりでなく、ダイオキシン規制法も大気汚染防止法も適用を受けない。燃え殻を埋め立てたら不法投棄だが、炭なら土壌改良材として農地に還元できるのだ。炭だけではなく、売却のあてのないさまざまなリサイクル品を、実用新案を申請中だとして、大量に作り、大量に保管している業者がある。いわゆる天ぷらリサイクルである。
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建設資材リサイクル法(平成十二年五月三十一日、最終改正:平成二六年六月四日)の施行後は、こうした見せかけのリサイクルが増々増えると予想。
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偽装工作・その4は、廃棄物の熱源利用だ。
形ばかりのボイラーをつけた焼却炉がすでに売られ始めているし、減容固化した廃プラを、RDF(再生固形燃料)として売却したことにするための偽装工作もさらに巧妙になることが予想される。未処理の廃プラさえ燃料として売却したことにするペーパーリサイクルも増えるだろう。当初は、真面目に熱源利用を考えた炉でも、構造が複雑なために故障が多くなり、設計した性能が出なくなると、コスト削減効果が得られないために、リサイクル対応型とは名ばかりで、単なる焼却炉として使われている施設も多い。
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