中国の「不良債権」:「大き過ぎる」債務と中国政府!

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正確な不良債権の額すら把握できていない!
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対外債務残高・193兆円!
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内外債務総規模は4412兆円を上回る!
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中国の経済は安定しているように見えるが、問題として懸念されるのは、膨らみ続ける債務の問題である。「不良債権」なのだが、中国政府の言い分では、「不良」ではなくあくまで「大き過ぎる」債務なのだそうだ。
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欧米の不良債権問題への対応はシンプルで、回収可能性を国際的な会計基準から判定し、回収不能となれば債権償却する。このプロセスには裁量の余地は少なく、機械的に処理していくだけだ。
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ところが、中国の過剰債務に関する処理は国際基準から程遠く、中国は会計基準も国際的に見ると遅れている。
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証券市場には適切な会計基準が不可欠だが、中国の証券市場には根本的に根付いていない。資本主義国の証券市場では企業による自由な証券の売買が認められているが、中国では「管理されるべきもの」との考え方である。
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証券市場の発展は国有企業の民営化をもたらすものなので、一党独裁かつ社会主義の中国では、なかなか国際標準化しない。
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正確なGDPの統計も持たない中国では、当然会計基準も国際レベル未満だし、結果として正確な不良債権の額すら把握できていない。
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中国の公式統計では、金融機関が保有する資産の2%程度が不良債権額としているが、海外のあるシンクタンクによればその10倍に膨れ上がっていると指摘される。
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習近平政権において、経済人事に重点を置いた風には見えるが、内実はボロを出さずにどうにか出来ないか、地方政府や国有企業の負債処理を表面化させない方策は無いかに腐心する人事だ。李副首相が隅に追いやられたのも、不良債権問題で口を開かれたら困るという習主席の苦肉の人事だろう。
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地方債務について、肖捷財政相は、地方政府の債務の管理強化を続ける一方、システミックな債務危機の回避を「完全に確信」していると述べた。
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地方債の発行を妥当な水準で割り当て、「無秩序な」資金調達の取り締まりを続ける方針を示した。
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中国の地方政府の資金調達と拡大する債務水準は、当局者の頭を悩ます問題となっている。中央政府は、地方政府下の投資会社への暗黙の保証に対する期待を取り除こうとしている。
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財政相は「債務の責任は自らが負うべき」と述べ、こうした措置がシステミックな債務リスクを回避すると自信を示した。
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また、GDPに占める政府債務の比率について、今後数年大きな変化はないとの見通しを示した。
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中国の政府債務は2017年末時点で29兆9500億元(4兆7300億ドル)。GDPに対する比率は36.2%で、16年の36.7%から低下した。
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「巨額の債務が中国の金融システムを脆弱にしていることは、周知の事実だ」。中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は最近、このような発言をした。
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中国の債務問題の大部分は、中央政府と地方政府との関係がうまくいっていないことから来ている。両者間の緊張の高まりによって、2015年には債務残高が金融システムを脅かす危険水準にまで達した。その後、ルールが変更されたことでしばらくは問題が解決されたかのように見えたが、映画「高慢と偏見とゾンビ」のごとく、恐怖は再び死者の中からよみがえった。
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中国はあまりに巨大な国であるため、中央と地方との間に、常に問題が横たわっている。ここ数年間、中央政府は地方政府に対して統一の必要性を強調してきた。地方政府が過分な自治権を謳歌していることを苦々しく思い、その管理を強化しようとしている。これに対し地方政府は反発を続けている。
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2018年1月25日付の中国共産党機関紙、人民日報によると、国政助言機関、人民政治協商会議(政協)第12期全国委員会常務委員会は24日、次期政協委員の名簿を決定した。名簿には党序列4位の汪洋副首相が入っており、3月に開催予定の政協会議で汪氏が主席に選出される人事が事実上、確認された。
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2013年から政協副主席を務めていた中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁の名前は名簿になかった。周氏は、人民銀総裁の在任期間が15年を超えており、総裁も近く退任する。
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後任総裁について、全国人民代表大会(全人代)は3月19日、易綱(イーカン)副総裁を昇格させる人事を承認した。15年にわたって人民銀を率いてきた周小川氏の後任となる。
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2018年1月4日、中国国家外貨管理局は、2017年9月末時点の中国の対外債務残高が約11兆1498億元(約193兆円)で、1兆6800億ドルに相当と発表した。人民銀行(中央銀行)が2017年7月に更新した『2016年12月資産負債表』によると、対外債務を含まない中国の総負債は244兆元(約4221兆円)。

両者を合わせると、中国の内外債務総規模は約255兆元(約4412兆円)を上回ったことが分かった。
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