山梨県・砕石業者「ニッケイ工業」のヘドロ:撤去完了!

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撤去は4400~5500トン・投棄量は数万トン!
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雨畑川流末のヘドロはどうする!
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山梨県早川町の雨畑川に採石業者が産業廃棄物の汚泥(ヘドロ)を不法投棄していたとみられる問題で、同県の長崎幸太郎知事や同町の辻一幸町長らは6月9日、投棄現場を視察した。長崎知事は「大変ショックを受けた」と述べ、同社が5月末までに撤去できなかったため、新たに提示した6月14日の期限までに完全に撤去されない場合、廃棄物処理法や河川法違反で刑事告発することを明言した。
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うずたかく積まれたヘドロの山、河川の流れを変えるため無許可で埋設された土管、河川内で撤去作業を急ピッチで行う大型ダンプとショベルカー。同県の聞き取りによると、野積み状態は10年前には始まり、同社は「一時保管していただけ」と弁明している。
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ただ、同県環境整備課の担当者は「10年間外部への搬出はなかったと思っている」と述べるなど、長期間に及ぶ計画的な不法投棄だった可能性もある。
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長崎知事は「正式な謝罪は一切ない。どういう考えなのかと思う。『撤去すればいいでしょ』ということではない。どうこの物事の始末をつけるのか」と厳しい言葉で採石業者を非難した。
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同県治水課によると、雨畑川に野積みされた汚泥は4000~500m3。環境省が定めた目安で換算すると4400~5500トンに上る。ただ、これまでに不法投棄された汚泥の総量は数万トンを上回るとの指摘が関係者からある。
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ヘドロは同社に出資する企業の導水管を経て、駿河湾に流れ込んだとみられる。春漁を終えたサクラエビは産卵時期を迎えていて、駿河湾の漁業関係者からは不安視する声が出ている。
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静岡、山梨両県がサクラエビの不漁などを受け濁りの調査を進めている早川水系の雨畑川(山梨県早川町)で、砂利プラントを運営する採石業者が産業廃棄物の汚泥(ヘドロ)を河川に不法投棄してきた疑いが浮上、山梨県が13日までに、現地調査と業者からの聞き取りを開始したことが分かった。廃棄物処理法や河川法などに抵触している可能性がある。
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投棄しているとみられるのは、販売用に直径数センチ程度に石を砕いた後の洗石工程で出る微粒子分を多く含むヘドロ。両県が実態を調べている流域全体の濁りにどの程度影響しているかは不明。雨畑川を管理する山梨県治水課の清水宏課長は「違法の可能性が高い行為で調査を進める」とコメント。業者の担当者は取材に対し「違法性の有無は不明だが、県の指導には従う」と話した。
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同社は堆砂が著しい雨畑ダム上流の土砂を、地下トンネル内のベルトコンベヤーを経て、ダム下流の砂利プラントに搬出し、砕石を製造しているという。廃棄物処理法などによると、ヘドロは微粒子を分離し、固形物にして産業廃棄物として処理することが義務付けられている。
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関係者によると、同社は数年前からプラント内でこの分離作業を行わず、ショベルカーで砂利プラント内の水槽からヘドロをかき出し、複数台の大型ダンプカーで搬出していたという。
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取材した4月下旬、雨畑川の河川内にダンプがヘドロを投棄している様子が確認できた。関係者によると、月に一度程度、各回100トン以上が投棄されてきた可能性があり、山梨県は、こうした経過や同社の関与について詳しい聞き取りを行っているとみられる。
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山梨県側に早川水系の濁りの実態調査を打診した静岡県水産業局の中平英典局長は「事実とすれば、大変遺憾だ」と話した。
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<メモ>汚泥 事業活動により生じた産業廃棄物の一つで、含水率が高く粒子の微小な泥状のものを指す。廃棄物処理法は汚泥を含む20種類を産業廃棄物に指定し、処理方法などを厳格に規定している。
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山梨県早川町の雨畑川で採石業者が産業廃棄物の汚泥(ヘドロ)を不法投棄したとみられる問題で、同県は6月14日、野積みされた汚泥の撤去が完了したと発表、検討した刑事告発を見送る方針を示した。一方、下流の瀬には依然汚泥が残ったままで、流出した全てのヘドロの回収は困難な状況となっている。
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採石業者は当初示した5月末の撤去期限が守れず、6月14日まで先送りしていた。同日午後、同県職員が同社幹部の説明を受けながら野積み現場を見て回った。同県の説明によると、搬出した汚泥は約4400m3(国の目安で換算すると約4840トン)。無許可で埋設された土管は近く撤去させる。
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同県環境整備課によると、不法投棄とみられる行為は約10年前には始まり、これまで外部に搬出された形跡は見当たらないという。関係者によると、投棄された汚泥の総量は数万トン以上に上る。
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さらに、採石業者が汚泥投棄直前に混入させた化学物質が、河川環境に悪影響を与えた可能性も否定できない。同社の常務は取材に、不法投棄とみられる行為を行う直前、汚泥に3種類の凝集剤を混ぜていたことを認めた。「凝集剤は汚泥から水を分離させるためだった」などと説明した。
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