予想以上に業績が悪化しているゼネコン各社!

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ゼネコン決算が語る・受注競争が一因も!
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大成建設の2021年第一四半期(4月~6月期)の業績の落ち込みは業界関係者が驚くほどの大きさだ。前年と当年の第一四半期を比べてみると、
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受注高  前年2,634億円 当年2,472億円 -162億円
売上高  前年2,688億円 当年2,832億円 +144億円
売上総利益 前年369憶円 当年 243億円 -126億円
営業利益 前年 175億円 当年  34億円 -141億円
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大成建設は、受注高は単体土木において前期に大型案件を受注した反動により減少、売上高は開発事業において大型の収益物件の売却があったことに加え、前期にコロナ影響を受けた海外事業が持ち直し順調に進捗したことなどから増収となったとコメント。
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決算書文書で、各利益項目は、土木において個別の不採算案件の影響により利益率が低下したことや、建築において競争環境の悪化により大型工事を中心に利益率が低下したことなどから、大幅な減益となりました。とある。
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土木の受注高は、前年の920億円から768億円、152億円減少し、建築は前年の1506憶億円から1494億円と12億円減少。開発等は208億円から2億円増の210億円であった。
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単体の完成工事利益率は▲6.2ポイント低下の7.3%となりました。
【土木】は、
個別の不採算案件の影響により、▲7.5ポイント低下の10.2%となり、
【建築】は、
競争環境の悪化により大型工事を中心に利益率が低下したため、▲5.8ポイント低下の6.2%となった。
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このため、営業利益は、利益率の低下により売上総利益が減益となったことに加え、販管費の支出増もあり、対前期▲141億円減益の34億円となった。
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スーパーゼネコン大成建設は8月5日、2022年3月期第1四半期(2021年4月~6月期)決算を発表したが、内容は業界関係者が驚くほどの落ち込みだった。
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営業利益は通期計画に対する進捗率がわずか3.7%にすぎない。大成建設にとっては、2015年3月期の第1四半期に営業利益15.8億円を計上して以来の低水準だった。
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大成建設は以前から2期連続で減益になる計画を示していた。理由は東京オリンピック関連の大型工事が前期までで一巡し、新規に獲得した案件も工事に着手したばかりのものが多く、利益寄与が少ないせいだ。
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ところが、決算内容をつぶさに見ると、同社が想定する以上に状況が悪化していることがわかる。それには競合他社と同様の環境の厳しさに加え、大成建設独自の事情が絡んでいる。
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今第1四半期の土木事業(単体)は売上高589億円(前年同期比12.4%増)、粗利率10.2%(前年同期の実績は17.7%)と利益率が大きく低下。一部の大型工事で不採算工事が発生し、工事損失引当金の計上を強いられたという。「受注時の採算が低かったことに加えて、工事の進捗状況から赤字見込みとなる案件が出てきた」と説明する。
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大成建設は工事の受注時点ではなく、直近の原価を反映させる会計基準を採用している。そのため、最近の資材価格の高騰の影響をもろに受けた。
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大成建設は、大型工事であればあるほど、より直近の原価を反映させる保守的な企業会計を採用しており、2020年12月時点で1トン当たり約7万円だった鉄筋価格が足元では9万円近くまで上昇するなど、資材価格が全般に上昇しているため原価が上がり、利益を押し下げる要因となった。
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主力の建築事業(単体)についても、今第1四半期は売上高1501億円(前年同期比2.9%減)、粗利率は6.2%(前年同期実績は12%)と、利益率が大幅に下がった。東京都内で赤坂ツインタワー跡地の高層オフィスビルや旧虎の門病院跡地の高層オフィスビルといった大型再開発案件を手がけており、赤坂には鹿島が、虎ノ門には西松建設が本社を構えており、営業エリアでの受注競争は叩き合いにつながり、採算割れにつながる傾向にある。
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大成建設も、「工事量の減少を受け、(営業担当者には)それを埋めにいきたい、量を取りに行きたいという意識がある」と、採算を落としてでも戦略的に受注獲得を目指すケースもあることを認める。
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新規にリニューアル部門を設けたが、政府発注の見込みは立っていないのがゼネコン業界の計算違いだ。
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清水建設は、今2022年3月期第1四半期決算が売上高3166億円(前年同期比0.8%増)、営業利益25.3億円(同81.2%減)と、大成建設に負けず劣らずの落ち込みだった。
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大林組も同様に、売上高4364億円(前年同期比5.1%増)、営業利益144.7億円(同26.6%減)と大幅減益だった。
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「建築業界は潮目が変わった。今は工事の取り合いになっている」。前出とは別の中堅ゼネコンの幹部は、業界を取り巻く環境についてこう語る。
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工事量が減ったスーパーゼネコンは、これまで見向きもしなかった中小型工事に群がるようになり、中堅ゼネコンや準ゼネコンの猟場だった50億円ぐらいの規模の案件にも手を出している。
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この状況が続くということは、不採算受注の現場も多くなるということだ。
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スーパーゼネコンの工事損失引当金がそれを物がっている。2020年度と2021年度に計上された引当金を見るといかに多額かがわかる。
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大成建設
前年度は226億900万円、今年度は210億400万円。
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大林組
前年度は126億9400万円、今年度は135億5100万円。
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鹿島
前年度は125億1500万円、今年度は1141億1900万円。
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清水建設
前年度は60億7100万円、今年度は144億4100万円。
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工事損失引当金が各ゼネコン30%改善するなら、営業総利益も大幅に良くなると思うのだが、、、。
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