企業の内部留保は誰のためにあるのか.2!

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内部留保金があったからコロナを乗り切れた?!

人件費を押えることで高収益を生み出してきた!
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今の日本企業、人件費(正規雇用)を削り抑えることで売り上げが減少しても利益を出してきた。45歳以上の社員をカットすることで技術も衰退している。その良い例がパナソニックだ。退職希望を募ったら、優秀人材までもが応募してきた。
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デジタル技術を人材育成や働き方を付加価値へつないでいるデジタル先行企業は賃上げ余力のある企業だ。内部留保金を幾ら蓄積しても、人材投資に使っていないのであるなら、早晩、企業は競争力を失う。人材と言う財産を捨てているのだから。逆に、ネットキャッシュや内部留保を狙ってアクティビストが株式を仕込みに来る。
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9月29日、岸田新総裁は党本部で記者会見し「年内に数十兆円規模の経済対策を策定する」と表明した。
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岸田政権の主な分配戦略を見ると、金融所得課税、賃上げ企業の税優遇、看護師などの実質賃金見直し、子育て世帯への支援。
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「働きに比べて給与が少ないと言われている方々の公的価格は国が適正に引き上げる」と語った。
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民間の賃上げの呼び水にする狙いだ。大企業と中小企業、高所得者と低所得者、大都市と地方の格差是正にも目配りする。
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岸田氏は「令和版所得倍増」を掲げる。看護師や介護士、保育士などの賃金引き上げを政府が主導して決めると説明した。
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岸田総理大臣は自民党総裁選挙、就任会見で「金融所得課税について考えてみる必要がある」と言及。しかし、10月10日、民放の番組では「金融所得課税についてさわることは考えていない」と発言。
株が下落し、証券業界、銀行業界からの強い懸念をくみ取ったのではないか。
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大手銀行関係者は「投資家が日本市場から遠のく可能性。金融機関では重大な懸念を抱いている」、証券会社関係者は「岸田総理は評判通り話を聞く人。市場の声を聞いてくれた」とコメント。
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岸田総理は社員の給与引きあげなどに取り組んだ企業への税制優遇など所得を直接引き上げる政策を優先する考えを示し、金融所得課税の強化については将来的な議論になるとの考えを示した。
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言うのは簡単だが、政府の言う通りに企業は簡単に給与を上げるだろうか。
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財務省が9月1日発表した法人企業統計によると、資本金10億円以上の大企業(金融業・保険業を含む)の内部留保は2020年度に466.8兆円となり、前年度から7.1兆円増額し、過去最高額を更新した。
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20年度の労働者1人当たり賃金は579.2万円と前年度比1.2%減。役員報酬は同0.5%増となる1964.8万円。配当は同11.3%増となる24.7兆円。コロナ禍で国民生活が大変になる中、労働者賃金を減らし、配当や役員報酬、内部留保を増やしてきたことになる。
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経常利益は前年度比7.1%減の46.6兆円。業種ごとに経常利益を見ると、宿泊業や飲食サービス業、娯楽業、陸運業などで赤字となった。金融業、保険業が前年度比12.4%増、情報通信機械器具製造業が同10.7%増、情報通信業が同6.8%増など経常利益を増やしており、業種の明暗が明確になった。
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主要項目について12年度からの伸びを比較すると、経常利益は30%増、内部留保は40%増、配当金は83%増だったが、労働者賃金は3%増であった。
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資産・負債・純資産及び損益

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景気対策を急ぐ政府は、剰余金分を賃金に上乗せするよう企業に対し要請している。法律や税制によってそれを強制しようとする考え方もある。その一方で、賃上げに対しては「目先の景気への影響だけでなく、より多角的にロングスパンの視点で行われるべきだ」との意見もあり、各企業の春闘での賃上げ率が注目されている。
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建設業界を振り返ってみると、製造業のように工場や機械に投資しているわけではないが、汎用品のように作れないのが受注現場である。言ってみれば、現場ごとに手作りなのである。設計から完成まで2~3年ほどかかる。
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近年アクティビストが、建設業界を狙い株式の取得を進めている。西松建設が餌食になったように、買い集められていた株を540億円で自己株式購入と言う形で決着したが、この状況を見ていた大手ゼネコンの鹿島は100億円、大成建設も100億円、清水建設は200億円の自己株式の取得を6月~9月にかけ実行した。大林組は取得していない。
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つづく