政府目標:2050年に銅の自給率・100%へ!

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30年までに80%以上・目標!
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政府は、電気自動車(EV)や再生可能エネルギー発電などで需要が高まる銅などの「ベースメタル」の自給率について、2050年までに100 %を目指す方針だ。足元の約50%から引き上げる。中でも銅は中国などの需要増加が影響し、今年に入り市場価格が最高値を更新。脱炭素をにらんだ投機筋の買いも高騰の要因となっている。レアメタルと比べ、ベースメタルの需要は圧倒的に多く、調達が滞れば、製品製造に影響があることから自給率向上を加速する。
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銅など非鉄金属の基礎資源について政府は6月7日までに、海外で権益を持つ鉱山も含めた自給率を現在の約50%から2050年までに100%へ引き上げる目標をまとめた。温室効果ガス排出削減に向け電化が進み、電線などに使われる銅の相場は今年に入り足元で2割程度上昇するなど、市況は上昇している。中国なども需要を増やしており、資源確保が滞れば電化に向けた製品製造への影響も懸念される。
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銅や鉛といった非鉄金属の基礎素材は「ベースメタル」と呼ばれる。電気自動車(EV)の車載電池製造などに必要なコバルトといった「レアメタル(希少金属)」と比べ、資源量は豊富だ。ただ、普及が見込まれるEVは、ガソリン車の約3倍の銅を使うとされるなど、電化の加速に併せベースメタルの需要もさらなる高まりが予想される。
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政府がベースメタル確保を加速する背景には、各国での需要の高まりに対し、供給が追い付かない状況に入りつつあることがある。
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三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田主任研究員は、「世界に先んじてコロナ対策が進み、経済の動きを加速させている中国で、特にEVなどの需要が増加したことに合わせて銅の価格も上昇した。(トン当たり)1万ドル台での取引はしばらく続くのではないか」と予測する。
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政府は5月にまとめた「総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会報告書」に、リサイクルによる資源循環の促進や、日本企業が権益を持つ海外の鉱山などからの調達を合わせ、50年までに「国内需要量相当のベースメタル確保を目指すべき」だと、自給率の100%への引き上げを明記した。
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現行のベースメタル全般の自給率は50.2%(2018年度)で、従来政府が設定している「30年までに80%以上」を目指す目標は維持する。
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2030目標

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【ベースメタル】
埋蔵量・産出量ともに多く、精錬が比較的簡単な鉄やアルミ、銅、鉛、スズなどの金属を指す。銅に関しては、ガソリン車に比べ電気自動車(EV)で使用量が多いほか、デジタル化の加速により、通信機器向けの銅コイルの需要なども高まっている。
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【レアメタル】
産出量が少なく、抽出が難しい希少な金属。