神戸市の起債・1500億円:全てSDGS債で!

.
自治体初の取り組み!
.
.
神戸市は3月8日、2021年度に発行する全ての債券をSDGs(持続可能な開発目標)債として起債することを明らかにした。国内の地方自治体として初の取り組みとなる。ESG(環境・社会・企業統治)に対する投資家の関心が高まっていることなどに対応する。
.
来年度の神戸市の地方債発行予定総額は1500億円。同市行財政局財務課の資金・制度担当の赤枝利紀・課長は「投資家のESGへの関心が高まっている上、SDGsへの取り組みは行政の根幹にあると考えており、今回の決断に至った」と説明した。名称は「神戸市SDGs債」とする。認証は格付投資情報センター(R&I)から取得する予定だ。
.


神戸市役所
.
日本政府のSDGs推進本部(本部長・安倍首相)が2019年12月に改定した実施指針で示した現状認識は、中国で感染が分かったウイルスが、わずか数か月間で世界全体に流行したのは、21世紀に入ってから急加速したグローバル化と密接な関係がある
.


SDGs
.
2000年度に約1万5000社だった日系の海外現地法人数は、2016年度には約2万5000社に増え、世界各国を結ぶ部品供給網や製品・サービスのネットワークが複雑化・高度化した。人や物往来は世界経済が広範囲な取引で成り立っていることを示したが、今回のコロナウイルスはこの広範ネットワークに乗って拡大したともいえる。
.
コロナ後の経済をどう立て直すのか、企業活動を活発化させるかにしても、1企業、1地域、1国で成立できるものではない。
.
途上国と先進国の経済格差は大きく、特に途上国の人口増加に伴う食料不足や資源の枯渇、温暖化による気候変動は世界中で大災害を発生させ、社会問題となっていることはニュースでも取り上げられている。これらの解決のため、国連広報センターでは15年9月の国連サミットで、加盟193か国の全会一致によって
「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」決まった。
.
17の目標と、その目標の中に169の具体的なターゲットが定められている。個人でも、企業でも目標達成のために小さな事柄から取り組む動きが活発化してきた。
.


17項目
.
日本政府のSDGs推進本部が設置されたのは2016年5月で、すでに4年経過し5月には丸5年を剥けようとしているが、日本での認知はまだ50%未満だ。経団連も、17年11月に改定した企業行動憲章で「Society5.0の実現を通じたSDGsの達成」を掲げ、会員企業に浸透を呼びかけてきた。
.
貧困や飢餓の解消といったSDGsの目標を示す17色の丸いバッジを付けている姿もよく見かけるようになった。
.
市場で資金を調達する企業にとっては、SDGsを掲げて「ESG投資」を呼び込む必要性が高まっている。ESG投資は、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3分野での企業の取り組みも評価して、長期的に収益が見込めるかを見極める手法だ。
.
厚生年金や国民年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は「全てESGの観点から評価する」という方針を掲げる。世界最大規模の160兆円の資産を運用する際、ESGやSDGsの広がりが長期的により高い運用利回りにつながるからだ。3月の記者会見で高橋則広理事長(当時)は「SDGsに基づく社会が一時的なブームに終わることなく、続けていけるように縁の下の力持ちとして活動していきたい」と力を込めた。
.
SDGsは様々な取り組みの「ゴール」となる概念ですが、この道筋にあたるものとして考えられているのがESGという事になります。
.
ESGとは「環境・社会・ガバナンス(企業統治)」を示す言葉で、これからの世界経済や企業経営に大きな影響を及ぼす重要なキーワードの1つです。
.
投資家からは、ESG は、企業が自身の評価を高めるだけでなく、長期的に成長を持続させるために戦略的におこなう経営活動の一つである。
.


  ESG 評価
.
SDGsの実現には途方もない資金が必要となりますが、最近ではESGに取り組んでいる企業に投資する「ESG投資」がその後押しをしています。ESGとともによく聞かれる言葉は、それぞれが全く別のものではなく、関連し合っている。
.
株式会社格付投資情報センター(英語: Rating & Investment Information, Inc.、略称:R&I)は、日本国内における主要な格付会社の一社。信用格付事業を中心に、年金運用のコンサルティング事業や年金・ファンドに関する情報提供事業などを行っている。
株式会社日本経済新聞社が同社の議決権の64.5%(間接保有も含む)を所有しており、同社の連結子会社かつ特定子会社である。
.


  R&I
.
格付けとは社債や発行元の企業が「信用に足るかどうか」を評価し、ランク付けを行うこと。万が一、債券を発行していた企業が倒産した場合、債券に投資していた投資家が満期に受け取れるはずのお金は戻ってこなくなる。そこで格付け機関には「経営状態が良好で、満期にはきちんとお金が支払われるか?」などを判断する役割がある。
.
世界三大格付け機関としては「ムーディーズ」「スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)」「フィッチ・レーティングス」が有名だ。国内では前述の「日本格付研究所(JCR)」と「格付投資情報センター(R&I)」の2社が代表的な格付け機関とされる。
.


   ESGとSDGsの関係
.
日本でも2010年に金融商品取引法が改正。格付け機関の体制を十分に整備したうえで、経産省の監督下に置かれることが定められた。
.
格付け機関の評価は、必ずしも信頼のおける情報とは限らない。あくまでも、金融商品またはその発行体となる企業の現状から将来性を予測するものだ。予測である以上、評価は主観的なものとなり、絶対的ではないが、信用できる債券かどうかを判断する一つの材料として考えるべき。
.