日経新聞・将来の社長候補:ハラスメントで解任!

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依願退職していた!
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今年4月から日本経済新聞で経済部長兼「日経フィナンシャル」編集長を務めていたX氏が、11月24日にハラスメント行為によって解任され、翌日付で依願退職していたことが「週刊文春」の取材で分かった。かつて新聞協会賞を受賞し、日経新聞の花形部署のトップを務めていた人物が突如退職したことで、社内には激震が走っている。
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日経社員が語る。
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「日経フィナンシャルは、この10月から開始したばかりの金融情報専門のデジタルメディアです。岡田直敏社長肝いりの新規事業で、月額6000円という強気な値段設定も話題になっている。その初代編集長に抜擢され、創刊の準備を任されていたのがX氏です」
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X氏は1992年に日経新聞に入社した50代前半の男性。経済部でエリートコースを歩み、2004年には新聞協会賞を受賞するなど、エースとして活躍してきた。
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順風満帆に見えたX氏の会社員人生だが、その幕切れは唐突だった。
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「3連休明けの11月24日もX氏は普段通り出社していたのですが、その日の午前に経済部長とフィナンシャル編集長の解任が決まったようで、X氏は内線で呼び出され、午後には姿が見えなくなった。午後3時から各部の部長らが緊急招集され『重大なハラスメントがあったため、X氏を当面の間、編集局長付とする』とだけ説明された。『将来の社長候補』と見られていただけに、社内は騒然となりました」(別の社員)
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X氏に取材を申し入れたが、「お話しできないという約束になっていますので。広報室の方にお願いします」と答えるのみ。
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日経新聞広報室に問うと、「就業規則に反するハラスメント行為があったため処分しました。X氏は11月25日付で依願退職しました」と答えた。
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「将来の社長候補」との呼び声も高かったX氏による「ハラスメント」とは何だったのか。12月3日(木)発売の「週刊文春」で掲載。
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週刊文春 2020年12月10日号
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新聞協会は2004年9月1日、2004年度新聞協会賞の授賞作として編集部門4件を決定した。授賞式は、10月15日に富山市で開催する第57回新聞大会式典で行う。
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新聞協会賞は、新聞界(通信・放送を含む)全体の権威と信用を高める諸活動を促進する目的で1957年に創設された。編集、経営・業務、技術の各部門で顕著な功績のあった新聞協会加盟会員社所属の新聞人に対して贈られる。
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今年度は編集部門に47社78件、技術部門に4社4件、経営・業務部門に3社3件の応募があった。
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【受賞作と受賞理由】
「UFJ、三菱東京と統合へ」の特報
日本経済新聞社編集局経済部  発田真人(ほった・まさと)
矢沢俊樹(やざわ・としき)
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日本経済新聞は、不良債権処理をめぐり抜本的な経営改革を迫られていたUFJホールディングスが、すでに基本合意していたUFJ信託銀行の住友信託銀行への売却を白紙撤回し、三菱東京フィナンシャル・グループに統合を申し入れ、三菱東京も応じる方針であることを2004年7月14日付の朝刊一面トップでいち早く特報した。
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UFJの経営問題は、日本の金融再生の最大の焦点の一つとなっていた。大口融資先査定をめぐる検査忌避の疑いを理由にUFJが刑事告発される可能性もある中、三菱東京との統合で総資産190兆円という世界最大の銀行グループの誕生を伝えたスクープは、日本経済への影響が大きく、世界的な注目も集めた価値あるもので、メガバンクが生き残りに向け自立的に行動するという金融再編の新しい流れを的確にとらえた報道として高く評価され、新聞協会賞に値する。
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他の受賞者
イラク国連バグダッド事務所爆破テロ~瞬間映像のスクープ
日本放送協会(代表)「NHKバグダッド」取材班

ヨーロッパ総局カイロ駐在  別府正一郎(べっぷ・しょういちろう)
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NHKは2003年8月19日、バグダッドの国連事務所が強力な自動車爆弾で大破し、デメロ特別代表ら20人以上が死亡した大惨事の一部始終を克明に撮影し、午後10時(日本時間)からのニュース番組で他に先がけて報道した。
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不発弾処理をめぐる記者会見中に突然、遭遇したにもかかわらず、沈着冷静に爆弾テロの瞬間と現場の混乱を生々しく伝えた映像には有無を言わせぬ迫力があり、イラクの状況がより混迷の度を深めていく流れを世界に伝えた。国連の撤退にもつながる歴史的に重要な場面をとらえた映像は、テレビジャーナリズムの力をいかんなく発揮した報道として高く評価され、新聞協会賞に値する。
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北海道警察の裏金疑惑を追及した一連の報道
北海道新聞社(代表)「道警裏金問題」取材班

編集局報道本部次長 高田昌幸(たかだ・まさゆき)
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北海道新聞は、旭川中央署の捜査費用報償費の不正支出疑惑を契機に、北海道警の全部署で裏金が作られているとの疑惑を、2003年11月25日付朝刊を皮切りに粘り強く報道し、道警が組織的に裏金作りを行っていたことを認めざるを得ない状況にまで追い込んだ。
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数々の特報により道内世論を動かし、読者の圧倒的な支持を背景に内部告発者を次々と生んだこのキャンペーンは、警察取材の基本姿勢を読者に明示するとともに、警察庁に「架空名義領収書の原則禁止」の措置をとらせるなど、警察の不正経理問題摘発を全国に波及させた報道として高く評価され、新聞協会賞に値する。
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キャンペーン企画「拉致・北朝鮮」
新潟日報社(代表)「拉致・北朝鮮問題」取材班

編集局報道部長代理兼編集委員 高橋正秀(たかはし・まさひで)
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新潟日報は、北朝鮮による日本人拉致事件の早期解決を訴え真相究明への道を探るため、横田めぐみさんが新潟市で拉致されて26年目の2003年11月15日から、今年6月28日まで長期にわたるキャンペーンを展開した。
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事件の全体を検証し、拉致被害者の家族、友人や関係者を丹念に取材して、拉致被害者とその家族の苦悩と闘いの日々を克明につづった。拉致問題が膠着(こうちゃく)状態から一部被害者家族の帰国・来日へと大きく進展する中、拉致問題にかかわった人々の全面的な解決を願う気持ちを深く丁寧に報道し、改めて事件の非情さを認識させ、政府の対応を促したキャンペーンとして高く評価され、新聞協会賞に値する。
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