前田道路:NIPPOと資本提携協議!

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前田建のTOBに対する牽制!
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前田道路は2月27日、JXTGホールディングス(HD)傘下で道路舗装最大手のNIPPOと資本・業務提携の協議を始めると発表した。アスファルト合材工場の共同運営などによる相乗効果を見込んでおり、株式の5%程度を持ち合う方向で検討する。前田道路は大株主の前田建設工業から敵対的TOB(株式公開買い付け)を受けており、提携で前田建設をけん制する狙いがありそうだ。
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業界最大手のNIPPOと資本業務提携を検討している前田道路は、前田建設によるTOBをなんとか阻止しようと、2020年3月期に600億円以上の配当をすると発表したばかり。それに続く一手となる。
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深刻化する人手不足など業界を取り巻く厳しい環境を踏まえ、提携で経営効率化などを進める。前田建設工業が前田道路に対し実施しているTOB(株式公開買い付け)と今回の提携は無関係としている。
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道路舗装2位の前田道路が1位のNIPPOと資本業務提携の協議を始めると発表した提携の目的は、製造拠点を共同で活用し、舗装技術などのノウハウを持ち寄って経営の効率化を図るというもの。だが、その裏に見えるのは、前田建設のTOBに対する前田道路の強烈な拒否反応だ。
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会見のやりとりでも、その思いはあらわになった。「前田建設によるTOBの成否と今回の提携協議は関係するのか」と記者から問われたNIPPOの吉川芳和社長が「TOBとの関係は考えておりません」と答えたのに対し、前田道路の今枝良三社長は「前田建設との関係を解消し、NIPPOと組むという意思表示か」との質問に「(その理解で)結構だ」と応じている。
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前田道路はNIPPOに続く業界2位。2019年3月期の売上高2237億円、営業利益171億円と安定した経営を続けている。無借金経営で知られ、現金及び現金同等物は連結ベースで850億円超という“優良企業”だ。国内市場の縮小が見込まれる業界だが、現時点では必ずしも提携を急ぐような切迫感のある状況ではない。
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インフラなどに投資し、運営や保守で稼ぐコンセッションなどに事業の軸足を動かす前田建設は、道路舗装を手掛ける会社を抱えることは大きな意味があるとしてTOBに動いた。これに対し前田道路は、その動きに対しキャッシュリッチな自社を子会社化する“口実”だと疑念を持ち、反発を強めている。
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前田道路はTOBに対抗するためホワイトナイト(白馬の騎士)探しをすすめていたが難航、2月20日には500億円を超える特別配当を実施し、手元資金の多くを流出させるという奇策も発表していた。これまで計画していた配当を含めると今期の配当総額は約615億円。手元資金の7割超を一気に吐き出すという「捨て身の焦土作戦」を表明していた。
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これに対して前田建設は27日午前、TOB期間をこれまでの3月4日までから3月12日までに延長すると発表したが、その日の午後、前田道路がさらなる策を講じた格好だ。
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同社の今枝社長は今回のTOB拒否について「捨て身の抵抗をしたいと思っている」と語っている。あくまで反対を貫く相手に前田建設はどう反撃するのか。
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