政治日程上:衆参同日選は可能なのか!

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野党も同日選対策を始めた!
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自民党の萩生田光一幹事長代行が、4月18日に公開されたインターネット番組「真相深入り!虎ノ門ニュース」のなかで、6月の日銀短観で示される景況感次第では、消費増税の延期もありうると発言した。
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萩生田氏はもしも安倍政権が増税を先送りすると決断した場合、「国民に信を問うことになる」と発言した一方、衆参ダブルについては「日程的に難しい」としている。萩生田発言は、与野党に対する揺さぶりではないかという意見が多いのも事実だ。
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萩生田氏は発言する際に「個人的な発言」と断ってはいるが、典型的な「観測気球」であり、政治的な問題に対して、世論がどんな反応を示すか、どう考えているかを探るために、政治家が放った気球にどのような反応があるのか様子をみる。普通の政治家が言っても驚かないが、安倍総理の側近と言われる萩生田氏が放った言葉は、総理の忖度ではないかと各メディアが取り上げた。
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4月15日に公表されたOECD(経済協力開発機構)の対日審査報告書で、グリア事務総長が日本で記者会見を行い、日本の財政健全化のためには、消費増税10%どころか、26%までの引き上げが必要だと発言。マスコミはこの発言に飛びつき、まるでOECDの意見を金科玉条のように報じた。OECDの対日審査報告書は、日本政府、特に財務省の意向が色濃く反映され、対日審査報告書そのものが、OECDと財務省の合作であり、「これは財務省の布石」なのだと断言できる。
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17日、財務省は財政制度審議会を開催。IMF財政モニターやMMT(現代貨幣理論)を批判し、消費増税を予定通り行うと明言した。MMTは、最近もてはやされている考え方で、「自国通貨を無制限に発行できる政府は、政府債務(国の借金)が増えても問題がないとする経済思想」だ。欧米の主流派経済学者は、MMT支持派の主張に対してバカげていると反発している。
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従来の経済理論では、「財政赤字でも中央銀行が国債を買い入れればインフレになる。そのインフレさえ感受できれば、政府債務があっても財政上問題ない」というものだ。
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財務省はいま、消費増税の実現についてかなり危機感を抱いているようだ。そういう情報戦の中で、萩生田発言はドンピシャリのタイミングで発言したのだ。財務省幹部が「いち政治家が言っていることだ」と冷たく反応したという報道があった。今でも国家の財政は財務省あってのものだというおごり体質が頭をもたげている。財務省幹部が与党幹事長代行を「いち政治家」と軽くあしらうこと自体、こうした慢心が、7月に想定される参院選で安倍政権の足元を崩しかねないのだ。
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日銀短観は、6月調査の結果が7月初めに公表される。それをみて国民に信を問う為の衆院解散総選挙を行うとすれば、今国会会期末が6月26日なので、7月の初めまでは国会を延長する必要がある。参院議員の任期は7月28日までなので国会を延長すれば、7月28日から8月上旬にかけて参院選と衆院選のダブルを行うことは可能だ。
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延長しない場合でも、参院選は、6月30日、7月7日、7月14日、7月21日に可能である。G20が6月28、29日と大阪で開催される。理屈上はどの日でもいい。要するに、萩生田発言は、6月末から8月上旬までダブル選挙の可能性があることを世に知らしめたのだ。萩生田発言は、政治的にも消費増税を中止にできることを知らしめたのだ。

ANNの世論調査も、消費増税導入には反対意見が多く、衆参同日選挙も賛成だという数字が過半を超えた。
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5月13日には、3月の景気動向指数が公表される。5月20日には、2019年1-3月期のGDP速報が公表される。景気動向指数とGDPは連動するが、5月20日までは景気判断ができないので、この時期までは、安倍官邸も「消費増税は予定どおり行う」と言わざるを得ないだろう。というのが大方の見方だ
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5月20日以降から今国会の会期末(6月26日)までの1ヵ月間は、衆院の解散を含めていろいろな展開が考えられるのだ。
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野党も立憲民主と国民民主の党首同士が初めて会談を始めた。野党統一候補が組めるか、連休後が見ものだ。国民に気を持たせて空振りをすると、参院選は大負けすると見るのだが、、、。
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萩生田氏は「10%(への消費増税)を国民にお願いする基本姿勢に変わりはない」と強調。増税延期の判断材料として、7月1日公表の日銀短観を例に挙げた真意について、「『小さな足元の数字』と言って見落とすことのないよう、全国の仲間と声を聞いていく姿勢を示したかった」と釈明した。
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増税延期の場合の衆院解散の可能性に言及したことには、「過去の例にならって何らかの国民の了解を得ることの必要性を申し上げた。もとより解散権は総理の専権事項だ」と答えた。
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与党内からも萩生田発言に反発が相次ぎ、菅義偉官房長官は19日、政府方針に変更がないことを改めて強調した。麻生太郎財務相は同日の閣議後会見で「(萩生田氏が)どういうつもりで言っているのかわからん。迷惑している」と不快感を示した。
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国民民主党の玉木雄一郎代表は「アベノミクスがうまくいっていないことを認めた発言。予算委員会の集中審議が不可欠」と訴えた。
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衆参同日選挙は可能であるが、消費税や憲法改正だけで衆議院解散をするわけではない。参院選で、間違いなく自民党や公明党など与党勢力が過半数を確保するのか否か、今後の政治・経済状況とロシアとの北方領土問題が延長できるのか消えるのか、北朝鮮拉致被害者の交渉に脈があるのかも加味し、衆参同日選が行えるかは、安倍首相の判断だろう。
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