仏・バルス元首相:スペインのバルセロナ市長選に出馬表明!

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EU市民は選挙権と被選挙権があると定められている!
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フランスのマニュエル・バルス元首相は9月25日、2019年5月に予定されているスペインのバルセロナ市長選に立候補することを発表した。同じ欧州域内とは言え、政治家が他国の政界に進出を目指すのは異例のことである。
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スペイン北東部にあるカタルーニャ自治州の州都バルセロナは、首都マドリードに次ぐスペイン第2の都市で、約160万人の人口を抱える。オランド前仏大統領の下で首相・内相を務めたバルス氏は、56年前にバルセロナで生まれ、カタルーニャ州出身の父とスイス・イタリア系の母とともにフランスのパリで育ち、20歳の時にフランス国籍を取得した。
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バルス氏は25日、バルセロナの旧市街で行われた集会で、「暫く真剣に熟考した後、私は次の決断をした。私は次期バルセロナ市長になりたいと。」とカタルーニャ語で語った。そして「生まれて以来、私のバルセロナとの関係は、密接で不変だった。」と続けた。
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多くの聴衆が詰めかけた講堂でカタルーニャ語とスペイン語で演説を行ったバルス氏は、治安の悪化、溢れるほど多数の観光客、手頃な価格の住宅の不足、カタルーニャの独立運動を巡る懸念による企業の逃避など、バルセロナが直面する多くの問題点を挙げた。その上で、市は活力を失っており、流れを変える新たなリーダーが必要であると訴えた。
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欧州連合(EU)の規則では、EU市民は他のEU加盟国の選挙でも、選挙権と被選挙権があると定められており、バルセロナにゆかりのあるバルス氏が、市長選に立候補するのは不思議なことではない。しかし現実的には、来年5月26日の選挙で、住宅問題に取り組んできた元活動家の現職、アダ・クラウ市長を破るのは簡単ではない。
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バルス氏は、スペインでカタルーニャ自治州の分離・独立を目指した人々に対抗する運動を推進してきた。同氏がフランス内相時代に示した公の秩序に関する強硬姿勢は、伝統的に左派的な傾向のあるバルセロナでは受け入れられない可能性がある。中道右派のシウダダノス(市民党)以外の政党の支持を得られるかも不透明だ。カタルーニャ自治州のプチデモン前首相も、同市で知名度の低いバルス氏の立候補には否定的な見解を示している。
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社会党のバルス氏は、昨年の仏大統領選の党予備選で敗れた後、マクロン候補への支持を表明し、社会党を見捨てたと批判されたが、最終的に大統領となったマクロン氏の勢力には合流できなかった。バルス氏は、来週仏議会の議員を辞職する意向を示し、マクロン大統領にはバルセロナ市長選に立候補する計画について、今夏告げていたことを明かした。
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