マクロン仏大統領:中国企業の農地買収を規制へ!

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進出企業自身が中国内で採算性が取れなくなってきた!
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フランスで、中国企業が地価の安さと地方部の困窮に乗じて農地買収を進めているという懸念が広がっており、これを受けてエマニュエル・マクロン大統領は2月22日、海外投資家による農場買収の阻止につながる措置を講じる構えを示した。
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マクロン大統領は、パリの大統領府を訪れた若い農業従事者らを前に、「フランスの農地はわが国の主権が関わる戦略的な投資だと私は考えている。よって購入の目的も把握しないまま、何百haもの土地が外資によって買い上げられるのを許すわけにはいかない」と述べた。
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マクロン大統領が念頭に置いているのは、中国ファンドが2017年、仏中部の穀物産地アリエ県で900haの土地を購入、さらに、2016年にアンドル県で1700haが買収されたという報道だ。
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マクロン大統領は農業従事者らに対し、こういった土地買収を阻止するため「規制予防策を確実に講じ、皆さんと協働していく」と述べた。
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海外からの農地買収をめぐっては、オーストラリアが今月初めに新たな規制を発表。また中国資本の海外進出については、過去にアフリカやカナダからも懸念する声が上がっている。
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中国の農業・食品企業の海外展開は、2007年頃から国の政策として始まった。主役となったのは民営企業と地方政府である。
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①海外の農場や牧場で生産活動を行うもの、
②海外の大手企業に対するM&Aによってサプライチェーンを確保しようとするもの、の2つがみられる。
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現在の狙いは、直接的に穀物生産や畜産を行うのではなく、飼料などとしてのサプライチェーンの確保を狙ったものである。しかも、進出先で加工することが行われ、必ずしも中国への持ち帰り(輸入)を目指すのではなく、現地の流通に乗せた現地販売がかなりの比重を占める。穀物メジャーを目指すような動きとまでは言い切れない。
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中国の米と小麦の自給率は既に98%程度に達しており、2%のために政府が農業関連企業を海外に進出させる必要はないし、中国の現在の資金力や支援能力は国内農業を支援するのにかなり力不足であり、政府として海外進出した農業関連企業まで支援する余裕はない。
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海外展開をしている中国の多くの企業が現地で飼料加工工場や畜産場を設立して運営しているのに対し販売チャネルの拡大にも非常に力を入れている。その理由は、今まで通りの単純な貿易だけでは価格交渉力がなく、競争力を持てないからである。
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中国の食料企業の海外展開の一因として、諸コストが高騰している中国国内で飼料生産を行うよりも、現地である程度まで加工したり、中国よりも南米など国外で販売したほうが収益性が高いことが挙げられる。また、個別企業の事情にもよるが、安定しビジネス上も有利なサプライチェーンを確保する必要性が高まっていることも大きな理由である。
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