日本郵政・野村不動産HD:買収白紙化を発表!

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買収価格で折り合わず!
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日本郵政による野村不動産ホールディングス(HD)の買収検討について、野村不動産HDは6月19日、交渉が白紙となったと発表した。同社は「日本郵政による当社株式の取得について検討してきたが、今般、検討を中止することになった」とのコメントを出した。先月に買収構想が表面化した直後から、野村不動産HDの株価が高騰。買収価格で折り合えなかったとみられる。
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日本郵政も19日午前、野村不動産ホールディングス(HD)との買収計画を白紙に戻す方針を正式に発表した。野村不HDも買収交渉の中止を公表した。郵政は収益力を高めるため、買収によって不動産事業の強化を狙ったが、両社の条件が合わなかった。郵便事業が低迷する中、成長戦略の練り直しを迫られる。
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郵政は、「現時点において検討を行っている事実はない」とのコメントを公表。野村不HDも検討していたことを初めて公式に認めたうえで「中止することになった」と発表した。
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郵政は郵便事業の低迷を打開するため、業務多角化の一環として不動産事業の強化を掲げていた。郵政は直営郵便局を2万局持ち、不動産も多く所有している。野村不HD買収で開発ノウハウをいち早く取り込む狙いだった。
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日本郵政は、国営郵政時代の名残で全国の主要ターミナル駅前などの一等地に巨大な郵便局の建物を保有。これらの資産の有効活用で不動産事業を強化しようと、野村不動産HDを買収してノウハウを取り込む戦略を描いていた。しかし、5月中旬に買収計画が報道されると、野村不動産HDの株価が上昇。その後も株価は高止まりしたままで、株式の過半取得には当初想定した以上の資金が必要な情勢となっていた。社内からは「高値づかみにならないように慎重な対応をすべきだ」との声が出ていたという。
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一方、分譲マンションを手がける野村不動産HDも日本郵政傘下に入ることで、都心の不動産開発事業で相乗効果が見込めるとみられていた。筆頭株主の野村ホールディングスは資産売却を急いでおらず、保有株式の安値売却に慎重で、日本郵政との交渉で価格面での溝を埋めることができなかった模様だ。
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07年の郵政民営化以降、初めて連結最終赤字に転落した。社外から買収戦略に関して慎重な姿勢を求める声が高まり、郵政内からも情勢を見極める機運が高まっていた。
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野村不HDも郵政の持つ土地をマンション事業などに活用することなどを模索していたが、収益拡大が見込めないとの判断に至ったようだ。
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今回の買収案では、日本郵便が全国で持つ不動産について、野村不が事業化することでグループの新たな収益源に育てることが狙いだった。
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日本郵政は一昨年、オーストラリアの物流大手「トール・ホールディングス」を約6200億円で買収したが、同社の業績悪化により前年度に約4000億円の減損損失を計上。その結果、前年度決算では郵政民営化後、初の最終赤字に転落した。このため、同社の買収戦略に対して自民党などからも慎重な意見が出ていた。
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