数十年後には食糧危機:日本は大丈夫か!

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米は小麦と同じくらいの生産量!
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稲は食糧危機を救うし・輸出もできる!
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国連食糧農業機関(FAO)によると、2008年の精米輸入国の第1位はフィリピン(約250万トン)。アラブ首長国連邦(UAE)、イラン、サウジアラビア、マレーシアが続く。輸出国1位はタイ(約860万トン)。ベトナム、パキスタン、インド、米国と続く。近年はカンボジアやミャンマー(ビルマ)も主要輸出国入りを目指す。
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2050年、世界の人口が90億人を突破する一方で、日本の人口は1億人を下回ると予測されている。
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約20年前、日本は記録的な冷夏による不作で国産米の供給が足りなくなった。小売店から米が消え、限定販売する店には買い求める人の長蛇の列ができていたのを覚えている。近年では、2011年の東日本大震災の影響で食料や物資の流通機能が麻痺し、都心部では食料の買い占めが起こった。
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現在、国連の推定によると世界の人口は年に1.18%の割合で増え続けていて、2050年には90億人に達する。それにともないFAO(国際連合食糧農業機関)では、2050年までに60%の食料生産を増やす必要があると2012年に発表している。
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世界各国が食料政策で大変革を起こさない限り、数十年後の地球は人口を養えなくなるーーー。国連食糧農業機関が2月に発表した。急増する人口に対応するため、農業生産量を50%増加させる必要があるという。
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人口増加だけでなく、食生活の変化で肉の消費が増え、肉の生産のために多くの穀物と水が必要になる。地球温暖化による気候の変動で、数十年後にはサハラ南縁の不安定な地域で農業生産高の減少が予想される。
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トウモロコシや小麦などの価格は、2000年以降、急激に上がり続けており、トウモロコシでいうならば、不作などで一時的な高騰はあるものの1970~1990年代は1ブッシェル(約25kg)あたり2ドル程度で推移していたのが、2000年頃から上がり始めて2008年には6ドルにまでなった。リーマン・ショックで下落に転じたとはいえ、以前の価格に戻ったわけではなく、上がったり下がったりを繰り返しながらも価格の下値は確実に上昇している。
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中国のトウモロコシの需要拡大は、豚の飼料用穀物としての利用が高まり、今では世界の消費量1億トンの半分、5000万トンが中国で消費され、世界の豚の半分を中国人が食べている。
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それでも、国連は、2030年には6億人が栄養失調に陥るとみている。
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対策は可能だが、巨額の費用が必要だ。生産高工場のための農業技術や遺伝子組み換えの研究、食料供給システム構築のために、あらたに年間2650億ドルの投資が必要になるという。
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食料の需要と供給のバランスが崩れると、食料の価格は高騰し、手に入らない作物が増えていく。やがて慢性的な不足に陥れば争いに発展することもあるだろう。実際、チュニジアに端を発した北アフリカや中東の民主化運動「アラブの春」は、干ばつの被害を受けたロシアが穀物の輸出を停止、それによる穀物価格の高騰が原因のひとつだと言われてい.
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人口約2億5000万人のインドネシアではやはり人口増加と経済発展にともなって砂糖の消費量が増え、生産量を上げながらも輸入を拡大している。インドネシアの砂糖輸入量は世界第4位だ。
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化石燃料は温室効果ガスを排出する。そこで導入され始めているのがバイオ燃料です。バイオエタノールに積極的に取り組むブラジルでは、サトウキビの生産が急増しています」
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原油の使用を抑え、地球温暖化の対策にもなるのだからいいのではないかと素人目には見えてしまうが、作物の需要に供給が追いつかなければ結局、価格は上昇する。しかも、いままで食料として消費されてきた作物が燃料に取られてしまうのだから、貧困層を中心に食料不足へとつながることも懸念される。
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「水は循環する資源ですが地域的な偏りがあります。2011年のタイの大洪水が記憶に新しいですが、東南アジアなどでは異常気象によって雨期は洪水、乾期は水不足で農作物に影響を与えているし、中国、インドなど工業化が急進している国では水質汚染が問題になっている。インドは基本的に食料を自国で賄っていますが、地下水が枯渇してきていて水位の低下や塩害が起こっています。そうすると慢性的な水不足を解消するために、農作物の生産を調整して輸入に動く可能性も考えられるのです」
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「日本は食料に対する危機意識が乏しい」と専門家は警鐘を鳴らす。実際に世界的な食料危機が起こったら、日本は非常に深刻な状況に陥ります。食料自給率(カロリーベース。以下同)が39%しかありませんからとうてい国民を養えませんし、輸入に頼っているトウモロコシや小麦が入ってこなくなれば、それを飼料とする畜産農家が廃業します。耕作放棄地で再び作物をつくるにしてもすぐには無理。日本は食料危機に備えて早急に対策を立てる必要がある。
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必要なことは、「穀物の備蓄を拡大すること」、「輸入先を多角化すること」、そして「国内の農業資源をフル活用すること」の大きく3つがかんがえられる。米1トンで1年間養うことのできる人数は大人6~7人と言われており、米の備蓄はおよそ90万トンではすぐに底をついてしまう。
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食料の安全保障という意味では、輸入先の多角化が必要だ。日本の輸入先はトウモロコシの75.5%、小麦52.9%、大豆61.6%(いずれも2012年)とアメリカに大きく依存しているのが現状。つまりはアメリカが輸出制限をしたりすれば日本はたちまち食料不足となる。新興国の輸入が拡大している現状では一局集中を避け、ロシアやウクライナ、中南米などに輸入先を広げておく必要があるという。
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どれだけ食品を確保しても、毎日、賞味期限切れで下げられる商品の量も相当なもの、「農場から食卓に届くまでに、食品の3分の1が廃棄されている」。平成24年度の食品廃棄物の年間発生量は1916万3000トンとなっている。このうち再生利用率は全体で69%。
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日本の米の年間収穫量850万トン(2012年)に届こうという量になる。500万トンとすると、世界全体の食料援助量400万トン(2013年)を大きく上回る。国民1人当たりにすると、1日におにぎり約1~2個分が捨てられている計算になる。世界全体でも、食品の3分の1が無駄になっている。
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人口の減少に伴う耕作面積の減少、逆に輸入品の増加。自給率の減少をどのようにカバーするのか。国の政策にもかかわる問題だ。米の増産は、重要な輸出品目にもなる。
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