ソフトバンク:3.3兆円買収・ARMは金の卵か!

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親鳥の有利子負債は11兆9200億円!
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英国の半導体設計大手ARM(アーム)ホールディングスの買収不足金1兆円は、みずほ銀行からの借り入れで賄うというが、有利子負債総額は12兆9200億円と巨額になった。
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問題はARMを手に入れたことで、ソフトバンクに相乗効果が期待できるのはどの部門なのか。あるいはARM単独でソフトバンクの収入源の柱となれるのか。
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過去に買収したのは、
04年に日本テレコムを約3400億円で買収
06年に携帯電話の英ボーダフォン日本法人を約1兆7500億円で買収
13年に米携帯電話3位のスプリントを約1.8兆円で買収
過去にも、米国の半導体製造業キングストン・テクノロジーを買収し、約470億円の損失を出して売却した経緯があり、スプリントを買収した時も4位のTモバイルUSを買収する計画が米当局に認められず投資効果が表れておらず、今ではお荷物となっている。
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半導体産業の主役と言えば米インテル。インテルと言えばパソコン。電機産業の成長軸がパソコンからスマートフォンに移行し、主役もARMに移った。ARMは半導体の心臓部であるCPU(中央演算処理装置)の設計に特化し、その“設計図”を半導体メーカーに提供する。各メーカーはARMのCPUのほか、通信や画像処理などの機能も付け加えて半導体全体を設計し、製造・販売する。ARMの売上高は、スマホでシェア9割というが、2013年にようやく1000億円を超える程度である。しかし、在庫は必要としないので利益率は50%である。
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ARMの収入は、「半導体メーカーがARMの設計図を使うことを可能にするライセンス料」と「設計図を使った半導体の売り上げの一部を受け取るロイヤルティ収入」。
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ライセンス料は設計図の種類や条件によっても異なるが、数千万円から数億円程度。11年以降は毎年100を超す新規契約が結ばれ、13年末時点で348社と1000を超すライセンス契約が締結されている。
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ロイヤルティは、半導体の売り上げの1%から数パーセントを受け取る仕組みだ。13年にARMが手にしたロイヤルティは、半導体1個当たりわずか4.7円(1ドル=100円で換算)。100億個を超す半導体に採用されているため、ロイヤルティ収入も巨額になるのだ。
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なぜARMが採用されるのか。開発コストの削減だ。CPUを自社設計するよりも「もはやコモディティ化しているので、買った方が早い」(半導体メーカー幹部)。“心臓部”はARMを採用し、自分たちは半導体の特徴を際立たせる通信や画像処理といったそれぞれの得意分野に、開発リソースを集中できる。
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ARMの設計図を取得しても、実際に半導体が製造・出荷されるまでには数年かかる。いまのARMのロイヤルティの大半は、5年以上前に結んだライセンス契約からだ。いまも新規ライセンス契約を結ぶ企業は後を絶たず、契約数は伸び続けている。
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家電製品から自動車産業へ、そして人工知能へと顧客は拡大してゆく。ソフトバンクはARMをどう扱っていこうとしているのか、まだ一言も孫社長は口を開いていない。
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