米軍の「航行の自由」作戦:2015年は13カ国対象に実施!

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南シナ海で3回目の作戦を計画!
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4月25日、米軍は2015年、南シナ海と東シナ海で領有権を主張する中国を含めた13カ国に対し「航行の自由」作戦を実施したことが、米国防総省の年次報告書で明らかになった。
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報告書によると、米軍による「航行の自由」作戦の対象となったの、中国、インド、インドネシア、イラン、リビア、マレーシア、モルディブ、オマーン、フィリピン、ベトナムなどが含まれる。
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米軍が各国に対し、それぞれ何度の作戦を実行したか等の詳細は計2ページの同報告書に記載されていない。ただ台湾、ニカラグア、アルゼンチンに対しては1度だけ作戦を実行しており、合計で13カ国に及んだことが示されていた。
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「航行の自由」作戦には、他国が航行の制限を課そうと試みている海域に米海軍や軍用機を派遣する活動が含まれる。作戦の目的は、国際社会がそのような航行の制限を容認しないことを明確に示すことだ。
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米軍はここ数年、中国が領有権を主張する海域に対して何度も作戦を展開してきた。昨年も、中国による人工島造成で資源が豊富な南シナ海の領有権をめぐって域内の緊張が高まり、米軍が作戦を実行した。
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米軍は昨年10月、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島に中国が造成した人工島から12カイリ(約22km)内にミサイル駆逐艦を派遣する作戦を遂行。島の付近にいる米軍の軍用機は、近づかないように警告されてきた。
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米軍のパトロール活動に対する中国の非難にもかかわらず、カーター米国防長官は、米海軍がこの地域で活動を続けると表明した。中国国防省は25日夜、ウェブサイト上で声明文を発表し、米軍の作戦に対して深い懸念を表明。「米国は、航行と上空通過の自由の名の下に、南シナ海で軍事化を推し進めており、沿岸諸国の主権と安全を脅かし、域内の平和と安定を破壊している」と非難した。
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同省の声明は、フィリピンに近い中沙諸島の黄岩島(同スカボロー礁)付近での最近の米軍機による飛行をめぐる報道を受けたものだ。黄岩島をめぐっては、2012年にフィリピンの沿岸警備隊とのにらみ合いの後、中国が実効支配を続けている。米太平洋軍のハリー・ハリス司令官は今年に入り、米海軍による南シナ海での「航行の自由」作戦を強化する方針を示した。理由としては、中国が現地で軍事施設を建造し、実効支配を狙っているとの懸念を挙げている。
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また、昨年行われた米軍の「航行の自由」作戦は、中国が主張する排他的経済水域(EEZ)上空の管轄権や、航空機の飛行を制限するため中国が設定した東シナ海上空の防空識別圏をけん制している。
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米軍が昨年、同作戦を実施した対象国数は、過去10年以上で最大となった2014年の19カ国には及ばなかった。
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イランとフィリピンは長年、最も頻繁に挑戦を受けてきた国だ。込み合う海上交通路にまたがって位置する両国が、交通路を制限したり、統制しようとしたことが主な理由になっている。
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関係筋が4月1日、ロイターに明らかにしたところによると、米海軍は4月上旬に、南シナ海で中国が主権を主張する人工島から12カイリ内に軍艦を派遣する「航行の自由」作戦を計画している。実施されれば、同作戦は昨年10月と今年1月に続き、3回目となる。
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この報道を受け、他の米当局者らは近く作戦が実施される可能性に否定的な見方を示した。ただ、米国は中国の主張に根拠はないとして、引き続きこの問題に対応していく方針であることを明確にした。
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ある米政権当局者は2日、「南シナ海で自然に形成された土地に関する主権争いで、いずれの立場も取らないという、われわれが長年維持してきた姿勢に変わりはない」と指摘。
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「国際法で認められている権利と自由の違法な制限につながる海洋における主張に対処するため、われわれは定期的に世界中でそうした作戦を実施しており、南シナ海も対象になる」と述べた。
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