フォレスト東山パークハウス:耐震構造スリットで手抜き!

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安藤・間施工・106カ所未で施工!
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耐震隙間・6割に不備!
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2001~03年に建設され、三菱地所(東京)が販売した名古屋市千種区の高級分譲マンション「フォレスト東山パークハウス」(128戸)で、建築図面では約550カ所となっている耐震用の「構造スリット」のうち106カ所が未施工だったことが分かった。深さ不足などの施工不良を含めるとスリット全体の6割近くに問題があり、建設会社が補修工事を進めている。
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スリットは、建物の損傷を防ぐために、柱と壁との間に設ける隙間。三菱地所は施工不良を認めて組合側に謝罪した。「地震による倒壊の危険性はない」としているが補修工事と住民への補償協議を進めている。
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マンションは地上7階・地下3階の建物が5棟あり、計128戸が入居。安藤ハザマ建設共同企業体(JV、現安藤・間)が2001年5月~03年1月に建設し、三菱地所が販売した。最上階の販売価格は約2億円だった。
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管理組合によると、2年前に行われた修繕工事の請負業者が構造スリットがないことに気付いた。管理組合が三菱地所などに連絡し、1級建築士を立ち会わせて調査したところ、106か所はスリットがなく、196か所は溝の深さ不足などの不備があった。三菱地所と安藤・間は施工不良を認め、住民に謝罪。三菱地所は「耐震性能への重大な影響はないが、大きな地震が発生した場合、壁のひび割れなどが起きる可能性はある」とし、安藤・間は今年2月頃から補修工事を始めた。
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名古屋市によると、2月に両社から「設計図面とは違う施工をしたことが判明したので、改修する」と報告を受けたという。市は安藤・間に当時の施工体制や建物の現状、是正方法などの報告を求め、安全性の確認を急いでおり、状況に応じて是正措置を勧告する方針。市の担当者は「現時点で建築基準法に抵触しているかは不明だが、今後、構造計算書などから状況を詳しく把握し、対応を決めたい」としている。
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国土交通省によると、マンションなどの建物が図面通りに施工されていない場合、建築基準法に抵触する恐れがある。構造スリットなどが正しく施工されず、想定した耐震性が確保できない場合は「施工業者に業務改善命令を出すか、営業停止処分にする可能性がある」(国交省建設業課)としている。
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◇「構造スリット」
地震の揺れを遮断するため、壁と柱やはりなどの間に設ける隙間で、幅は2.5~5cm程度。隙間にはポリウレタンなどの緩衝材を詰める。柱と接続する部分の壁に溝をつくる工法もある。
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