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資本規制再び強化も!
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中国人民元が関税の痛みを感じている。米中両国が繰り広げる輸入関税の引き上げ合戦に押し下げられ、元相場は1ドル=7元に近づきつつある。
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元安は、中国本土の輸出業者が受けるダメージを和らげるかもしれない。一方で、資本の国外流失を招くことにもなり、国内経済を下支えする政府の取り組みの妨げになる。中国は相場を安定させようと、再び資本規制を強めるかもしれない。
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元相場は、しばらく「こう着状態」にあった。しかし、トランプ米大統領が先週、中国がそれまでの合意を撤回したと示唆したことで、市場の楽観的な見方は崩れ去った。トランプ氏は5月10日、2000億ドル(約22兆円)相当の中国製品に対する関税を25%に引き上げた。中国側も報復措置を取った。
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海外投資家向けのオフショア市場のトレーダーは一斉に元を手放し、元相場は5月13日、1ドル=6.9元を超えた。より厳しい統制下にある中国本土のオンショア市場は、もう少し緩やかな元安にとどまった。
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ヘッジファンドを運用するカイル・バス氏のような、人民元が過大評価されていると長年主張してきた投資家が、中国人民銀行が昨年引いた防衛線1ドル=7元を超えて元安が進む可能性があると言うのにも一理ある。
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だが中国政府は、疲労感の出ている経済の活性化に集中しなければならない。第1・四半期に垣間見えた一時的な景気の回復は、米国との貿易戦争が再び激化する前から揺り戻しの兆候をみせていた。国内総生産(GDP)の5分の1程度を占める輸出が4月に予想外に減少したほか、工場の生産活動も落ち込んでいる。
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