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経済活性化担当に!
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支持を広げる戦略というが!
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民主党大統領候補指名を目指すヒラリー・クリントン氏は、大統領に就任すれば夫のビル・クリントン元大統領(69)に「米経済の活性化」を担当させると表明した。大統領選の本選を見据え、クリントン政権下の1990年代の好景気を有権者に思い起こさせ、支持を広げる戦略だ。
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米メディアによると、クリントン氏は5月15日のケンタッキー州での集会で「彼は(経済を活性化する)方法を知っている」と訴えた。16日にも同州で支持者に対して「誰もが恩恵を受けた90年代のような経済を取り戻したい」と強調した。「私が幸運にも大統領になり、彼が『ファースト・ジェントルマン』になったら、働いてもらうと夫に既に伝えた」と語った。
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クリントン氏は元大統領の具体的な役職などの詳細は明らかにせず、閣僚ポストに指名する可能性は否定した。
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クリントン氏は夫の大統領時代、ファーストレディーとして医療保険制度改革の責任者に就任した経験がある。改革は共和党の反対で挫折した。クリントン元大統領は民主党支持者に根強い人気があり、妻の選挙応援のために各地を遊説している。
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この発言の奥には、この指名選挙について回る「味方のはずの夫ビルの失言・暴言に手を焼いているから」だという見方もある。
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ビル・クリントン元大統領の胸の内に、妻のヒラリーを大統領にしたくないという思いが潜んでいるのかもしれない。そうでなければ、雄弁かつ頭脳明晰なはずの元大統領が妻の選挙戦で不用意な発言を繰り返している理由が分からない。
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4月初旬にフィラデルフィアで開催されたヒラリー陣営の選挙集会でも、演説中に暴言を吐いた。彼の政権下で成立した包括的犯罪防止法について、「黒人の命を軽視するな」と訴える活動家たちから非難のやじが飛んだときのことだ。
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この法律には、重罪で前科2犯の者が新たに有罪となれば、たとえ3度目が軽い罪でも終身刑を科すという条項がある。そのせいで刑務所暮らしの黒人男性が激増し、結果的に刑務所が過密状態になったとされる。
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ヒラリーはこの法律の廃止を公約している。夫のビルも2015年には妻に同調していたのに、いきなり言い出した。
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「13歳の子供を麻薬漬けにして、街なかで同じアフリカ系アメリカ人の子供を殺させるような大人を許すのか」と元大統領は反論した。「そんな奴も善良な市民だと思うのか。ヒラリーは違う。そうは思っていない! あなたたちが大切だと言う命を奪うような連中を、あなたたちは擁護するのか」
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壇上でわめく元大統領の姿は、あっという間にネット上に拡散し、映像を見たヒラリー支持者たちは苦虫をかみつぶし、右派の陣営は狂喜した。
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妻に追い越されたくない
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今回の大統領選挙でヒラリーは黒人票を頼りにしている。警官による暴力で息子の命を奪われた母親たちと一緒に、黒人の命の重みについて語る活動も続けている。ところが自分の「実績」に執着する元大統領は、妻が忘れたい過去を思い出させてしまった。
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あの法案が成立した当時、ヒラリーは夫を擁護し、暴力的な未成年のギャングを「スーパープレデター」と呼んだことがある。彼女は今回の選挙戦でその発言を蒸し返されたとき、素直に謝罪している。なのに、夫がまた蒸し返えした。
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ビルが妻の選挙応援で暴言を吐いたのはこれが初めてではない。先月には「過去8年間のひどい遺産」と、オバマ政権を否定するような発言をした。2月にも、今のアメリカに「変化を起こせる大統領はいない」と口走った。
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だが思えば、08年の大統領選でも似たようなトラブルを起こしていた。サウスカロライナ州の予備選でオバマがヒラリーに勝ったとき、ここではかつて泡沫候補だった黒人指導者ジェシー・ジャクソンも勝ったと発言。オバマの躍進も大したことではないと片付けようとした。
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オバマがイラク戦争に正しく決着をつけたというのは「これまで聞いた中で最大の作り話」と語り、オバマ陣営に「人種カードを切られた」と不満を漏らしたこともある。ただしヒラリーが撤退してからは、ビルもオバマを応援する立場に転じ、民主党大会で名演説をするなど、立派な振る舞いを見せていた。
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どうやら彼は、妻が頑張っていると妨害したくなるらしい。妻に追い越され、否定されるのが怖いのかもしれない。いずれにせよ、ヒラリーは夫を黙らせるべきだ。離婚できないならクビを切ればいい。
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