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一部では官製談合ではと言われるが!
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9月11日、「京都市立芸術大学及び京都市立銅駝美術工芸高等学校移転整備工事設計業務委託に係る公募プロポーザル」の選定結果が公表された。
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概算総事業費250億円(設計、調査、建設費)、建物延べ床面積55,000㎡、基本設計・実施設計で2年半、工事業者選定から工事完成まで丸3年、平成35年には供用開始となる大事業である。設計業界も久方の大型案件で注目を浴びていたが、決まってみると何故か芸術村のお祭りだったようだ。
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受託候補者に
「乾・RING・フジワラボ・o+h・吉村建築設計JVが選定され、委託額上限6億5450万円となった。参加者は25者JV(単独も含め)で一次審査で6者JVが選ばれ、その中で最高評価の合計点が最上位であった乾JVが選ばれた。
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(別紙)
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この審査結果について、一部から“少々疑問がある”との指摘が本紙にあった。簡単に言えば情実選定ではないのか、世間でいう官製談合に当たらないかというのである。
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(評価点一覧・6JVの得点)
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上記評価点で、Aが乾JV、BがC+AJV、Cが山本JVであり、1次審査ではBが1位であったが2次審査の技術提案2項目で5点差であったのが挽回し1.5点差でAが最高点となった。
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A)1位・乾・RING・フジワラボ・o+h・吉村設計JV
B)2位・C+A・平田晃久・スキーマ・ティーハウス設計JV
C)3位・山本・石本設計JV
他に、kwhg・Tato・安井設計、㈱槇総合計画事務所、宮本・宮本・ドット・デネフェス・オンデザイン設計JV。
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なぜ、官製談合でないのかという話なのかは、審査員と落札者の人間関係を眺めてみれば「まんざら否定する話でもない」ということが分かるはずだ。
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(審査委員名簿)
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以下に1位のJV構成メンバーと略歴を記す。
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<1位の構成メンバー>
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代表者・乾久美子建築設計事務所
1992 東京藝術大学美術学部建築科卒業
1996 イエール大学大学院建築学部修了
1996~2000 青木淳建築計画事務所勤務
2000 乾久美子建築設計事務所設立
2000~2001 東京藝術大学美術学部建築科常勤助手
2006~2008 昭和女子大学非常勤講師
2008~2011 東京大学大学院非常勤講師
2009 The University of British Columbia School of Architecture非常勤講師
2009~2010 京都工芸繊維大学非常勤講師
2009~2011 東京藝術大学美術学部非常勤講師
2009~2011 早稲田大学理工学部非常勤講師
2010 The Oslo School of Architecture and Design非常勤講師
2011~2016 東京藝術大学美術学部建築科准教授
2016~ 横浜国立大学大学院Y-GSA教授
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構成員・㈱ RING ARCHITECTS
代表 郷野正広 一級建築士(第218965号) 上條美枝 一級建築士(第215006号)
郷野正広/Masahiro Gono
1961 山形県最上町生まれ
1982 宮城高専建築学科卒業
1982 – 07 竹中工務店設計部
2007 – 伊東豊雄建築設計事務所 協力
– RING ARCHITECTS 共同設立
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上條美枝/Yoshie Kamijo
1985 東京理科大学工学部建築学科卒業
1987 東京理科大学大学院修士課程修了
1987 – 89 丹下健三・都市・建築設計研究所勤務
1990 – 98 伊東豊雄建築設計事務所勤務
1999 – 上條美枝建築設計室設立
2007 – RING ARCHITECTS 共同設立 東京理科大学工学部非常勤講師
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構成員・フジワラボ(FUJIWARABO)
株式会社フジワラテッペイアーキテクツラボ一級建築士事務所
藤原 徹平
横浜国立大学大学院修了
2001~隈研吾建築都市設計事務所勤務、同所設計室長・パートナーを経て2012年退社
2009年よりフジワラテッペイアーキテクツラボ主宰
2010年よりNPO法人ドリフターズインターナショナル理事
2012年より横浜国立大学大学院Y-GSA准教授
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構成員・大西麻貴+百田有希 / o+h
大西麻貴 / Maki Onishi
京都大学建築学科卒業、東京大学大学院博士課程修了。2013年京都精華大学客員教授、名古屋芸術大学特別客員教授、2013年~横浜国立大学、法政大学非常勤講師。
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百田有希 / Yuki Hyakuda
京都大学建築学科卒業、京都大学大学院修士課程修了。2009~2014年 伊東豊雄建築設計事務所勤務。
2008年より、大西麻貴+百田有希 / o+hを協同主宰。
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構成員・一級建築士事務所 ㈱ 吉村建築事務所(京都市左京区)
代表取締役会長:吉村光弘
取締役社長:池田郁英
常務取締役:髙田祥弘
常務取締役:川口博
取締役企画部長:中尾邦広
取締役設計部長:金田弘志
取締役設計部長:田中誠司
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ここに出てくる共通点は「横浜国立大学大学院Y-GSA」の教授である。審査委員の妹島和世氏、落札者の代表者、乾久美子建築設計事務所の乾氏、フジワラボの藤原鉄平氏がY-GSAの教授である。o+hの大西麻貴氏は横浜国立大の非常勤講師である。
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他のJVには横浜国立大学大学院Y-GSAの教授は一人もいない。
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皆さんは、偶然の一致だと言えますか。JVメンバーを組む時点で、審査委員会のメンバーは当然知っているはずで、1次審査の見積金額の評価点で(10点満点)Aは2点、Bは6点、Cは4点であり、Aは限りなく上限委託料に近く、Bは上位3者のうちで一番安かったという事だ。この時点で、見積額だけでAはー4点差であったのが2次審査でひっくり返せたのは2次審査の技術提案2項目で7点も取れたからだ。見透かしたような点数づけだ。
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