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世界経済に与える衝撃は予想以上!
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大手ヘッジファンドが攻勢!
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原油価格の急落など資源バブルの崩壊(俗称:逆オイルショック)が世界経済に与える衝撃が予想以上になっている。
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原油価格の低迷が続いた場合、富裕国というイメージで定着されているサウジアラビアでさえ2018年に破綻するとの予想が出ている。サウジの外貨準備高はこれまで潤沢だったほか、財政収支も安定していた。ただ、これは同国政府が就業機会の提供および公共支出の拡大で成り立っていると指摘されている。原油価格の急落に伴い、これまでのシステムが一気に崩れた。
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サウジのほか、ナイジェリアやアゼルバイジャンなど財政力の弱い国がすでに破綻状態に陥っている。ナイジェリアはこのほど、世界銀行などに対し、35億米ドルの緊急支援を求めたほか、アゼルバイジャンも救済をめぐり、世銀や国際通貨基金(IMF)などと交渉を進めていると報じられている。
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実際、日銀が1月29日にマイナス金利を決定したのも、強力に物価を押し上げる「効果」を期待してのことだと思われる。同時に強力な押し上げ効果を加える必要があるほど、かなり強い押し下げの力も働いていると見るのが自然だろう。
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その強い下押し圧力の象徴が「原油下落」であり、背後にあるのは、一部の新興国を震源地にした需要の減少だ。原材料の爆買いが急にしぼみ、コモディティ価格が急落すると、予想を超えて米株市場の下落を招いた。
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「世界経済の低体温症」は、金融政策における緩和強化だけでは、対応が難しいという声が、米欧の有識者から出始めている。26、27日の上海における20カ国(G20)財務相・中銀総裁会議でも、一部の国からは財政面でのテコ入れの必要性を主張する動きが出てきそうだ。
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ただ、即効性のある対応策がなかなか見つからない事態を、現実の姿として直視するべき状況になっているのではないか。とすれば、財政・金融の追加パッケージという「解熱剤」に頼るだけでなく、イノベーションを促す企業や個人、大学などの動きをサポートする対応を打ち出し、10年先を見つめた長期ビジョンを打ち出すことも必要だろう。
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とは言え、マイナス金利政策に直面した銀行やその他の経済主体は、少しでも高い利回りを求めて、これまで以上の努力を強いられる。そこで米国債が「最後の楽園」に見えてくると思うが、日本勢にはやっかいな問題が持ち上がっている。ドル調達コストの上昇だ。ドル調達コストは、今月15日に3カ月物で115bpに上昇。一時、5年米国債US5YT=RR利回りを上回り逆ザヤに陥った。
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「最後の楽園」に入る切符は、日本勢にとって相当に割高になっているのだ。「G20後に急激な円高と株安が発生しませんように」──。多くの日本の市場関係者が祈るような心境になっているのではないか。
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原油価格の急落でサウジアラビアの財政が圧迫される中、大手ヘッジファンド数社は同国が30年にわたって維持し、経済安定の防波堤として機能してきた通貨ペッグ(連動)制の放棄に追い込まれるとみて攻勢をかけている。
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事情に詳しい複数の関係者によると、そのうちの1社はザッカリー・シュライバー氏率いるヘッジファンド運営会社ポイントステート・キャピタルだ。同社は資産家の投資家スタンリー・ドラッケンミラー氏の支援を受けており、2014年には原油相場が下落するとの予想を的中させて10億ドル(約1140億円)の利益を得たという。同関係者によれば、トム・ワーグナー氏が共同創業者に名を連ねるイベントドリブン型ヘッジファンド運用のナイトヘッド・キャピタル・マネジメントもこうした投資を行っている。関係者は情報が非公開であることを理由に匿名で語った。
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サウジは輸出で得られる収入の約75%、歳入の80%を原油に依存している。リヤルは1986年以来、1ドル=3.75リヤル近辺で推移しており、サウジ当局は最近、リヤルの投機的取引をより困難にする措置を講じた。しかし、ペッグ制が崩壊すれば比較的低い先行費用で大きな見返りを得られると考えるヘッジファンドにひるむ様子は見えない。
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バンク・オブ・アメリカのストラテジスト、アーコ・セン氏は電話取材に対し、「大きなイベントが起きる可能性は低い。サウジはペッグ制を維持する公算が大きいとしても、通貨切り下げに備えて先物を使うのはリスクとリターンのバランスを取るのに良い手法だ」と述べた。
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