博多駅前陥没:岩盤厚さ・想定の2m未満!

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1月・市「前日兆候報告なし」、大成「異常なかった」!
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福岡市のJR博多駅近くの地下鉄工事現場で起きた陥没事故で、トンネル上部の岩盤層の厚さが、崩落を防ぐために市が計画していた「2m以上」に満たなかったとする解析結果が出ていたことがわかった。市は岩盤層の厚さを確保するためトンネルの天井を下げるように設計変更していたが、想定通りにはならなかった。事故の原因究明にあたる国の有識者委員会は「厚さを適正に評価できなかった可能性がある」とし、想定の甘さも事故の一因とみている。
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市は地下鉄七隈線延伸工事を進めるにあたり、トンネル上部の岩盤層を2m以上確保する計画で設計を行った。ところが、施工前のボーリング調査で、当初の想定よりも岩盤層が薄いと見込まれたため、施工業者の意見を踏まえて、トンネルの天井を約1m下げるように昨年8月に設計を変更。これにより、トンネル上部に2・66m以上の岩盤層を確保できたとしていた。
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しかし、関係者によると、1月に開かれた有識者委の第2回会合では、設計変更後も「一部を除き、2mを下回ったと想定される」とする解析結果が報告された。事故後に市が実施したボーリング調査に基づく解析では、岩盤の厚さは1・81~2・03mとなっていた。
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有識者委は「岩盤層の薄さが事故の要因となった可能性がある」とみて、追加で指示していたボーリング調査の解析結果を注視している。
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福岡市のJR博多駅近くで昨年11月に起きた大規模陥没事故で、事故前日からトンネルを支える鋼材にかかる圧力を調べる計測器が、基準を上回る数値を示していたことが分かった。市は「陥没の兆候を示す値だったが、市への報告義務が果たされていなかった」としており、今後、業者側にヒアリングを行う方針。一方、施工した共同企業体(JV)代表の大成建設は「掘削現場の安全性を判断する計測を別に行っており、異常はなかった」としている。
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市によると、JVは掘削後、1時間に1度、自動的に圧力を測る計測器をトンネル内に設置した。計測値は事故前日の昨年11月7日から上昇。同日午後6時頃には、土木学会の指針に基づいた3段階の基準値のうち、現場点検などが求められる「レベル1(注意体制)」になった。この時点で市に連絡する取り決めだったが、連絡はなかったという。
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事故の8日午前1時頃に、対策工事の実施を求める「レベル2(要注意体制)」、30分後には掘削の停止を求める「レベル3(厳重注意体制)」となったが、工事は続いた。高島宗一郎市長は24日の定例記者会見で、「どうして異常な数値が出ていたのに工事を続行したのか。事故を防げたかどうかの核心、肝ではないか」と述べた。
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大成建設は、この計測器について、「トンネルを支える鋼材の施工方法の妥当性や今後の設計の安全性を判断することを目的として設置した」と説明。常時監視の対象ではなく、計測結果は施工段階ごとに定期的に市に報告していたという。
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