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防衛向け水中ドローン!
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航走能力高める「電池」開発へ!
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IHIは無人艇、水中飛行ロボット(ドローン)で構成する「海洋無人システム」の提案を本格化する。尖閣諸島周辺の防衛力強化のため、防衛省の新防衛大綱や中期防衛力整備計画で、無人装備の活用推進が盛り込まれており、防衛省や海上保安庁に採用を働きかける。また、沖合で魚養殖を手がける水産大手や商社、油田パイプラインの点検需要がある石油メジャーなど民生分野にも訴求していく。
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海洋無人システムは水中ドローンで撮影したソナー画像を無人艇に送り、衛星を介して支援船にリアルタイムで送信するもの。防衛省向けの実証を2014年に実施しており、リアルタイム送信で潜水艦が海中を移動しても把握できる。
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内閣府主導の海洋資源調査では、IHIは洋上管制システムや洋上中継器を16年度まで担当。これ以外に水深3000mまで潜れる海底調査用ドローンを社内で製作、海上保安庁の受注につながった。
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水中ドローンは音響センサーの反射を元に画像をつくる。「これまでは欧州メーカーが強い分野だったが、最近は技術力でも差が縮まってきた」(IHI)とする。
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現在は対象市場は防衛関連が中心だが、民生向けにも採用を働きかける。地震予測や火山噴火予測での断層調査、海底油田やガス田探査、海底でのレアアース(希土類)採集などのセキュリティー対策で需要が見込める。
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また、原油価格が上昇しているのも追い風だ。海底油田パイプラインは従来、現場まで船で行きロボットを投下して定期点検をしていた。無人艇と水中ドローンを組み合わせて、定期的にパイプを巡回点検する要望が出ているという。
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防衛装備庁は三菱重工業などと共同で、無人水中航走体(UUV)向けの燃料電池発電システムを開発する。発電システムの完成により、UUVの航走能力や航続距離が向上し、離島防衛やわが国に侵入する不審船・潜水艦の監視などにも効果が見込める。燃料電池システムは陸上試験で30日間の連続発電を達成済み。引き続き、実運用に近い形での陸上試験を進め、2020年度以降の実機搭載につなげたい考え。
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UUVは潜水艦や対潜哨戒機などと違い、無人で長期間監視任務に就くことが可能。将来水中戦を変える技術として期待が高まっている。
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燃料電池は水素と酸素のタンクを用いたHEML式を選択。加湿器やブロワーが不要なため消費電力が少なく、故障リスクも小さいという。
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複数の燃料電池装置と二次電池を組み合わせ、電力需要に応じた燃料電池装置の出力制御や発電基数の切り替え、二次電池への切り替えを自動化することにより、高効率発電を達成した。
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現状のUUVは尖閣諸島や日本近海で長期間潜んでいたり、決まったコースを巡回するなどの運用を想定している。だが、実際の監視運用では不審船を発見した後に追従し、追いつくために速度を上げる能力も必要になる。
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必要となる電力量の向上は避けられないが、UUVは大きさに限りがあるため、軽量小型化と電池性能向上の両立をにらみながら改良を図る。
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