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厚労省分割は「議論していない」・菅官房長官!
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厚労省分割案は「厚生・労働切り離し」!
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菅義偉官房長官は2018年8月2日午前の記者会見で、政府・自民党が厚生労働省の分割を検討しているとの一部報道について「政府として分割するという議論は行なっていない」と述べた。そのうえで中央省庁の再編に関して「(平成13年の再編から)時間がたっており、時代の要請に応え、国民に対応することは極めて大事だ」と指摘した。
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菅氏は厚労省について「業務はきわめて多岐にわたり、大臣の国会答弁も突出している」と指摘した。一方で、障害者福祉の充実と障害者雇用の促進などを一体的に進めていることを挙げ、「制度横断的に国民生活をカバーしている側面もある」と述べた。
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厚生労働省の分割案が三たび、政府・与党内で浮上してきた。安倍晋三首相の最大の課題の一つは、2018年9月20日開票の自民党総裁選で勝利し、引き続き求心力を保つこと。省庁再編構想は首相側近、自民党の甘利明・行政改革推進本部長の肝いりで、「行革」を政権維持の推進力にする狙いが透ける。矢面に立つ厚労省は「長期戦」を覚悟している。
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自民党の厚労省分割構想が一部メディアに報じられた8月2日。記者会見で事実確認を求められた菅義偉・官房長官は、「厚労省の業務が極めて多岐にわたり、大臣の国会答弁が圧倒的に多いことは承知している」と述べ、「政府としては議論していない」としながらも、「それぞれの時代の要請に応えて国民に対応することは大事だと思っている」と強調し、「前向き感」を示した。
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自民党行革本部案は、2001年に森喜朗内閣が手掛けた、1府12省庁への中央省庁再編を見直すものだ。原案は「厚労省の業務量、厚労相の国会対応が極めて多い」「内閣官房、内閣府のスリム化」などで、9月5日に公表された提言案も、「子育て政策の実施主体が分かれている現状を改善すべき」など、問題点の列挙や党内の意見を強調するにとどめている。しかし、同党行革本部の関係者は「官邸の判断として、省庁再編を打ち出してもらうことが狙い」と明かす。
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同党内には、総務省や経済産業省などにまたがる情報通信行政の所管省庁創設など、幅広い議論を求める声もある。だが、首相周辺が思い描くのは、厚労省分割を軸とした限定的な再編構想だ。一部にある財務省にメスを入れる案には首相の盟友、麻生太郎・副総理兼財務相が強く反発している。風呂敷を広げ過ぎると各方面で利害の対立が起きて収集がつかなくなりかねない。だが、不祥事の絶えない厚労省の分割などに焦点を絞る方が国民にも分かりやすい、と判断しているようだ。
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厚労省がターゲットにされたのは、「1人の大臣で担当するのは困難」と指摘される、広範な重要業務を抱えていることがある。医療、介護、年金から生活保護、障害者福祉、感染症対策、そして雇用対策、職業訓練まで、頻繁に国会で野党から追及される政策分野だ。
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18年度予算は31兆円超と、国家予算全体の約30%を占める。国会への提出法案数、大臣の答弁時間、職員の残業時間などは他省庁を大きく上回り、内閣改造のたびに「厚労相の適任者が限られ、いずれいなくなってしまう」との声も上がる。分割して大臣が2人になれば守備範囲が狭まる上、衆参の委員会も2つになり、法案審議もスムーズになる。
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行革本部関係者によると、甘利氏らが温めているのは「厚生、労働を切り離す案」だという。厚労省は先の通常国会で、働き方改革を巡り、不適切なデータを持ち出したことで裁量労働制の拡大に失敗した。「経済成長」を重視する首相と馬が合う甘利氏の目には、今の厚労省のままでは生産性向上の追求が難しいと映る。労働規制の強化など労働者保護に偏っていて、成長戦略への目配りが足りないと考えているという。
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甘利氏は自民党総裁選で、安倍陣営の選対事務総長に就任した。首相はこれまで、「1億総活躍」「教育無償化」「働き方改革」などを次々ぶち上げ、国民の支持を繋いできた。首相は周辺に「『何かやってる感』を示すことが大切だ」と漏らし、多くの政界関係者もそれが内閣支持率を維持できている一因とみている。
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しかしそろそろネタ切れで、何をやっても二番煎じになりかねない。かといって、悲願の憲法改正を早期に実現できる環境にはなく、局面の打開が期待された北朝鮮問題も、ここへ来て膠着状態にある。さらに、2019年秋には消費税増税を控える。首相周辺は「総裁三選後も引き続き、『やってる感』を出していかないと支持を失う」と懸念し、次のテーマの一つに行革を据えようとしている。
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厚労省分割案が浮上したのは、今回で3度目。最初は09年の麻生太郎内閣の時だ。内閣府や文科省の関連部局も含め、医療、介護、年金などを担当する「社会保障省」と、雇用や少子化などを受け持つ「国民生活省」に分ける案が検討された。次は16年5月。小泉進次郎氏らがまとめた自民党の提言「厚生労働省のあり方について」。同省を「社会保障」「子ども子育て」「国民生活」の三つに分割する構想など3案を示した。
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麻生内閣当時の構想は、幼保一元化を巡る厚労・文部科学両省関係者の対立により、立ち消えとなった。だが、年金の個人情報流出や支給漏れなど不祥事が続く中、小泉氏らの提言に繋がり、「厚労省分割構想はずっと底流で生き続けていた」(厚労省幹部)。そうした中、自民党総裁選での「安倍三選」が確実視されるタイミングを見て、甘利氏が打ち出したようだ。
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厚労省は「社会保障政策と労働政策を一体的に推進する」として、旧厚生省と旧労働省が統合された。年金、男女共同参画と雇用など一体で進めるべき政策は少なくない。役割分担をどのようにしても、政策の縦割りは起こり得る。
複数の大臣が受け持つ制度・政策立案は調整が難しくなる上、責任の所在が明確にならないという欠点もある。
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世界的にも年金や医療と労働政策を一括して扱う省庁は稀。米、英、仏、独の主要国はみな複数の省庁で受け持っている。「分離すれば意思決定が早くなり、時代の要請にスピーディーに応えることが可能になる」との外部からの指摘は絶えない。
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議論の行方に、当事者の厚労省幹部は「またか」とうんざりした表情。生活保護受給者への就労支援など、厚生・労働一体の業務が増えていることを挙げ、「今更逆戻りしてどうするんだ」と言う。01年の省庁再編に携わった別の幹部は「省庁再編には莫大なエネルギーを要する。これから経済に力を入れねばならない安倍政権にそんな余力はない」と話す。
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厚労省分割に関し、肝心の首相は「何かメリットがあるのか」と言って乗り気ではないとの証言もある。それでも、日本経済新聞の2018年8月の世論調査で42%の人が分割に「賛成」と答えた。「反対」の24%を大きく上回っており、与党内には「来年の参院選で使えるタマだ」との期待もある。首相に近い加藤勝信・厚労相は周辺に「厚労省分割なんて、ない」と言い、沈静化を図っているが、その意図は必ずしも明らかでない。政治化の否定は信用できないのは過去の例が物語る。
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安倍首相は1月15日、勤労統計の不正について「統計への信頼が失われる事態が生じたことは誠に遺憾で、大変重く受け止めている」と言っていたが、なぜか口元は緩んでいた。
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北方領土問題ではプーチン大統領に弄ばれ、日米貿易交渉では円安誘導を禁じる「為替条項」を盛り込まれる可能性が高い。東京五輪でも、JOCの竹田会長の贈賄容疑が再燃だ。フツーなら、とてもじゃないが平常心でいられない。にもかかわらず、なぜ余裕シャクシャクなのかといえば、この最悪の状況を逆に利用してやろう考えているからではないのか。
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注目されるのが、安倍首相の直轄組織である自民党行政改革推進本部がまとめた「厚労省分割」プランだ。菅官房長官は2018年88月、「政府として(厚労省を)分割するという議論は行っていない」と言いつつも、省庁再編について「時代の要請に応え、国民に対応することは極めて大事だ」と語っていた。
今後、「国民のため」などと、もっともらしい理屈をこね上げて、政権浮揚を狙った「厚労省解体」を言い出す可能性は十分ある。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏がこう言う。
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「昨年、裁量労働制のデータ問題や障害者雇用の水増しなど、厚労省による不祥事が明るみに出ましたが、安倍政権はほったらかしてきた。今になって、統計調査不正を理由に厚労省を徹底的に追及するのは、極めて場当たり的に感じます。行政改革は必要だけれども、厚労省解体を叫ぶなら、公文書を改ざんした財務省にも同様に対処すべきです。そこまで徹底して改革しないのなら、ただの『点数稼ぎ』に過ぎません」
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安倍政権にとって、手詰まり中の政権浮揚策、転がり込んできた厚労省の勤労統計調査の不正は、願ったり叶ったりの「福の神」なのかもしれない。
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