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社会不安の芽を摘み大都市の成長をコントロール!
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中国「Uターン戦略」の見えない勝算!
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大きな帆布の上で乾燥させた菜種を叩き、種子を振り落としながら、 巻きタバコをふかしていた。近くで種子を取り終えた茎を燃やしており、立ち上る煙が水田を渡っていく。中国湖南省の農村地帯にある東風村に住む農家の日常の作業風景だ。中国農村部に住む多くの家族のように、彼らの子どもたちも、ずっと前から農業よりはるかに高い給料を得ることができる都会に移住してしまった。
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高齢化が進む中国の農村経済は、多くが小規模農家や零細産業で成り立っており、生産性低下に直面している。代わりとなる新たな成長エンジンは現れていない。
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人材流出があまりにも進展したことを危惧した中国の習近平国家主席は、いまや才能ある人材が地方にUターンするよう呼び掛けている。都市化が繁栄への入り口だと位置づけている中国では、これまで考えられなかった動きだ。
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約5億7700万人が暮らす農村地方の状況を改善するこで、社会不安の芽を摘み、消費を活性化させ、大都市の成長をコントロールしたいという、中国共産党の願いを反映している。
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習主席が2017年10月に打ち出した「農村振興戦略」の一環でもあると、中国国家発展改革委員会(NDRC)のアドバイザーを務める馬暁河氏は語る。農村地帯のインフラを改善し、近代農業を発展させ、「数兆元(数十兆円)」もの投資を呼び込む構想だという。
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この戦略の発表以来、いくつかの地方政府が、起業家や高い技術力を持つ労働者、大卒者、そして「プロの近代農業者」などを、ルーツがある農村に呼び戻すためのインセンティブに取り組むことを約束した。
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中部河南省は、起業するために同省の農村地帯に移住する人を対象に、60億元(約995億円)を今年支出する。こうした「地方起業家」20万人を誘致したい考えだ。
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東風村など500以上の小さな村々に囲まれた湖南省双峰県では、地方へのUターンを奨励する活動が活発に行われていた。
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「仕事を追って出て行く必要はない。機会はこの故郷にある」──。Gongxiang村の入り口に掲げられたバナーにはそう書かれていた。この誘致活動に今後5年間で最大5億元の予算が計上されると、村長Chen Deyuan氏は語った。
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スローガンを考えたのは、政府向けに研修サービスを提供する地元起業スクールのWang Xin代表だ。このスクールでは、電子商取引や中国茶など、地元政府が重要だと考える分野の専門家を育成する訓練を行っている。同代表は、なるべく多くの人を呼び戻し、毎年数千人を訓練したいと話す。
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だが、今年このスクールが就職フェア開催を支援し、簡単な製造業を中心に200以上の求人募集をした際、応募があったのはその半分以下だったと、Wang代表は言う。それでも、地元当局者は楽観視している。
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「3年以内に、故郷を去った人の8割が戻ってくるだろう」と、Chen村長は話す。双峰県周辺の村を管轄する婁底市の楊懿文市長は、観光などの分野を振興する「特区」の設置などの大規模プロジェクトがあれば、追い風になると話すが、地元の雰囲気は、それほど歓迎的ではない。
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「われわれの工場の従業員の大半は、中年かそれ以上だ」と、靴メーカーの九興控股(ステラ・インターナショナル)(1836.HK)が運営する工場で働く事務員HeShaさんは言う。工場の平均賃金は月額2700元だ。
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都市部に住むミレニアル世代と、農村に住む家族や親戚との分断も大きい。河南省の小さな町で育った27歳のLi Jinglongさんがその例だ。現在は米国で教育を受けたデザイナーとして活躍するLiさんに、故郷に戻る考えはまったくない。Liさんは1年前、スタートアップ企業のブランディングやデザインを請け負う事業を起業するため、湖南省の省都・長沙市に拠点を移した。「もし田舎に戻ることがあるとしたら、それは郷愁からだろう」と、Liさんは話す。
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中国社会科学院(CASS)によると、農村部における年間可処分所得の中間値は、2017年が1万1969元で、都市部の3分の1以下だった。
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西南財経大による別の調査によると、農村部の所得下位世帯20%の収入は2015年から2017年にかけて3.8%下落。同期間に、都市部の下位20%の所得は12.6%増加した。
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前出のLiuさんは、この土地に将来を見いだせないと言う。「農業を学んだ若い人たちも、戻ってくるべきではない」と彼は言い、彼らの子どもたちも都市で働いたほうがいいと話す。
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中国政府による帰郷キャンペーンによって、どれほどの人数が農村部に戻ったかは明らかになっていない。CASSによると、2012年─2017年に地方に戻った人は700万人程度にとどまった。
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村民人口が高齢化する中、農村部の生産性は低下する一方だ。国家信息中心(国家情報センター)が出した2016年の報告書によると、中国農村部では、人口の15.6%が60歳以上で、その割合は都市部に比べ5ポイント近く多かった。
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