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春節で帰省する出稼ぎ労働者・戻らない人も!
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中国の劇的な経済成長を支え、故郷から遠く離れた地であくせく働いてきた出稼ぎ労働者たちが今、お払い箱にされようとしている。当局が主要都市での人口増加を抑制しようとしているからだ。
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リン・フイチンさん(50)は18年前、仕事を求めて北京にやって来た。以来家族とは年に1度しか会わず、残りの時間をほとんどの北京市民がやりたがらない重労働に費やしてきた。
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しかし12月、リンさんはこれまで暮らしてきた北京郊外の村から強制的に退去させられた。2020年までに北京の人口を2300万人に抑える立ち退き計画の犠牲となったのだ。
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リンさんは「家に帰っても、妻や子どもたちを養っていくすべはない」と嘆く。
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中国共産党の機関紙「人民日報」によると、北京市は「不法」建造物のべ4000万㎡を壊す計画だ。対象となるのは、リンさんのような低所得の出稼ぎ労働者の家や店舗がほとんどだ。
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北京に来たばかりのころ、リンさんは友人らと共にお金を貯め、ローンを組んで配達用のトラックを購入。以来、小規模な小売店や業者を顧客とした運送業で生計を立ててきた。しかし市当局が建物を一斉接収し、大勢の人々を寒空の下へと立ち退かせると、そのあおりで運送業も打撃を受けた。「われわれの顧客は私たちと同じような庶民だ」「彼らの中小企業がなくなると、われわれが運ぶ荷物もなくなる。今や失業同然だ」とリンさんは現状を嘆いた。
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2017年11月に発生し、犠牲者19人を出した不法建造物の火災を受け、立ち退き計画の動きはいっそう強まった。街を徹底的にきれいにするためには計画の推進が必要なのだと当局は主張する。
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しかしこの計画では、小売店や小規模製造業などの北京経済の活気に満ちた部分にも影響が及ぶため、好調な電子商取引を支える運送業をはじめ、他部門での混乱も懸念されている。
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別の運送業者のワンさんは、現在使用している物流倉庫を当局に取り壊されたら「もうやめる」と半ばあきらめ気味だ。ワンさんの倉庫には12月中旬、黒文字で「壊」と書かれていた。ワンさんは去年、別の物流拠点2か所を閉鎖し、240人いたスタッフを60人に削減。この場所には12月1日に移転してきたばかりだった。「安定なんてない。明日どうなるかなんて分からない」と目に涙を浮かべながら話した。
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良心的な価格で商売を営んできた家族経営の小規模店も壊滅的な状況に追いやられている。この影響から、店の客たちはオンラインショップやより値が張る高級ショッピングモールの利用を余儀なくされているという。
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観光客にも人気のスポットとなっていた「動物園服装批発市場」などの小規模マーケット数十か所も最近、閉鎖に追い込まれた。こうした一連の動きに反発し、動物園市場では卸売業者らが立ち退きに抗議するデモを行った。業者らによるこのような抗議デモが行われるのはまれだ。
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当局は卸売業者らの移転先として北部の河北省に用地を確保しているが、この計画に業者らは納得していない。ある卸売業者は「今みたいに常連客をつくるのには何年もかかる。一からやり直すしかない」と話す。
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中国の大都市は「出稼ぎ労働者なくして機能しない」し、「北京、上海、広州といった都市からその街の出身者以外を全員立ち退かせてしまっては、中国全土を支える経済的原動力が完全に崩壊する」という。
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春節(旧正月)で、帰省ラッシュが始まったが、今年は休みが明けても都市部には戻らないという人が多い。かつて中国経済に力を与えた地方からの出稼ぎ労働者たちだが、近年は首都・北京での滞在が歓迎されなくなっていることがその背景にある。
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中国の春節では毎年、人が数十億人規模で移動する。年次行事での人の大移動としては世界最大だ。北京のレストランで従業員として働いていたというリー・ウェンさん(47)も帰省客の一人。が、今回は故郷への片道切符を購入した。リーさんは出稼ぎ労働者として10年前に北京にやってきたという。
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近年、彼女のような出稼ぎ労働者は、人口過密都市となった北京では歓迎されなくなった。北京市は違法建築物の解体を計画しているが、その対象となっているのは低所得者の家屋や店舗がほとんどだ。リーさんも出稼ぎ労働者の生活を破たんさせている市の強制退去計画の影響を受けた。
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リーさんは「他のどこよりも賃金待遇がよかったから北京に来た。ただ住んでいたエリア周辺では、胡同に面した建物がすでに数多く解体されている」と語り、「一般的なアパートの部屋を借りると家賃は3倍に跳ね上がる。市内で暮らしていくことはできない」という。
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半ば強引な取り壊しと大規模な強制退去に対しては、一般市民から異例の抗議が起こり、当局を慌てさせる場面もみられた。
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建設作業や家事代行、清掃業などの仕事に就いているのは出稼ぎ労働者が大半だが、こうした労働者が北京を去ったことが影響し、北京市の昨年の経済成長は前年に引き続き鈍化した。
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運輸当局は、今春節における移動期間の最初の10日間で、交通機関を利用する人の数が減っていることを報告。2月1日~10日までの期間に鉄道、車、船、飛行機の利用が昨年との比較で3%減少したことを明らかにした。
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春節が終わった後の身の振り方について、リーさんはまだ決めかねているという。
「娘は大学に入ったばかりなので働くことはできない。私が働いて支えるしかない」と話し、北京以外の都市で仕事を探すことも視野に入れていると気丈に振舞ってみせた。しかし、その一方では「でも何の予定もない。今後どうなることか」と不安気につぶやいていた。
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