.
南太平洋島嶼国に影響が!
.
.
世界で観測されている気候変動の実態や将来予測される気温上昇、海面上昇、極端現象等で世界の海岸が浸食されている情報が多くなっている。その影響を受けているのは島嶼国である。
.
東京大学海洋アライアンス・イニシャティブ「小島嶼国研究会」(2015年度前期)に「地球温暖化だけでサンゴ礁の国は水没しない」という研究者の1文が出ている。それらを読んでみると、以下のような内容が掲載されている。
(https://www.oa.u-tokyo.ac.jp/learnocean/researchers/cat/coral.html)
.
太平洋にはパラオとツバル、他に12あり合計14の小島嶼国がある。中でも、マーシャル諸島共和国、キリバス共和国、ツバルは、国土のすべてが環礁からなる環礁国で、ミクロネシア連邦、クック諸島、フレンチポリネシアにも、数多くの環礁が分布している。
.
サンゴ礁は、潮の満ち干で水位が下がったときでも、その頭が水面から上に出ない高さまでしか達しない。島の大部分は標高1~2mです。現在でも、大潮で海面水位が高まった時には、島の内側で海水がわき出してきます。さらに、海岸の浸食や地下水の塩水化も起こっています。
.
海岸の浸食や地下水の塩水化も起こっています。島の人々は、「こんなことは以前にはなかった」と言います。そのため、こうしたことは、地球温暖化に伴う海面上昇のために起こっていると報じられています。
.
大潮の際に海水がわき出してくる場所では、近年のような海面上昇がなかった時代にも同様の現象が起こっていたことが、19世紀の英国の地質調査の報告書にちゃんと書かれています。ぜい弱な土地への居住域の拡大が、「ツバルの水没」の真相です。
.
環礁の島は、サンゴが土台を作り、その上にサンゴやホシズナのかけらが積み上がってできる、文字通り生き物が作った島です。しかし、島から生活排水が流れ込んできて、こうした生き物が,すっかり死滅していまいました。ゴミが山積みになっている場所でも、サンゴや有孔虫は死滅してしまっています。汚染によって、生態系が破壊され、国土をつくる力が失われてしまいました。さらに、海岸に桟橋を作ったり、航路のために海底を掘ったりすることによって、島を作る砂の流れが止められてしまっています。さらに、切り立った人工的な岸壁によって砂が堆積できなくなってしまいました。
.
ツバルの首都があるフォンガファレ島で起こっている問題は、メディアで報じられているような「海面上昇による水没」という単純な問題ではありません。ぜい弱な土地への居住域の拡大、生態系破壊によるサンゴや有孔虫の死滅、海岸地形の人為的な改変など、その地域に固有のローカルな事情が大きく影響しているのです。こうした問題は、マーシャル諸島共和国の首都マジュロがある島や、キリバスの首都タラワがある島でも起こっています。
.
地球温暖化による水温上昇で、サンゴが正常に育たなくなる「白化」が頻繁に起こるようになってしまいました。サンゴが白化して死んでしまえば、国土の土台と天然の防波堤を作ることができず、島にサンゴ礫を供給する力も失われてしまいます。
.
.
このような内容を踏まえて、
「低海抜のマーシャル諸島、最大級の大潮で首都浸水の恐れ」というAFPnews
の記事を読んでみる。
【AFP=時事】海抜が低い西太平洋の島しょ国マーシャル諸島で2月3日、最大級の大潮「 キングタイド(King Tide)」によって首都マジュロが浸水する恐れがあるとして、緊 急対策当局らが警戒にあたった。
.
気象当局は、マーシャル諸島では3日夜から6日にかけて満潮時に「大規模な浸水」の恐れがあると注意を呼び掛けており、海抜の低い同国の海面上昇に対する脆弱(ぜ いじゃく)性が改めて浮き彫りになった。
.
人口3万人のマジュロが浸水に備える中、トニー・ムラー(Tony Muller)公共事業 相は3日「われわれは6日まで警戒態勢を維持する」と述べた。
.
浸水した際に緊急対策班らが速やかに対応できるよう、マジュロの要所にはブルド ーザーなどの重機が配備されている。
.
マジュロは多数の小島からなる環礁で、その海抜はわずか1メートルほど。小島をつなぐ長さ50キロの一本道はしばしば浸水に見舞われ、封鎖されている。
.
災害対策当局も厳戒態勢を取るよう呼びかけ、2日は初めて大規模なメールシステムを使って高潮注意報を出した。
.
近隣の米領グアム(Guam)の米国立気象局(NWS)も3日朝、「30~60センチの大規 模な浸水が、特に満潮時に起きる恐れがある」として注意報を出した。
.
極端に大きな潮の満ち引き「キングタイド」は、マーシャル諸島で年の初めにおきる自然現象で、月が地球に最接近する満月時と新月時の強い月の引力で生じる。
.
.
2016年1月2日の記事を読む。
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が2014年発表した第5次評価報告書によると、世界の平均海面水位は、20世紀に入ってから2010年までの間に19cm上昇した。最も温暖化が進んだ場合、今世紀末までに平均海面水位は最大で82cm上がるという。
.
海面上昇は、地球温暖化に端を発する南極とグリーンランドの氷床の融解と海水の膨張だ。すでにハイペースになっている海面上昇のペースが、さらに加速すると予想される。
.
海面上昇による影響は、海抜が低い都市として知られるベネチアなどだけでなく、海岸沿いに海抜以下の地域(いわゆる海抜ゼロメートル地帯)を有する諸国や都市にとっても重要課題となっている。
.
とりわけ、南太平洋やインド洋に浮かぶ小さな島国では、国の存亡にかかわる深刻な問題だ。仮に海面が1㍍上昇すると、南太平洋のマーシャル諸島は国土の80%が沈没すると予測されている。太平洋の島嶼国の一つ、キリバス共和国(人口約11万人)のアノテ・トン大統領は、最悪の事態に備え、フィジー共和国に約22平方㌔㍍の土地を約930万オーストラリア㌦(約8億8000万円)で購入した。
.
ツバル共和国 太平洋のポリネシアに浮かぶ島国ツバル。海面上昇の被害の最前線にあり、国土消滅の危機に直面している。首都のあるファンガファレ島の長さは約1㌔だが、幅は広いところでわずか700㍍程度、狭いところでは10㍍ほどしかない。
.
ハワイとオーストラリアの中間に位置し、近くにはサモアやフィジーがある。人口は約1万人で、独立国としてはバチカン市国に次ぐ人口の少ない国だ。首都はフナフティ。
.
広大なサンゴ礁の広がるグレート・バリア・リーフでは、サンゴの白化が進行中だ。ツバルはサンゴ礁でできた島々からなっており、同じくサンゴに被害が出ている。
.
平均海抜2㍍、一番高い所でも約5㍍しかない。国土消滅が現実的になった場合には、島民はニュージーランドなどに避難することになっていて、住民の一部はすでに移住を始めている。
.