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建設業界、産業廃棄物業界、行政などのニュースを発信。

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2017 / 12月

北朝鮮・弾道ミサイル:兆候報道は日本メディア!

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11月27日に信号感知・警戒を強化!
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約70日にわたり挑発を自制していた北朝鮮に弾道ミサイル発射準備の兆候が見られるとの情報は、11月28日の日本メディアの報道で初めて伝えられた。共同通信や産経新聞などはこの日「日本政府が、北朝鮮の弾道ミサイルの発射準備と疑われる電波信号を感知し、警戒を強めている。数日内に発射の可能性がある」と報じた。
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『2017/11/28
発射の準備とみられる兆候が確認され、日本政府は警戒を強めています。
菅官房長官:「必要な情報の収集分析および、警戒監視活動に全力を挙げて、中国、ロシアとも協力しながら我が国の平和と安全の確保に万全を期している」
日本政府関係者によりますと、27日夕方、北朝鮮でミサイル発射の準備の兆候が確認されたため、政府は警戒態勢をさらに強化したということです。北朝鮮は9月15日に弾道ミサイルを発射して以降、表立った挑発行動には出ていません。ただ、石油の輸出制限などを柱とする国連安保理の制裁決議が採択されるなど国際社会が圧力を強化していることから、北朝鮮が反発を強めて再び挑発行動に出るという見方もあります。政府関係者は「年内のミサイル発射もあり得る」と話していて、24時間態勢で警戒にあたっています。
27日、複数の政府関係者の話で分かった。発射準備をうかがわせる電波信号などが捕捉されたという。朝鮮人民軍による訓練や陽動作戦の可能性があり、政府は慎重に分析を進めている。』
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この電波信号は日本単独ではなく韓米日3か国が共同で感知したものだという。日本メディアは29日「韓米日の軍事当局が27日、レーダーを通じ、北朝鮮の弾道ミサイル発射の際に観測されるテレメトリー信号(遠隔電波信号)を捕捉し、ミサイル発射に備えている」と報じた。
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テレメトリーとは、離れている二つの物体が各種情報データをデジタル信号に変換して送受信することを意味する。火災警報、盗難警報、電気・ガス・水道の遠隔検針、大気汚染・水質監視など生活の中でも広く使われている。携帯電話のブルートゥース機能もテレメトリーの一種だ。
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弾道ミサイルもテレメトリーを利用し、発射準備段階から落下するまで速度・圧力・温度・位置などさまざまなデータを地上の管制センターに送り続ける。冷戦時代、米国とソ連は相手のミサイルが発信するテレメトリーの感知装置を開発するために膨大な資金を投じた。
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北朝鮮はこれまでも弾道ミサイル発射の際にテレメトリー信号を送受信しており、発射前にも送受信テストを実施しているという。
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アルゼンチン沈没潜水艦:原因は中古バッテリーか?

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着底しても数日は生存する!
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バッテリーは新品でなく中古再生品だった!
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2017年11月15日、南大西洋を航行中であったアルゼンチン海軍の潜水艦「サン・フアン」が消息を絶った。原子力潜水艦を除く通常動力型潜水艦は航行中にバッテリーを使用するが、同艦にも搭載されていた鉛蓄電池はその原理上、可燃性水素ガスが発生するす(これは自動車の鉛蓄電池も同じ)。この水素ガスを原因とした爆発事故があったのではないかと推測されている。
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潜水艦はいくつもの区画で区切られているので、浸水しなかった区画については数千mの深海に沈み水圧によって破壊(圧壊)しない限り、当面は海底に着底した状態で、乗員は内部で生存している可能性がある。つまり適切に救助が可能ならば、貴重な人命を救うこともできるわけであり、事故の発生から半月が経過した現在もなお生存を視野に「サン・フアン」の捜索が続いていたが、11月30日〈木〉、アルゼンチン海軍は生存者発見の断念を明らかにした。
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11月22日に、包括的核実験禁止条約機構(CTBTO)からサンフアンが通過したと思える航路で、同艦が最後に交信して来た3時間後に爆発音が傍受されたという報告が公にされてからは、サンフアンは爆破したのだという憶測が飛び交っている。
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この憶測から報道メディアは原因の解明について、現在、有力説として注目されるようになっているのは、“修理の段階で新品のバッテリーに取り換えられたとされていた960個のバッテリーが、実際には中古品の再生バッテリーだった”ということである。それが、何らかの問題を誘発して潜水艦の爆発を招いたというのである。
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バッテリーが新品ではなく、中古品の再生バッテリーが用いられた理由はコスト面からである。新品のバッテリーは1個あたりユーロ換算で1万ユーロ(120万円)で、960個を取り換えるには960万ユーロ(11億5200万円)の費用がかかる。この費用は潜水艦を購入する費用のほぼ30%に相当する金額になる。
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コストの掛かるバッテリー交換だが、製造元のティッセン・クルップ社は潜水艦のテクノロジー、安全性、効率性などを考慮して、5年ごとに新しいバッテリーと交換することを薦めていた。
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1985年にこの潜水艦の建造が完成して、翌年アルゼンチン海軍に納入されてからは、アルゼンチン政府も海軍も製造元のアドバイスは一切無視する姿勢になっていたのだ。それもあって、修理も製造元ではなく、アルゼンチン国内の造船所で行っている。
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その造船所を傘下にもつタンダノールという企業は、最初は軍事産業に関係した企業であった。その後、8年間は民間企業に転換して倒産。そこで再度、国営事業として2007年に再生させることに決定したという「曰く付き」物件である。この造船所でサンフアンが修理されたのである。その為に、解雇されていたエンジニアも駆り出されたという。
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アルゼンチン国内で修理を行えば経費の節約になる。その一方で、修理の工程においては、コストを膨らませて賄賂金をその中に含むことは関係者の間では忘れなかったのである。これが汚職が蔓延していたクリスチーナ・フェルナンデス・キルチネル大統領(2007-2015)の政権下で慣例化していたという。それは企業タンダノールを復活させた彼女の夫ネストル・キルチネル大統領(2003-2007)の時から始まっていたことであった。
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汚職で腐敗に染まっていた当時のアルゼンチンで、潜水艦サンフアンが修理される前の2004~2008年間、海軍が契約する企業にはいつも不正があるとして海軍上層部を訴えた下士官ホセ・オスカル・ゴメスは、それが理由で海軍から反抗罪で更迭されたそうだ。彼の説明によると、造船所が契約した会社の社員が職務に就くのではなく、会社は飽くまで架空の会社で、実際に働いていたのは海軍の隊員であったというのである。一方、契約した架空の会社は造船所で行った仕事に対して支払いを請求するのである。
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いつも海軍と契約していた職人のひとりは、サンフアンの960個のバッテリーの再生の見積もりとして提出したところ、その金額の4倍の見積もりを提出した彼が知らない企業がその仕事を受注したいう証言も報じられている。
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再生バッテリーが潜水艦に設置されてからの保管不備によっては、機能が劣化したり、何らかの要因で海水がバッテリーに触れると水素ガスを発散させるようになる。そして、機能の劣化から端末の不備で電気ショートを起こすようになる。バッテリーが設置されているタンクに溜まった水素ガスに電気ショートによる火花が引火すると爆発を誘発するという危険性がある。
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CTBTOが傍受した爆発音というのはサンフアンが辿った航路に沿ったもので、しかも、最後の交信した後に傍受されたものである。それは艦内で水素ガスによる爆発の際に発する爆発音に相当するような特徴をもっているというのである。
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11月24日付スペイン電子紙『El Confidencial』は、日本の潜水艦「そうりゅう」について、リチウムイオン電池を搭載して水素ガス発生の危険性から回避していると指摘している。
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中国・対アフリカ:投資も貿易も減少傾向!

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アフリカ進出の中国人も続々帰国に!
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中国とアフリカの蜜月時代が変わりつつある。
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2017年9月、英フィナンシャルタイムズは「アフリカから中国人の帰国ラッシュが始まった」と報じた。中国資本によるアフリカへの「走出去(中国企業の対外進出)」と呼ばれた投資や経済活動は、一時のブームに過ぎなかったのだろうか。
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数年前、世界は中国による積極的な対アフリカ投資を「新植民地主義」だと非難した。とりわけ警戒したのは、中国のアフリカ資源外交だった。2014年、新年早々に安倍晋三首相はアフリカを歴訪したが、そこにはアフリカにおける中国の影響力に一定の“くさび”を打つ意図があった。
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中国が、アフリカで展開したのは資源外交だけではなかった。「メード・バイ・チャイナ」がアフリカの国々で瞬く間に普及。街を走るのは中国製の廉価バイク、市民生活に浸透するのは安価な中国の軽工業品、街を歩けば至る所に中国人──。中国による「走出去」の影響力は無視できないものになっていた。アフリカのマリでは、「この国のコンクリート建造物はすべて中国によるもの」と言われているほどだ。
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他方、植民地支配を経験したアフリカにとって、「真のパートナー探し」は独立後の一貫したテーマでもあった。中国の台頭とともに、「西欧からの影響を遠ざけ、むしろ手を握るべき相手は中国だ」という機運が高まっていたことは確かである。近年は「中国は敵ではない」という共通認識すら持たれるようになっていた。
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英フィナンシャルタイムズによれば、アフリカには100万人の中国人が生活しており、その大多数が零細企業のため、近年の資源価格の下落に伴うアフリカ経済の落ち込みとともに商売が成り立たなくなってきたという。あまりの勢いに警戒されていた中国資本の進出だが、アフリカでは今、大きな変化が起こっているようだ。
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その変化が貿易に現れている。この5年間の中国とアフリカの貿易総額を見ると、2000年当時100億ドル程度だった貿易額は、2013年に2000億ドルと20倍にも増加した。だが、それも2014年をピークに減少に転じたのである。

中国商務部によれば、アフリカにおける中国の貿易パートナーの「トップ10」は、南アフリカ、アンドラ、エジプト、ナイジェリア、アルジェリア、ガーナ、ケニア、エチオピア、タンザニア、モロッコの順であり、その国々の対中輸出の主要産品のほとんどが資源である。
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個別に見ると、貿易パートナー1位の南アフリカは中国に鉱物資源を輸出、2位のアンゴラは原油を輸出しているが、それぞれ2013年、2014年をピークに下落している。ちなみに、下落現象はこの2ヵ国に限ったことではない。
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背景には、2005~2012年にかけての国際商品市場での原油、鉄鉱石、非鉄、穀物などのコモディティ需要の累積的拡大と、2011年以降に顕著となった中国経済の減速がある。
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資源・食糧問題研究所代表の柴田明夫氏は、2014年をピークに下落に転じたアンゴラの原油の対中輸出について、「コモディティの市場価格を歴史的水準に押し上げるという『スーパーサイクル』が2013年に終焉し、価格は下落基調に転じた」と指摘する。
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その一方で、柴田氏は「『一帯一路』における中国の開発発展の主軸が、資源ブームに乗ったアフリカから中央アジアに移ったのではないか」と分析している。確かに、中国の「第13次五ヵ年計画(2016~2020年)」が打ち出した「一帯一路」の主要6大ルートには、アフリカが含まれていない。
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中国の専門媒体「オイルオブザーバー」よれば、中国の原油の輸入相手国は「非OPEC(石油輸出国機構)」にシフトする傾向があるという。中国への石油輸出国の順位はロシアを筆頭に、サウジ、アンゴラの順だが、「中国にはロシアからのパイプラインによる輸入、カザフスタンからの開発輸入に期待がある」(柴田氏)。アンゴラはOPECメンバー国だが、ロシアもカザフスタンはそうではない。
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中国の原油の輸入量は2017年、過去最高に達した。これについて柴田氏は「軍事用、輸送用の戦略石油備蓄を増やしている可能性がある」とコメントする。
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アフリカ経済は、資源価格の落ち込みで大打撃を受けている。これに伴う本国通貨の下落を阻止するため、現地では外貨管理を統制したり、脱税を摘発したりするなど、規制強化に乗り出しているようだ。多くの中国人が帰国の途に就いているのは、治安悪化のためだとも言われている。
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他方、「一帯一路」の参加国として中国と協議を結んだ国もジブチ、エジプト、エチオピア、ケニアの4ヵ国にとどまる。中国では第13次五ヵ年計画に盛り込まれた「一帯一路」の主要なルートにアフリカへの経路は含まれていないことからか、2017年5月に中国で国際合作サミットに参加したアフリカの国も、ケニアとエチオピアだけだった。
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中国の電子メディアには、金融の専門家が書いた「過去10年にわたってアフリカに
対して行われた融資も、近年は『一帯一路』の参加国に振り向けられるようになった」とするコラムが掲載されている。中国の企業は新たに資金が向かう先へと、すでに投資の目的地を変更してしまった可能性がある。
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アフリカも時々刻々と変化する。2015年から2016年にかけて、多くのアフリカの国々が発展計画を打ち出し、同時に貿易政策の見直しを図った。キーワードに据えられたのが「環境保護」と「品質重視」だったことからも、アフリカ諸国は従来行ってきた“選択”を見直したことがうかがえる。
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中国とアフリカの間に存在した“資源開発バブル”は終わったと同時に、“アフリ
カからの中国人退避”が物語るのは、「もっともうかる別の国へのシフト」でもある。
アフリカの景気悪化とともに、「一帯一路」の政策外にアフリカが置かれたことで、対
アフリカの“走出去熱”は冷めてしまったのだろうか。
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「一帯一路」という長期的な発展を目指す枠組みを前に、アフリカの士気が落ちているのは注目に値する。アフリカは資源開発バブルがはじけた今、冷静さを取り戻し、国益とは何なのかを思考し始めた可能性は否定できない。
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他方、「自由で開かれたインド太平洋戦略」、「アジア・アフリカ成長回廊」など、日本やインドが中心となって新たな外交戦略を打ち出した。こうした中で、「中国主導」が真に持続可能なものなのか、関係国が中国を選ぶのか否かは引き続き注視する必要がある。
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建設汚泥・関東では110万トン!
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怪文書第5弾(第4回告発文)が各地に郵送されているが、内容が徐々にカーブを描いている。汚染汚泥処理から今回は、ばいじんをターゲットにしている。その内容については後日にし、今回は産業廃棄物の建設汚泥の発生量の調査が出ているので引用する


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東京からの建設系廃棄物発生量は日本の10.3%に相当し、全国一位となっている。しかし、東京都内には産業廃棄物の最終処分場は極めて少なく、中間処理を含めて都外の施設に頼っているのが現状である。
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一方で、高度経済成長期を契機として整備が始まった大量の社会資本や住宅等が今後、寿命を迎えることから、建設系廃棄物の発生の増加が予想されている。産業廃棄物は広域処理が原則となっているため、東京から排出される建設系産業廃棄物が、将来、周辺へと拡散し、不法投棄や不適正処理の原因となることが危惧されている。
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東京都から発生する建設系廃棄物のうち、発生量が多く、広域拡散した場合の影響が大きいと考えられる建設汚泥、コンクリート塊、アスコン塊、木くず、混合廃棄物の5品目について、現状の排出インベントリーを作成し、広域移動状況を整理したものである。
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この結果、中間処理については、一都三県内への移動がほとんどであるものの、最終処分については、他関東や東北への移動がみられ、特に混合廃棄物は一都三県以外で約4割が最終処分されていることが分かった。
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全国産業廃棄物連合会平成27年9月の「建設汚泥の処理実績に関する調査結果報告書」では全国の建設汚泥中間処理場数は105、処理実績は2,498,228tだ。
・北海道、東北  34社  23%    144,057t
・関東        23社  15%  1,174,977t
・信越、北陸   19社  13%    114,645t
・中部       18社  12%     30,535t
・近畿       16社  11%    778,525t
・中国       14社   9%     45,080t
・四国        7社   5%     71,000t
・九州、沖縄   18社  12%    138,753t
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建設汚泥リサイクル 実績数1,183,000t
・関東       17社  38%    980,000t
・近畿       11社  21%    550,000t
・中国       13社  17%    430,000t
・中部       14社  11%    290,000t
・北海道、東北  27社   5%    130,000t
・九州、沖縄   14社   4%    110,000t
・新鋭津、北陸  13社   4%     90,000t
・四国         1社   0.1%    3,000t
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最終処分場への処分実績  実績数93,922t
・北海道、東北  20社  32,988t
・関東        1社     197t
・信越、北陸    2社     869t
・中部        1社  18,800t
・近畿        1社   2,802t
・中国        6社  16,911t
・四国        3社   1,496t
・九州、沖縄    7社  19,860t
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ちなみに、平成25年度の産廃総排出量と処理・再資源化の流れは以下の図の様になる。
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次回は、どのような場所から発生するのかデータを拾ってみた。
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千葉・佐倉市:再生土・県内各地は処分場だらけ!

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佐倉市神門地区に行政指導!
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県・異例の全量撤去指導!
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再生土(改良土)による埋め立て工事が原因で異臭による被害が発生したと千葉県佐倉市神門(ごうど)地区の住民が訴えていた問題で、県が土壌の検査結果を踏まえて、事業者に全量撤去を求めたことが分かった。
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再生土とは、建設汚泥などの産業廃棄物にセメントや生石灰といった固化材を混入して環境基準などをクリアし、土砂状の建設資材として再生したもの。一般には改良土と呼ばれるが、千葉県は再生土と表記している。
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近年は、太陽光発電パネルを設置するための土地造成などに再生土を使うケースが増えている。これに伴い悪臭が発生したり、周辺土壌の水素イオン濃度(pH)が強アルカリ性になったりして、近隣住民とトラブルになる例が目立ってきた。
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神門地区では2016年10月から、船橋市内の事業者が1万6000m2の土地に4万8000m3の再生土を搬入して埋め立て工事を進めている。現在は一部を駐車場として使用している。
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2017年9月、地元住民が県議会に請願書を提出。請願書では、「16年7月頃から、近隣では埋め立て土から発生した異臭で窓が開けられない」、「再生土や汚泥、汚水などの撤去を要求しても事業者は一向に取り合わず、埋め立てを強行している」などとし、県に原因究明などを求めた。県議会はこの請願を採択した。
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これを受けて、県は現地の土壌を検査。フッ素の溶出量と鉛の含有量が環境基準の2倍を超えていたため、全量撤去を求める行政指導に踏み切った。
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佐倉市神門(ごうど)地区で「再生土」の使用をうたった大規模埋め立てを巡り、千葉県が現地を検査した結果、フッ素と鉛の濃度が国の環境基準を超え、事業者に全量の撤去を求める異例の行政指導に乗り出したことが14日、千葉県などへの取材で分かった。急増する「再生土」をうたった埋め立てに対しては、今回も含めて周辺住民から不安の訴えが頻発。森田健作知事は規制をかける千葉県条例の早期制定方針を9月に表明しているが、不安が現実となったことで対応が急がれそうだ。
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現場は国道に近い、休耕田や集落に挟まれた一角。
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生活環境の悪化を主張し、健康被害も不安視する複数の地元住民が今年の9月県議会に請願を提出。「埋め立て土壌から発生した異臭で窓が開けられない」「隣接休耕田に黒く異臭のする油のような水が浸入」などと指摘した上で、事態の改善と、検査の実施・結果公表を県に求め、請願は採択された。
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県は、9月中に現地の埋め立て土壌(深さ約1m地点の5カ所)を採取。その検査結果が10月下旬に判明し、フッ素の溶出量と鉛の含有量が環境規制基準の2倍強の濃度となった。
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再生土は、環境基準を超えないように浄化(再生)処理した素材であることが前提のため、県は、埋め立てに使われた物が資材扱いの再生土には当たらないと判断。すべての撤去を求めた。今月13日夕に同地区で住民への説明会を開いた。
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県は、搬入元の業者なども含めた詳しい経緯の調査を継続する。「住民の意見を聞きながら対応を進めていきたい」としている。
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一方、佐倉市が実施した周辺の水質検査では環境基準超えはないという。
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県は2015年9月から「再生土」の県内実態調査に乗り出し、2016年9月には行政指導上の指針を策定した。県が全量撤去を求めたのは同指針の策定後初。
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同指針では、計画書の提出や環境・地形面の安全基準順守などを求めているが、強制力や罰則はなく、指針に沿わないまま埋め立てを終える例も出ている。
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このため、打ち出されたのが罰則付きの県条例制定。県廃棄物指導課は「現在、規制の対象や内容について検討を進めており、早期の制定ができるようにしたい」と説明した。
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強制力を伴う包括的な県条例が制定されれば、新規埋め立ての適正化は進む可能性がある。半面、埋め立て済みや進行中の事例への対応も課題となる。
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◇再生土◇
建設現場から出た汚泥などを再生処理した物。太陽光発電所の底地や資材・車両置き場の造成用として県内でも使用が急増中。原則、産業廃棄物扱いにはならず、事業着手段階では事実上、法律や県残土条例による規制の対象外。県は15年9月から今年8月末までに142カ所の埋め立てを把握済み。他県や県内の一部の市では独自規制を始めている。
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千葉県
再生土等の埋立て等に係る行政指導指針(本文)
用語の定義
(1)「再生土等」とは、建設汚泥その他の産業廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)第2条第4項に規定する産業廃棄物をいう。以下同じ。)を中間処理施設において中間処理し、有用な資材として再生したものをいう。(「廃棄物処理法」第2条第1項に規定する廃棄物を除く。)
(2)「埋立て等」とは、再生土等を利用した土地の埋立て、盛土及びたい積(製品の製造又は加工のための原材料のたい積を除く。以下同じ。)を行う行為をいう。
(3)「埋立事業者」とは、埋立て等を行う事業者をいう。
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