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更に1年以上・トラブル発覚でさらに1年以上遅れ!
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砂漠の砂問題、コンソーシアム内部の覇権争い、巨額の未払金発覚、さらには駅舎の完成遅延などなど、今までにも何度も問題を報じてきたサウジで建設中のスペイン高速鉄道。
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そしてなんと、このサウジで建設中のスペイン製高速鉄道の完成が最低また1年の延期になる可能性が高まっていることが発覚した。今回の遅れはスペイン側の責任でもなく、砂漠の砂の問題でもない。
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前回報じたように、サウジの大手ゼネコン2社、「サウディ・オジェール」社と「ビン・ラディン」社が受注した駅舎の完成が遅れてていたのだが、その完成までに少なく
ともあと1年の歳月が必要だということが発覚したのである。
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そもそも、この高速鉄道450kmの距離には5つの駅(メッカ、ジェッダ、空港、アブドラ前国王、メディナ)の建設が計画されていた。しかし、5駅のうち、2駅が遅々として進まず完成にも間に合わないようだ。
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そのうち、前出のサウジの大手ゼネコン、サウディ・オジェール社はジェッダ駅とア
ブドラ前国王に因んだKAEC駅を、そしてもう一社であるビン・ラディン社はメッカ駅と
メディナ駅をそれぞれサウジ鉄道公社から受注していた。
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いまのところ、メディナ駅とKAEC駅は建設工事も順調に進んでいるのだが、ジェッダ駅とメッカ駅が致命的に遅れているのだという。そしてこのたび、この二つの駅の完成予定の遅れから、高速電車の開通には少なくとも更に1年の延期が必要だとスペイン企業のコンソーシアムが判断したと報じられた。この遅れは両社が現在抱えている資金難が理由だとされている。
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駅舎の完成は遅延しているものの、スペインのコンソーシアはサウジ鉄道公社に約束したように今年12月31日までにいつでも運行できる体制にするとしている。それに対して、サウジ側では1億5000ユーロ(195億円)のボーナスと予算外の出費2億ユーロ(260億円)を用意するとしている。
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また、サウジ鉄道公社も、さすがに駅舎の完成遅延を指を咥えて見ているわけにもいかず、二つの駅舎の完成の遅れを取り戻す為にトルコのゼネコン企業ヤピ・メルケジに完成までの工事を請け負わせることを決めたという。
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ちなみに、この請け負った2社のゼネコンだが、それぞれに興味深い背景がある。
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まず、ビン・ラディン社は、オサマ・ビンラディンの父親であるムハンマド・ビン・ラディン(※10番目の妻との間にできた17番目の子どもがオサマ)が創業した会社であ
ることは名前からもわかる。
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そして、サウディ・オジェール社はそれ以上に「時の人」的な背景がある。現在の同社トップは、レバノンの現首相で、つい最近サウジで一時的に拘束されたサード・ハリリなのである。
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サード・ハリリの父親は、レバノンの元首相で退任後の2005年に爆破テロによって暗殺されたラフィーク・ハリリである。ラフィークが1970年前後にレバノンで創業した建設会社がサウディ・オジェール社の原点である。同社は、原油価格上昇の影響で空前の好景気に沸いた1970年代のサウジアラビアで急速に成長し、79年にはフランスのオジェール社と合弁。その後、オジェール社を買収してサウジでゼネコンの大手企業として発展した。そしていま、サード・ハリリが同社の後継者(会長。CEOは異母弟のアイマン・ハリリ)となっているのである。
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サード・ハリリがリヤドで拘束されたのは、サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇
太子が11月に目論んだ汚職摘発を名目に、彼らの財産の大半を没収し、同時に政敵としての彼らを排除するという行動に出た事件の一貫であった。
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サルマン皇太子はハリリにサウディ・オジェール社の経営権を譲渡するように迫ったという。ハリリはそれを拒否した。それが理由で拘束されたのだ。
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リヤドのホテルに拘束されていた間に、彼は米国とフランスの大使とコンタクトを取
ろうとした。両国からサルマン皇太子に圧力を掛けてもらい、ハリリを解放するように
要求してもらうためである。フランスのマクロン大統領がアブダビ訪問の後に予定になかったリヤド訪問を決めたのもハリリの拘束を解くためのサルマン皇太子への牽制であったとされている。
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その甲斐あってか、ハリリは拘束から解放されてパリを訪問した後にレバノンに帰国した。しかし、彼の子供の二人がリヤドに「人質」として残っているままだ。
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工事の遅延に加えて、会長をめぐるこのようなトラブル。砂漠の砂以外にもさまざまな「障害」に遭遇するサウジの高速鉄道。果たして予定通り、2018年3月から運行できるようになるのであろうか……。
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