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金融庁処分は1週間ほどで!
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証券取引等監視委員会は6月2日、虚偽広告で出資を募ったとして、金融商品取引法に基づき、日本クラウド証券(東京)に対し行政処分を出すよう金融庁に勧告した。
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日本クラウド証券が運営する融資型クラウドファンディング会社の1つ「クラウドバンク」に証券取引等監視委員会が行政処分勧告を出した。
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日本クラウド証券は、インターネットで個人から小口資金を調達する「クラウドファンディング(CF)」業者。集めた資金を運用して出資者に利益を配分する「投資型」と呼ばれるCFを扱い、6・5%前後の利回りをうたっている。
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監視委によると、同社は2016年1~7月、不動産開発ファンドへの出資を募集。HPに掲載した投資先とは違う事業者に融資したり、投資先を偽って説明することでリスクが少ないように見せかけたりしていた。
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行政処分勧告は、2015年6月27日以来2回目。
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<行政処分勧告内容の概要>
・担保不動産の価値が提示額より実際は大きく下回っていた
・クラウドバンクの手数料還元キャンペーンが行われていたかのような募集
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1週間程度で関東財務局から行政処分が出る模様
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平成29年6月2日
証券取引等監視委員会
【日本クラウド証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について】
1.勧告の内容
証券取引等監視委員会が日本クラウド証券株式会社(東京都港区、法人番号2010001077101、代表取締役 橋村 純(はしむら じゅん)(注)、資本金1億4240万円、常勤役職員14名、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
(注)平成28年6月29日、前代表取締役 大前 和徳(おおまえ かずのり)氏が退任し、同日付けで現代表取締役に就任。
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2.事実関係
日本クラウド証券株式会社(以下「当社」という。)は、当社ウェブサイトを通じて、当社関係会社を営業者とするクラウドバンク匿名組合(以下「CB匿名組合」という。)の出資持分の募集取扱業務を行っている。CB匿名組合においては、当社関係会社等が設立したSPCや一般事業会社に対する融資を行っている。
今回検査において、当社の募集取扱業務の状況を検証したところ、以下の問題が認められた。
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○著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示のある広告をする行為
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ア 不動産開発事業に対して融資を行う広告
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当社は、平成28年1月から同年7月までの間、募集の取扱いを行った一部において、当社関係会社が関与する不動産開発事業に対する融資に関して、ウェブサイトに広告を掲載している。
上記不動産開発事業は、当社と業務委託契約を締結している者が既に保有している不動産に隣接する不動産を新たに取得し、2つの不動産を同時に売却することを企図する事業であり、新たに取得する不動産の購入等に充当する資金の融資をCB匿名組合から行うものである。
当社は、ウェブサイトにおいて行った広告の中で「SPC(特別目的会社)のメザニンとして6億円の融資を実行します」と表示し、CB匿名組合の融資先は不動産を実際に取得するSPC(以下「不動産取得SPC」という。)であること、また、融資の形態は、劣後特約付金銭消費貸借契約(以下「メザニンローン」という。)であることを説明している。
しかし、実際には、CB匿名組合の融資先は、不動産取得SPCではなく、不動産開発事業に投資を行う「甲事業会社」となっており、甲事業会社は、CB匿名組合から融資を受けた金銭の中から、不動産取得SPCにメザニンローンとして4億6000万円を融資するとともに、不動産取得SPCを営業者とする匿名組合に対して、1億7950万円を出資(以下「本匿名組合出資」という。)していた。
加えて、当社は、上記不動産開発事業のリスク説明として、「プロジェクトの継続が困難になった場合」と題した図(別添参照Open this document with ReadSpeaker docReader)を掲載し、CB匿名組合の融資したメザニンローンは、あたかもCB匿名組合とは別の出資者(事業者)の「エクイティ」によって毀損しない旨の表示をしている。
しかし、実際には、本匿名組合出資を除くと、不動産取得SPCの「エクイティ」に相当するものは55万円しかない状況であった。
以上のように、当社の上記のウェブサイトの広告は、実際には、本匿名組合出資を除く「エクイティ」が55万円しかないにもかかわらず、「エクイティ」の余力があることにより投資者がメザニンローンとして出資した金銭が毀損するおそれが低いかのような表示となっていることから、投資者の利益の見込みについて著しく事実に相違し、著しく人を誤認させるような表示であると認められる。
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イ 営業者報酬等の還元をうたった広告
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当社は、平成26年5月から同27年5月までの間、募集の取扱いを行った一部において、「手数料還元お客様キャンペーン」、「営業者報酬の一部を皆さまに還元することで、特別目標利回り6.5%でご提供いたします。」などとうたって、ウェブサイトに広告を掲載している。
しかし、当時CB匿名組合の運用担当者であった前代表取締役は当初から営業者報酬を還元する意思はなく、顧客に対して、手数料等の還元を一切行っていない中、当社は上記の表示を行っていた。したがって、上記のウェブサイトの広告は、顧客が支払うべき手数料等の額に関する事項について、著しく事実に相違する表示であると認められる。
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当社の上記アの行為は、「金融商品取引行為を行うことによる利益の見込み」について、著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示のある広告をする行為であり、上記イの行為は、「金融商品取引契約に関して顧客が支払うべき手数料等の額に関する事項」について、著しく事実に相違する表示のある広告をする行為であることから、金融商品取引法第37条第2項に違反する。
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○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)
(広告等の規制)
第三十七条(略)
2 金融商品取引業者等は、その行う金融商品取引業に関して広告その他これに類似するものとして内閣府令で定める行為をするときは、金融商品取引行為を行うことによる利益の見込みその他内閣府令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。
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○ 金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年8月6日内閣府令第52号)(抄)
(誇大広告をしてはならない事項)
第七十八条 法第三十七条第二項に規定する内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一~六 (略)
七 金融商品取引契約に関して顧客が支払うべき手数料等の額又はその計算方法、支払の方法及び時期並びに支払先に関する事項
(以下、略)
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【(Crowd Bank)当社に対する検査結果に基づく勧告について】
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2017年6月2日 掲載
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証券取引等監視委員会は、当社を検査した結果、下記の通り当社に係る問題が認められたとして、本日、内閣総理大臣および金融庁長官に対して行政処分を当社に行うよう勧告いたしました。
お客様をはじめ、関係各方面に多大なご心配、ご迷惑をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。
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下記勧告における事実関係に記載されている行為アにつきましては、平成29年1月27日にWeb上の表記を修正しており、行為アに関連する全てのファンドの投資金は、同年2月21日付で投資者に全額償還済みとなっております。また、平成28年11月より、当社の広告作成責任者および広告審査責任者が、ファンド営業者の融資審査に同席すること等により、当社がスキームの事実関係をより正確に把握し、ファンド募集時の説明に誤りが生じない態勢に改善しております。
次に、行為イにつきましては、キャンペーン対象者に対し還元できておりませんでした手数料の還元を、平成29年3月7日付で実行し、支払い済みとなっております。また、平成27年11月以降は、新たに就任した内部管理統括責任者が募集開始前にキャンペーンの内容・方法等につき確認を行うと共に、平成28年9月以降は全てのキャンペーンにつき管理表による一元管理を行う体制となっていることから、キャンペーンにおける支払い等を確実に履行できる態勢に改善しております。
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なお、当社は、平成28年6月29日に前代表取締役が退任し、同日付で現代表取締役が就任しており、また、同年、営業担当取締役および財務経理担当取締役も交代し、現在、新しい経営体制の下で、内部管理態勢のより一層の充実・強化に取り組んでおります。
この度の勧告を厳粛に受け止め、お客様をはじめ、関係各方面の信頼の回復および更なるサービスの向上に全力を傾注してまいりますので、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
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記
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【勧告における事実関係】
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○ 著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示のある広告をする行為
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ア 不動産開発事業に対して融資を行う広告
当社は、平成28年1月から同年7月までの間、募集の取扱いを行った一部において、当社関係会社が関与する不動産開発事業に対する融資に関して、ウェブサイトに広告を掲載している。
上記不動産開発事業は、当社と業務委託契約を締結している者が既に保有している不動産に隣接する不動産を新たに取得し、2つの不動産を同時に売却することを企図する事業であり、新たに取得する不動産の購入等に充当する資金の融資をCB匿名組合から行うものである。
当社は、ウェブサイトにおいて行った広告の中で「SPC(特別目的会社)のメザニンとして6億円の融資を実行します」と表示し、CB匿名組合の融資先は不動産を実際に取得するSPC(以下「不動産取得SPC」という。)であること、また、融資の形態は、劣後特約付金銭消費貸借契約(以下「メザニンローン」という。)であることを説明している。
しかし、実際には、CB匿名組合の融資先は、不動産取得SPCではなく、不動産開発事業に投資を行う「甲事業会社」となっており、甲事業会社は、CB匿名組合から融資を受けた金銭の中から、不動産取得SPCにメザニンローンとして4億6000万円を融資するとともに、不動産取得SPCを営業者とする匿名組合に対して、1億7950万円を出資(以下「本匿名組合出資」という。)していた。
加えて、当社は、上記不動産開発事業のリスク説明として、「プロジェクトの継続が困難になった場合」と題した図を掲載し、CB匿名組合の融資したメザニンローンは、あたかもCB匿名組合とは別の出資者(事業者)の「エクイティ」によって毀損しない旨の表示をしている。
しかし、実際には、本匿名組合出資を除くと、不動産取得SPCの「エクイティ」に相当するものは55万円しかない状況であった。
以上のように、当社の上記のウェブサイトの広告は、実際には、本匿名組合出資を除く「エクイティ」が55万円しかないにもかかわらず、「エクイティ」の余力があることにより投資者がメザニンローンとして出資した金銭が毀損するおそれが低いかのような表示となっていることから、投資者の利益の見込みについて著しく事実に相違し、著しく人を誤認させるような表示であると認められる。
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イ 営業者報酬等の還元をうたった広告
当社は、平成26年5月から同27年5月までの間、募集の取扱いを行った一部において、「手数料還元お客様キャンペーン」、「営業者報酬の一部を皆さまに還元することで、特別目標利回り6.5%でご提供いたします。」などとうたって、ウェブサイトに広告を掲載している。
しかし、当時CB匿名組合の運用担当者であった前代表取締役は当初から営業者報酬を還元する意思はなく、顧客に対して、手数料等の還元を一切行っていない中、当社は上記の表示を行っていた。したがって、上記のウェブサイトの広告は、顧客が支払うべき手数料等の額に関する事項について、著しく事実に相違する表示であると認められる。
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