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ドル高の打撃は新興国をも直撃!
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本日12時、ドナルド・トランプ米大統領の就任演説が始まる。これほど期待されない大統領も珍しく、憎まれている大統領候補はいないだろう。本人の口からとか、補佐官候補とか、国務長官候補とか、商務長官候補から、政権の方針が漏れてくること少なく、すべてトランプ氏のツイッターから発信される情報が「トランプ氏の方針」なのである。就任演説で何を語るのか、内容次第では、無事4年務まるのか懸念する向きもある。
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トランプ氏と共和党が導入を検討している「国境税」は、中国からの資本逃避を招き、大きな波紋を与える可能性がある。下院共和党が支持している国境税調整プランでは、輸入に対して20%を課税、逆に輸出に対しては補助金を給付するという内容。
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共和党とトランプ氏は、国内生産を優遇する手段の1つとして、すべての輸入品に対する国境税の適用を求めているものの、一方でトランプ氏は、生産拠点を海外に移す企業の輸入に対して直接重税を課すという脅しの意味でもこの言葉を使用している。例によって、トランプ氏の意図や目論見はきわめて不透明だ。
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トランプ氏は過去にも、中国からの輸入品に45%の関税を課すという考えを示したことがあった。課税されると、中国だけでなく、金融市場にも問題を引き起こし、米国が輸入する中国製をはじめとする外国製品の競争力を低下させるだけではない。
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国境税は、「ドル高」を意味すると、ローレンス・サマーズ元米財務長官は1月、ドルの「急上昇」に対して警鐘を鳴らした。もし他のすべての条件が変わらなければ、20%の国境税を導入したなら、ドル相場も同じような割合で上昇するだろう。ドル高が大幅に進むのは確かだ。
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中国は複雑な問題に直面する。ドル建ての借入コストは世界中で上昇するが、一番深刻なのは、連動して人民元への押し下げ圧力が高まることだ。
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「中国が、ただでさえ今後の貿易の混乱に伴う資本逃避を抑えるのに苦労している現在、(国境税が)中国経済にとってさらなる不安定要因になるという懸念は当然だ」「現段階で、何であれ貿易の流れを妨げるような動きが生じるのは、中国にとっても世界経済の安定にとっても、タイミングが悪い」と財界も不安がる。
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中国政府が定める変動幅の範囲内で取引されている人民元の相場は、主として国内経済の要因により、2016年には対ドルで6.6%下落した。
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顕著な資本流出が2年にわたって続いたことで、巨額であった中国の外貨準備高は減少した。2016年の中国の外貨準備高は、前年比3200億ドル減の3兆110億ドルとなった。2015年の前年比5130億ドル減と比べれば小幅の減少とはいえ、中国はその間、資本逃避を防ぐためにさまざまな手段を講じてもいた。
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中国は依然として巨額の外貨準備高を維持しているが、IMFの適正水準によれば、中国が保有すべき外貨準備高は約2.7兆ドルである。昨年の減少率を見る限り、その水準に達する日は近そうである。国境税によって資本逃避が加速すれば、問題の緊急性はすぐに高まるだろう。
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人民元が変動相場制に移行すれば、きわめて大規模な資本流出を招く恐れもある。外貨準備高は維持できても、資本逃避が問題となり、その他の政策にも影響が出てくるかもしれない。資本が逃避し、変動相場制の有無にかかわらず人民元の大幅安が生じる状況では、中国の打つ手も限られてくる。中国に関してこうした状況が発生するかもしれない一方で、他の新興市場の多くが同じ原因に由来する危機を経験していることだ。「国境税」はグローバル市場にたやすく大混乱を巻き起こす可能性があるのだ。
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米国内も、世界も、オバマ大統領が就任演説で何を語るのか、不動産ビジネスから大統領になった例は初めてだし、自分の政策意見をSNSで公表するのも初めてだ。20日の株価、ドル、円はどうなるのか。世界の市場も演説を見守っている。
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