ヘリ選定で特別監察・防衛省:海上幕僚長ら処分へ!

25 11月

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上層部発言で機種変更か!
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2012年9月には談合疑惑!
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防衛省の中期防衛力整備計画(H26~H30)大綱に次のような一文がある。
「海上自衛隊については、 常時継続的な情報収集・警戒監視偵察活動(以下「常続監視」という。)や対戦車等の各種作戦の効果的な遂行により周辺海域を防衛し、海上交通の安全を確保するとともに、国際平和協力活動等を機動的に実施し得るよう、1隻のヘリコプター搭載護衛艦(DDH)と2隻のイージス・システム搭載護衛艦(DDG)を中心として構成される4個の護衛体群に加え、その他の護衛艦から構成される5個の護衛隊を保持する。」とある。
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海上自衛隊の次期多用途ヘリコプターの機種選定をめぐり不適切な対応があったとして、防衛省が海自トップの武居智久海上幕僚長らを処分する方向で検討していることが11月25日、防衛大臣記者会見で分かった。
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【防衛大臣記者会見】
Q:一部報道で、海上自衛隊の武居海上幕僚長が、次期多用途ヘリを巡って近く処分を受けるという報道があったのですが、事実関係をお願いいたします。
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A:現在、防衛監察本部において、特別防衛監察を実施しているところでございますので、監察に係る内容について、現時点でお答することは差し控えたいと思っております。
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選定手続きに問題があるとの内部通報があり、同省の防衛監察本部が特別防衛監察を実施。メーカー側からも聴取していた。同省は海上幕僚監部上層部の判断で、機種選定作業に影響があったとみているもようだ。メーカー側からの働き掛けは確認されなかった。処分は訓戒などが検討されている。
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稲田朋美防衛相は25日、記者団に「特別防衛監察を実施しているところで、監察の内容については現時点では答えることは差し控えたい」と述べるにとどめた。
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関係者によると、海自は救難ヘリUH60Jの後継機として、大型護衛艦に搭載し、輸送や救難機として運用する機種選定をしていた。その過程で、武居海幕長ら上層部の発言で、担当部署が提示した中型機の要求性能とは異なり、大型機が候補になった。

結果的に製造できるメーカーが1社しかなく、公平性が問題視されたという。
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UH60J
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既存の多用途ヘリに該当する機種がないことから防衛省は国産開発を決定した。その結果、以下の案が候補として挙がった。
・国産のOH-1をベースとした改造機
・UH-1J双発型
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両者の比較検討の結果、OH-1改造案の採用が決定され、2012年3月に防衛省は、OH-1をベースに「新多用途ヘリコプター」を開発することを正式に決定し川崎重工業に発注した。開発費用は7年間で280億円、140機生産の場合1機約10億円を見込んでいた。
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2012年9月、防衛省と関連企業は次期多用途ヘリコプターの開発・納入計画を巡る談合が行われていた疑いが強まったとして、東京地方検察庁特別捜査部の家宅捜索を受けた。その後防衛省は同談合疑惑に関与した佐官級幹部に対する告発状を同地検特捜部に提出した。
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特捜部はその後の調べで容疑に関与した幹部自衛官が川崎重工に対し競争相手(富士重工業)の内部資料を漏洩させるなどの事実をつきとめ、容疑者も任意の事情聴取に対しこれらの事実を認めたことから、官製談合防止法違反罪で刑事処分するとしていたが、最終的に2名は略式起訴に留まった。
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2015年(平成27年)度予算案にUH-Xの開発費として10億円を計上して業者選定を進め、2015年2月25日に、企画競争参加希望者募集要項を公示した。提案書は6月2日までに締め切られた。
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2015年7月15日、ベル412EPIが選定されたことが発表された。今後、2018年3月30日までにヘリコプター1式が納入されることとなっている。

2015年8月25日フィナンシャル・タイムズ紙がエアバスが開発受注競争に敗れたことを受け、防衛省に説明を求める考えを明らかとし、防衛省を相手取った訴訟を視野に入れていると伝えた。ただし、この件に関してエアバスの広報担当者は、そうした段階にはまだ至っていないと回答した。

2015年7月17日、防衛省は陸上自衛隊の現用の汎用ヘリ、UH-1Jの後継となるUH-X(次期多用途ヘリ)の選定で、富士重工案を選択した。今回の商戦はベル・ヘリコプターと組んだ富士重工業が提案する民間ヘリ412EPIの改良型とエアバスヘリと組んだ川崎重工が新たに開発する新型民間ヘリ、X9をベースに開発する案を提出していた。
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UH-1J
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この選定で川崎重工が受注を獲得できる可能性は極めて高く、大方の予想は川崎重工の受注であった。富士重が契約を勝ち取ったことは、当の富士重工含め、多くの関係者に驚きが広がった。
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防衛省によると富士重工は、今回の412EPI改良型は最低でも民間市場で150機程度、すなわちUH-Xの調達予定数と同じくらいの機数、あるいはそれ以上の販売が国内外の市場で可能であるとしている。防衛省側は第三者のコンサルタントに依頼してこの目論見を検討し、計画は手堅く実現性は高い評価をした。第三者の評価を取り入れたことは評価するが、はたしてそれほど売れるだろうか。
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実際問題として412EPI改良案は市場的には魅力が乏しい。そもそも原型であるUH-1の初飛行は50年代であり、すでに60年ほど経っている。当然ながら設計思想は古く、近代化しようにも限界がある。しかも今回の改良は事実上トランスミッションを改良してエンジン出力を向上させるだけで、技術的な目玉は存在しない。
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川崎重工案の場合、仮に生産目標が600機、採算分岐点が300機だとしよう。事実上のランチカスタマーである陸自の要求の150機で、採算分岐点までの1/2が埋まる。また開発費も一部防衛費から出されるために、純然たる民間機として開発するより、かなり軽減されるし、実際の採算分岐点はさらに低くなる。実は防衛省ではUH-Xをベースにし、OH-1、AH-1Sの後継機種となる軽攻撃・偵察ヘリ構想されていた。調達数は最低でも60機程度にはなっただろう。これも加えればUH-Xファミリーの生産は200機を超える。つまり採算分岐点まで2/3以上を陸自需要だけで賄える。また、国策として国内の警察や消防、海保などにも採用させれば更にリスクは低減できる。技術的にも得るものが多かった。
しかもパートナーであるエアバスヘリは世界最大のヘリメーカーであり、営業力が世界中で強い。つまり新規開発としては極めてリスクが低いプロジェクトだ。おそらくX9は第二のBK117(川崎重工とエアバスヘリ共同開発)となり、世界の市場でこの先数十年は売れる機体となっただろう。
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UH-X
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富士重案を選んだことで、UH-Xを原型とした軽武装ヘリの開発・調達の目は無くなったといえる。防衛省の担当者は否定するが、富士重工案が選ばれた理由にオスプレイの採用の影響が考えられる。陸自は現中期防で17機のオスプレイを調達するがその経費は約3,600億円と見積もられている。平均して毎年、900億円の予算が必要だ。陸自のヘリ調達予算は約300億円程度に過ぎず、その約3倍であり、この額は極めて巨額である。
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17機のオスプレイの調達後もヘリと比べて極めて高いとされる維持コストが必要だ。このため現在あらゆる部門でオスプレイ(更には水陸両用装甲車AAV7)などの高額な新装備の調達のあおりを受けて、予算の獲得が難しくなっている。陸幕がUH-Xの開発、調達コスト削減を一番に考えたのは、オスプレイ調達の影響がある可能性は否定できない。
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川崎重工案を選べばヘリメーカーの統合・再編が進む可能性もあった。UH-Xの契約が獲得できなれば富士重工のヘリ部門は新規へのヘリ生産がなくなり、事業を継続することが困難となる。であれば、3社あるヘリメーカーが2社となり、将来のわが国のヘリメーカー再編に途をつけることになっただろう。
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川崎重工業㈱
新明和工業㈱
富士重工業㈱
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UH-X,国内に運用基盤がある航空機を挙げて行く先に出てくる航空機はAW-101で、非常に大きな機体だが、分汎用性は大きいという。
AW-101は海上自衛隊の掃海輸送ヘリコプターMCH-101として10機が導入されると共に局地観測支援用の砕氷艦艦載機としてCH-101が2機取得、更に将来的には3機体制の構築が見込まれている。空虚重量10.5t、最大搭載量5.443t、兵員30~35名を輸送可能で、航続距離 1370kmの大きな飛行能力を有する。三発機であるため洋上の安定飛行能力が大きく、島嶼部防衛や国際平和維持活動に際する長距離輸送などにも資すると共に、輸送能力のもう一つの要素として後部にカーゴハッチを有し、小型車両であれば自走搬入は可能なのだ。
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AW-101は開発国イギリスにおいてはマーリンHC.3として輸送用に配備され、アフガニスタン作戦などで機体の搭載能力の高さやエンジン出力の余裕などから来る高山地帯での飛行性能の比較的高かったと評価は高い。
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AW-101
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川崎重工方式UH-Xが開発に着手し試作機と量産機に実用機が部隊使用認可を受け完成するまでの期間、その繋ぎとして導入する。ただ、AW-101は海上自衛隊でCH-101と呼称されている。
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CH101
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米海兵隊などでは空中機動の主力はCH-46かその後継機であるMV-22である。また、AW-101はMV-22の開発が長期化した際に暫定機として導入する候補の一つに挙げられた機体で、海兵隊は一時大統領輸送専用ヘリコプターマリーンワンとしてAW-101をVH-101として制式化した。
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