衆院解散:国会中なれど・気はそぞろ!

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二階氏「準備怠りなく」!
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与党幹部も次々と発言!
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「安定的な政治基盤の上に、しっかり結果を出していく」。26日、衆院本会議の所信表明演説で、安倍晋三首相は力を込めた。首相周辺は、その言葉の真意を「成立が危ぶまれるような法案は提出しないということだ」と解説する。
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臨時国会の会期は11月末までの2カ月余り。政府・与党は成立を期す法案を最小限に絞って臨む。環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案、消費税率10%への引き上げを2年半先送りする消費増税法改正案、さらに2016年度第2次補正予算案。これ以外は「基本的にすんなり成立する法案ばかり」(首相周辺)という。
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自民党の二階俊博幹事長は9月29日の二階派会合で、「いつ選挙があってもよい準備を怠りなくやっていく。特に衆院はいつ来るか分からない」と述べ、衆院の解散総選挙に備えるよう呼びかけた。「年明け解散」の臆測が政界に広がる中、政権幹部や自民各派の会長からも「解散風」をあおるような発言が続いている。
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二階氏は「解散がどうだこうだと新聞に載ると気分の良いものではないが、そういう世界に我々は身を置いている。お互い覚悟の上でこの世界に入ってきたわけだからがんばろう」と呼びかけた。
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他の派閥会長からも解散を意識した発言が続いた。麻生太郎財務相は「いよいよ次の選挙も近いと言って歩いている顔もある。顔つきが違う」。細田博之総務会長は「年内3カ月、大いに仕事をし、いつどういうことがあっても大丈夫な準備も怠らず頑張っていただきたい」。額賀福志郎元財務相は「衆院の先生方が戦う番。常在戦場で緊張感を持つことが大事だ」。
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28日には公明党の山口那津男代表が講演で「ここから先はいつ解散があってもおかしくない」と言及するなど、与党幹部の発言が新たな発言を呼んで反響しあい、「解散風」を吹かす状況になっている。菅義偉官房長官は29日午後の記者会見で二階氏の発言について問われ、「次の選挙に向けて常在戦場というのは当然のこと。幹事長がそういう話をされたとすれば、当たり前のことを当たり前に言ったんだろう」と述べた。
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下村氏は安倍晋三首相の側近。衆院小選挙区の「0増6減」などに伴い、来年5月末にも区割りの見直しが勧告されることも「(解散を)配慮する要因の一つになる」と述べた。勧告後は候補者の調整や、新たな区割りの下での選挙準備に時間がかかるとみられるからだ。
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北方領土問題を巡っては「12月の日ロ首脳会談で一定の決着がつけられなかったら、日ロ関係は膠着状態になる」と指摘した。
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推測から決定的とみられ現象は、自民党が、来年の党大会を3月5日に開催する方針を固めた。複数の党関係者が明らかにした。1月開催が慣例の党大会を3月に先送りしたことで、党内では、通常国会冒頭での「年明け解散」の見方が浮上している。
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党則によると、党大会は年1回、総裁が招集する党の最高機関。例年、通常国会召集前後の1月中下旬の日曜日に東京都内のホテルで開く。ところが、「来年も1月を模索したが、会場が確保できなかった」(党関係者)という。
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来年の党大会は、総裁任期延長の議論が今年中にまとまれば、任期延長が正式に決まる場になる。2015年はいったん1月開催を決めたものの、14年11月の衆院解散を受けて3月に延期した経緯もあり、「(党大会は)1月だと思っていた。(3月開催なら)衆院を解散できる」(党幹部)など、解散と結びつける見方が出ている。
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公明党の山口那津男代表は28日、東京都内で講演し、「衆参ダブル選挙は『やるべきではない』と私は首相に明確に言って、なかった。ここから先はいつ(衆院)解散があってもおかしくない」と述べ、早期に衆院選が行われても対応できるよう準備を進める考えを示した。
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山口氏は「総理が決断しようという時に『いや準備ができていないからやめてくれ』みたいな与党では困る」とも発言。安倍晋三首相が年明け解散の意向を示した場合でも応じる姿勢を示した。憲法改正については「今、国民の側から『ここがまずいから現行憲法を変えてくれ』という声が強く起こっている状況とは言えない」として、早期改正を改めて否定した。
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