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震源地ソニーの販売は4割超マイナスに!
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ニコンは新製品の発売を再延期!
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センサー供給が戻るまで1カ月!
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熊本地震の発生から約4カ月がたったが、ソニーのイメージセンサー拠点被災に端を発したデジタルカメラ市場への余震は止まっていない。地震直後よりも、在庫の減少で7月以降の方が生産状況は厳しい。各社は調達影響を精査し、2016年度販売計画の下方修正や、新製品の発売延期を公表した。スマートフォンに市場を奪われている状況に品不足が加わり、特に各社のコンパクトカメラ事業は二重苦、三重苦に見舞われている。
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震源であるソニーは7月末、16年度のデジカメ販売について、前年度比44・3%減の340万台とする計画を公表した。大手3社の中で最も前年からの減少幅が大きい。地震と市場縮小の影響に加え「少ない生産台数で利益を確保するため、高付加価値品シフトが加速している」(ソニー広報)という。
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他のカメラ各社も相次ぎ、販売見通しを下方修正した。キヤノンは16年度(16年12月期)の販売見通しを1月時点に比べて70万台引き下げた。内訳でみるとレンズ交換式は前年度比1・3%減の一方、コンパクトは同39・0%減を計画する。
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ニコンは販売計画を5月時点比20万台引き下げた。オリンパスも出荷見通しを同10万台減の87万台(前年度比23・7%減)とした。いずれも減少の大半がコンパクトカメラだ。
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「年末商戦へも不透明感が残る」(岡昌志ニコン副社長)とみる。パナソニックは販売見通しを170万台(同5・6%減)、富士フイルムは120万台(同4・8%減)に据え置いたが、いずれも生産への震災影響はある。
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部品不足は新製品投入にも影響する。ニコンはコンパクトカメラ「クールピクスA900」などの発売を10月に再延期した。オリンパスは今秋予定だった新製品の発売時期が遅れる見通しだ。
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もともとコンパクト市場は縮小している。このため、各社が利益率の高い一眼レフやミラーレスといったレンズ交換式カメラの生産を優先しており、減少に追い打ちをかけた。
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さらに「ソニーの拠点ではレンズ交換式より、コンパクト用センサーの生産設備への被害の方が大きかったようだ」(カメラメーカー幹部)のも一因だ。
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現在、家電量販店の店頭では、販売機会ロスも起きている。コンパクトカメラの利益率は低いが、デジタルカメラ利用者のすそ野を確保する役割もある。ソニー製イメージセンサーの供給が震災前の水準に戻る9月まで残り1カ月。低迷の続くカメラ市場のさらなる冷え込みを防ぐためにも、正念場が続く。
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