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「影響は5~10年続く」中国財政相!
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英国のEU離脱は中国に有利!
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中国天津市で開かれている国際会議「夏季ダボス会議」は6月27日、2日目の討議を始めた。中国の李克強首相が演説。英国の欧州連合(EU)離脱問題で市場が動揺する中、「世界経済の回復のため、共同で困難に対応し、安定した国際環境をつくる必要がある」と国際社会に呼び掛けた。
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李氏は「中国は欧州や英国との関係維持に引き続き尽力する」と強調した。
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会議は世界各地から政府関係者や企業経営者、学者などが出席。初日の討議では中国の外務次官が、市場安定に向けて20カ国・地域(G20)が「協調して対応すべきだ」と訴えた。
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中国の楼継偉財政相は6月26日、英国が欧州連合(EU)からの離脱を決めたことに関し、「いま世界経済は成長が減速し、下押し圧力が存在する。英国のEU離脱で不確実性はさらに増した」と指摘した。足元の金融市場の反応は過剰だとする一方で、「おそらく影響は5~10年続くのではないか」との見方を示した。
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楼財政相は「英国のEU離脱は交渉の過程が始まったばかりで、その間には多くの動きがある。世界経済にとっても重大な意味がある」と述べた。「(どんな影響があるか)いま判断するのは非常に難しい」としつつ、「私には(EU離脱が)英国にとって良いこととは思えない」と語った。
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英国が世界最大の単一市場から離脱する方向になったことを受けて、複数の専門家は中国が通商面で英国から有利な条件を引き出す上ではまたとない好機になるとの見解を示した。
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欧州国際政治経済研究所のギー・ドジョンキエールシニアフェローはAFPに対し、英国が今後EUなどの貿易相手国・地域から有利な通商条件を引き出せなかった場合、中国との交渉で「苦境に陥る」との予想を示した。
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英中両国は、二国間関係が新たな「黄金期」を迎えたと主張している。英国はかつての帝国主義国で、19世紀には中国にたびたび侵攻した。一方の中国はアジアの巨大な新興国であり、世界第2位の経済規模を誇る。
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中国税関当局の統計によると、昨年の英国との貿易額は785億4000万ドル(約8兆円)で対EU貿易総額の約14%を占め、貿易収支は400億ドル(約4兆円)余りの黒字。外国為替相場がポンド安になれば、中国の対英輸出額は押し上げられることになる。
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ECIPEのドジョンキエール氏は「実際には中国のペースに巻き込まれていないとは言え、これまで英政府は中国の主張を大幅に受け入れる用意をにじませる行動を取ってきた」と付け加えた。その上で「英国が自力で中国との通商交渉を行えば中国市場へのアクセスを改善できるとは考えにくい」と語った。
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投票から数時間後、国営英字紙チャイナ・デーリーのウェブサイトは、中国との新たな通商協定の締結を目指して交渉するならば、英国は10年間にわたって500人の交渉官が必要になると指摘した。ドジョンキエール氏によると、英国は1970年代にEUに加盟してから独自の通商交渉を行っておらず、今では独自の通商交渉官もいないという。
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国民投票の数日前、中国のある投資会社の首席エコノミストは、「かつて世界を支配した国の影響力は現在低下している」とした上で、英国が世界の状況を踏まえた上で「相互援助」を求めて中国に目を向けるようになると予想。「英国がEUから離脱した場合、中国にとって本当に不利だろうか」と問いかけた。イギリスがEUから離脱しても、イギリスはますます中国への経済依存度を高めるだけで、中国がEUとの距離をメルケル首相を通して強化していれば、中国は漁夫の利を得ることになる。
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