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輸出も視野というが技術は陳腐化!
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米下院の小委員会は4月30日までに、コスト増大を理由に生産中止となっていた最新型戦闘機F22の再生産に踏み切った場合の財政負担や増産の工程上での難点などの説明を求める条項を国防関連法案に盛り込んだ。
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F22を同盟国に売却可能となる選択肢の在り方の検討も要請している。敵レーダー網を回避出来るステルス機能を持ち、第5世代の戦闘機とも位置付けられるF22の輸出は現在禁じられている。
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同小委のマイク・ターナー委員長(共和党)は再生産の是非に関する検討は米国の空軍戦力の優位性を問う上で有意義な議論になるとし、ロシアと中国の脅威が高まる中でその可能性を探ることは価値があると主張した。小委の要請は近く下院軍事委員会で審議される見通し。
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北欧のバルト海などでは最近、ロシア軍戦闘機が米軍偵察機や駆逐艦に異常接近する事態が多発していた。
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F22については2009年、当時のゲーツ国防長官が1機当たり4億1200万ドル(現在価格で約438億円)を要する高額の製造費を理由に生産中止を決断。米国防総省は当初、計749機を調達する予定だったが、188機を製造した時点で打ち切られていた。同機の製造元はロッキード・マーチン社。
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米軍の最新戦闘機は引き渡しが始まったばかりのF35型機だが、F22と異なり実戦経験が乏しく必要な戦闘能力訓練などがまだ不十分とされる。F35は対地支援能力が優れているものの、空中戦ではF22より劣るとの指摘もある。また、両機とも能力改善でまだ開発の余地があるともされる。F35の製造費は9800万ドルから1億1600万ドルとされる。
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同小委はF22の将来的な輸出について、特定の国名は挙げていない。ただ、生産再開については、敵対国家が米国との技術力の差を埋め始め、同盟国などが国際的な安全保障の脅威が増す中で高性能かつ多用途に使える航空機を求める声が高まっている中で米空軍の優位性が脅かされている現状に言及した。
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日本のメディアによると、同国も次期主力戦闘機としてF22を有力候補にしていたが外国への売却禁止で断念した経緯がある。日本はその後、F35を選んだ。
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F22の生産再開については米国の軍用機関連メディア「エビエーショニスト」が今年3月、次世代の新たな戦闘機開発に挑むより賢明な方法と指摘。F22に、F35のパイロットがヘルメットに装着する周辺空域の視認を360度の範囲で可能となるなどの特殊機器を導入すべきとも勧めた。
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ただ、F22のステルス機能や他の主要性能はもはや旧式化しており、現状の戦闘機開発の技術段階の中で価値ある兵器システムとして再生させることは無理との見方もある。米空軍は既にFXと呼ばれる新型戦闘機の開発に着手もしている。米議会が仮にF22の再生産を決めたとしても、国防総省が難色を示し、これを退ける可能性もある。
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