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事前調査がおろそかの見本!
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日本の鹿島JVは高速道路で失敗!
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原因は「砂漠の砂」!
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砂対策なら高架橋で施工したら!
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日本でもアルジェリア高速道路工事が鹿島・大成・西松・ハザマなどのJVが安値受注をし、400kmの工事で受注額が5400億円と当時(2006年)としては超大型であったが、工期の遅れなどを理由にアルジェリア政府が代金の支払いを拒み、1000億円強が未払いとなっているためだ。トンネルだけでも14本あるのに地盤がもろく崩壊しやすい山を掘削する工事には、日本のゼネコンが得意とするハイテク施工が役に立たなかった。
さらにテロ対策の火薬持ち出し制限などから工事が滞った。JV各社は11年3月期に800億円の工事損失引当金を計上した。
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鹿島JVは、国際仲裁裁判所へ申し立てたが、アルジェリアは拒否し、凍結状態にある。
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損失は出資比率に応じて負担するのが原則。出資比率は鹿島と大成建設がそれぞれ37.5%、西松建設が15%、安藤ハザマが5%だ。2014年9月末時点の工事損失引当金は鹿島が410億円、大成建設が450億円、西松建設が32億円、安藤ハザマが22億円。国内工事の引当金も含まれるが、大半はアルジェリアの工事に関する引当金とみられる。「アルジェリア高速道路の工事代金の回収は一段と遠のいた」(市場関係者)との見方が広がっている。
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似たような問題がスペインとサウジアラビアの間でも起き上がった。こちらは、高速鉄道の話である。
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スペインの12社から成るコンソーシアムがサウジアラビアに建設中の高速列車(AVE)の工事に支障が生じているという。既に解決済みとされていた砂漠の線路に溜る砂の多さが安全運行に支障をきたす様相を呈しているのだ。それをスペイン側に伝えるべく、2015年12月19日付でサウジアラビア鉄道公社のジェネラル・マネジャーバサウ・アウメッド・グルマン氏の署名による書簡がスペインコンソーシアムに送られ、4日以内の解決を要求したという。その書簡にはそのコピーを検査管理をしているドイツのエンジニア組織DBインターナショナルに送っている旨も明確にされていたという。
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問題の高速列車とはサウジアラビアの2つの巡礼地メッカとメディナを結ぶ450km間の列車で、建設総工費は67億3600万ユーロ(9100億円)。当初、フランスの高速列車(TGV)が受注する可能性が強いとされていたが、スペインのファン・カルロス前国王(当時国王)がアブドラ前国王(当時国王)をリヤドに訪問して説得に努めたという。しかも、AVEの方がTGVより建設工事の見積もりで20%安価であったということも手伝って、スペインの12社から成るコンソーシアムが受注した。そして2012年に契約が交された。が、問題は線路に溜る砂漠の砂の処理と暑さが列車の正常な運行の障碍になるので、それをどのように解決するかという点にあった。
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しかし、建設工事が開始されてから現在までこの問題が未解決になっているとサウジアラビアの鉄道公社が指摘したのである。それを上述したようにサウジ鉄道公社が書簡で公にしたのである。
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書簡の主旨は、線路の土台の上に堆積する砂を防止するという問題が9か月も解決されておらず、その区間での列車の試運転も始めねばならない時期に来ているので早急なる解決を請うというものであった。更に、堆積する過度の砂から判断して、線路を敷く土台が砂の侵入を少なくするには不適切な構造であるということが明白になっているとも指摘したという。
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当初、この問題の解決策として、線路に枕木と砂利を使わず、舗装道路のようなコンクリートの上に線路を敷く構造を採用した。そして、舗装面に傾斜を設けて砂の溜りを少なくし、更に、125か所にセンサーを設置して、列車が通過した時の発信する音で、砂が溜っているか否かをチェック出来るシステムを配備するという計画だった。また、砂が風で線路のほうに運ばれるのを防ぐコンクリートの防禦壁も設けることも決まっていた。しかし、現在建設を進めている過程で、砂の堆積を緩和するこれら一連の策が役に立たないことが判明したのだ。
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上述の書簡が現れる以前に、コンソーシアムを構成しているコパサとイマティアの2社が2015年10月22日付でコンソーシアム本部に送った書簡の中では、線路を敷くコンクリートの土台のサイズと構造が正しいく造られていないと言及され、その修正の為の費用をこの2社は負担しないと伝えていた。更に、2社はメッカとメディナの間を結ぶ区間の砂の動きが充分に研究されていないことにも触れたという。
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高速列車は砂丘を横断し、そして石に砂が堆積した砂漠も通過するが、そこでは風の動きで砂が猛烈なスピードで移動して堆積する。128.88kmの地点からコンクリートの土台になるが、そこから高さ5mの防禦壁を設けて砂の侵入を防ぐことになっている。しかし、まだ建設されていないその防禦壁が現状の堆積する砂の量から見て果たして 役に立つか否か疑問が生まれたというのだ。
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事態の深刻さを鑑みて専門調査期間イネコが問題とされている117~227km地点の区間1620㎡の砂漠の状態を調査し、1年前にその最初の調査報告がコンソーシアムに渡されたという。それによると、建設予定になっている防禦壁では砂の侵入を防ぐには不十分であるという調査結果になったという。
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工事を開始する前に充分に調査したのではない。事前の現場調査が不十分だと今回の双方の契約のように、スペインコンソーシアムが完成後も12年間そのメイテナンスを負担することになっていることから、現状の儘だと、砂漠の砂を除去する作業をコンソーシアムの負担で12年間続けて行かねばならないかもしれない。
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線路の建設を担当した大手建設会社OHLはコンソーシアムの他社11社に自社がこの砂の除去作業を無料でする意思がないことを書面にて通知した。その中で、〈「機関車を生産したTalgoが試運転をしたいのであれば、彼らがその費用を負担すべきだ。OHLは他社の為に自社がその費用を負担する用意はない」〉と言及したという。
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機関車、車輌、それに関係した設備や器機を生産する3社Talgo、Renfe、Adifは建設工事が終了したあとも12年間のメインテナンスサービスを続けねばならない。
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現在問題を提起しているOHLは建設工事が終了すれば引き揚げることになっている。
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スペインは国家の面子にかけてこの問題を解決しておかねばならない。今年末が完成予定になっているのだから。
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