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利益優先・基地ごみ積極受け入れ!
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沖縄県が産廃許可取り消し!
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ごみを不法投棄したとして県は11月20日、沖縄県内大手の産業廃棄物処理業者「倉敷環境」(沖縄市池原)について、廃棄物処理法に基づき、産廃処分業などの許可を取り消したと発表した。すでに搬入されたごみを処理するため12月4日まで稼働するが、営業は11月21日から停止した。同社は県全体で出るごみの約1割を処理しており、会見した県環境部の大浜浩志部長は「廃棄物は今後、県内の業者で処理することが可能と考えているが、これまで以上の分別の徹底が必要」と呼び掛けた。
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不法投棄をしたとして産業廃棄物処分業の許可を取り消された沖縄市池原の大手廃棄物処分業、倉敷環境が2013年度以降、在沖米軍基地から排出されたごみの受け入れ量を大幅に増やしていたことが11月22日、県の調べで分かった。廃棄物を積み上げた高さ30mの「ごみ山」の処理をしなければならない同社が、十分な分別がなされず、処理に手間がかかる米軍基地の排出ごみを積極的に受け入れていた実態が明らかになった。倉敷ダム流域振興促進協議会の池原秀明会長は「ごみ山の処理より、利益を最優先する社の姿勢が如実に表れている」と指摘した。
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在沖米軍基地内には廃棄物処理場がないため基地から排出されるごみは、倉敷環境を含む県内の民間業者2者が大方、請け負っている。中でも倉敷環境は前身の南商会の時代から、県内随一の量を受け入れてきた実績がある。
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県の調べによると、09~15年度までの米軍基地排出ごみの総量は年間2万1千~2万6千tで推移し、ほぼ横ばいだった。排出ごみの総量が2万6691tだった09年度は、倉敷環境と別の社が約半分ずつ受け入れていた。だが13年度は総量2万5608tのうち1万9670tを、14年度は総量2万3064t全てを倉敷環境が受け入れていた。
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日本環境管理基準(JEGS)には「各米軍施設は固形廃棄物管理計画を策定・実施し、廃棄物の排出量削減やリサイクル率の上昇、堆肥化に努めること」と明記されているが、実際はほとんど分別されないまま、業者に排出されている。
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県の担当者は、米軍の1人当たりのごみ排出量は県民の約2倍とされることから「長期にわたる米軍基地排出ごみの受け入れが、ごみ山をつくる一因になった可能性は高い」と分析している。
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県は、㈱倉敷環境が関連会社の敷地内に不法投棄した約114m3のごみを確認。同社は「『ごみ山』の計1万4千m3のごみを移した」と話しているという。
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県は20日午前、同社の南裕次社長に許可取り消しの通知書を渡した。同社の業務を引き受けるための新会社「倉敷」(南秀樹社長)から出ていた焼却炉などの借り受け申請についても同日、不許可とした。倉敷から新たな申請が出されれば県は改めて内容を審査するが、結果が出るまで半年はかかるという。
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県によると、倉敷環境は2013年ごろから同社敷地内に積まれているごみ山のごみを、約800m離れた関連会社「環境ソリューション」(同市登川、南秀樹社長)の敷地内2カ所に違法に埋め、放置した疑い。昨年8月に情報提供があり発覚。職員が土で覆われた場所を掘り返すと、燃え殻や木くず、廃プラスチックなど計約114m3のごみが見つかった。
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今年4月以降、同社の意見を聞く聴聞を行い、南裕次社長は「ごみ山のごみを仮置きしただけ」と不法投棄を否定した。だが汚染防止の措置はなく、県は「情状は特に重い」と判断。不法投棄の疑いで県警に告発することも検討している。
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倉敷環境は、1964年創業の南商会を引き継ぎ2000年に設立。沖縄市とうるま市にそれぞれ管理型と安定型の最終処分場を所有し、一般、産業の両廃棄物を受け入れた。県によると、15年度の処理実績は計約2万5千トンで、県全体の約1割に当たる。繊維くずや紙くずなどは同8割を占めている。同社によると、在沖米軍が出す一般廃棄物の約6割も処分しているという。
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沖縄県内大手の産業廃棄物処理業者「倉敷環境」がごみを不法投棄した疑いのある問題で、県が、業務を引き継ぐために同社の関連会社「倉敷」が提出した焼却炉などの借り受け許可申請を認めない方向で最終調整に入ったことが分かった。16日までに一部の与党会派の議員や同社関係者に同様の考えを説明した。県は月内に倉敷環境の廃棄物処理法に基づく産廃処分業などの許可を取り消す方針で、影響を抑えるため、県内最大の処理容量を有するセメント製造販売「琉球セメント」(浦添市)を中心に受け皿の確保を急いでいる。
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県は倉敷の申請を9月に受理、内容審査を進めていた。不法投棄の疑いで許可を取り消される倉敷環境の焼却炉などについて、同じ住所に新しく設立された関連会社がそのまま借り受けることに、廃棄物処理法を所管する環境省が難色を示したという。県議会は近く土木環境委員会(新垣清涼委員長)を開き、県に事情を聴いた上で、沖縄市池原に倉敷環境が積み上げた「ごみ山」などを視察する方針。
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同社は長年、米軍関連ごみを含め分別が十分でない廃棄物も受け入れて業績を伸ばしており、許可取り消し後に他業者が受け皿となるには分別の徹底が必須となる。中小零細事業者には分別作業にかかるコスト負担が課題となりそうだ。
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沖縄県内大手の産業廃棄物処理業者「倉敷環境」(沖縄市池原)の産廃処分業許可の取り消しに、県が踏み切った背景には、不法投棄の撲滅を目指す環境省による廃棄物処理法の厳格化があった。県が同社の不法投棄の疑いを知ってから、実際に取り消すまでに約1年3カ月。行き場のない廃棄物が出かねないとして庁内では「軟着陸」(県幹部)を探る動きもあったが、所管官庁の環境省の意向もあって事実上の営業停止となった。
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県は昨年8月、匿名の情報提供を得て調査に着手。上空からの衛星写真で敷地内を見渡せる「グーグルアース」を駆使するなどして「明らかな不法投棄」(当時の関係者)との確信を強めた。同社は長年、10階建てビルに相当する高さの「ごみ山」を積み上げるなど不適正な処理を繰り返してきた。県幹部は「今回は廃棄物を埋めて隠そうとした。ごみ山改善に努力していると思っていたのに裏切られた」と話す。
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環境省は2003年、廃棄物処理法を改正し、不法投棄があれば「許可を取り消さなければならない」と厳格化。13年には各都道府県に「不法投棄を行っているにもかかわらず、事業停止処分などにとどめる例は不法投棄を事実上追認するもの」などと通知した。影響の大きさを考慮して取り消しに及び腰になりやすい都道府県から裁量の余地を奪った格好で、これらを基に庁内では「県レベルでどうしようもない事案」として取り消しは避けられずとの見方が強まった。
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だが問題は「いつ、どう取り消すか」(県関係者)だった。複数の関係者によると、不法投棄を把握した時点で「即」取り消し案も浮上したが、廃棄物の受け皿の確保を含めて慎重に進めるべきだとして立ち消えになったという。
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今年8月、取り消しの気配を察知した同社が事業継承のため新しく設立した会社「倉敷」が、焼却炉などを借り受け、ほぼ切れ目なく営業を続けられる可能性を模索したこともあった。だが、県に技術的な助言をする環境省が難色を示した。以降、県は複数の業者との交渉を加速させ、「分別を徹底すれば県内の別の業者で処理することが可能」というレベルに環境を整えることで、今月20日に取り消しへと踏み切った。
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