薬価全て毎年改定:市場価格下落を即反映!

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2年に1回を・毎年に!
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政府は11月30日、原則全ての薬を対象に薬価改定を毎年実施する方向で最終調整に入った。市場の実勢価格の下落を時間を置かずに反映し、高騰する医療費抑制と国民負担の軽減につなげたい考え。早ければ12月7日に開催予定の経済財政諮問会議での方針決定を目指す。
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薬剤の処方代は、高齢化などを背景に毎年増加しており、医療費膨張の最大の要因になっていると指摘されている。政府が行う薬価改定で薬の価格は下がることが多いが、原則2年に1回のため「柔軟な見直しができない」などの批判が出ていた。そのため、厚生労働省は、患者1人当たり年間約3500万円かかるとされるがん治療薬「オプジーボ」について、次回(2018年度)の薬価改定を待たずに来年2月から臨時に半額に引き下げる方針を決定。また、他の薬についても、薬価と市場の実勢価格に一定の差が生じた場合、年1回以上引き下げる方針を示していた。
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しかし、政府内ではオプジーボの薬価引き下げをきっかけに、「毎年の(市場価格)調査や改定は行うべきで、熱いうちに方向性を決めるべきだ」(菅義偉官房長官)などの意見が拡大。政府はオプジーボの臨時引き下げが決まったタイミングを捉え、原則全ての薬を対象に毎年、薬価改定を実施する方向で検討している。
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医師会や製薬業界は薬価改定の基礎となる市場価格の調査の負担が増えるなどと反発している。だが、政府はIT化の進展で薬剤の価格データの収集は容易なうえ、画期的な新薬は薬価を加算し優遇する仕組みがあるため、毎年改定は可能と判断したとみられる。
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厚生労働省は30日、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関、中医協)で、公的医療保険で扱う薬の値段である「薬価」の抜本的な制度改革に向けた議論を始めた。

超高額の新薬の登場などを受け、政府は年末に経済財政諮問会議で改革の基本方針を定める予定。厚労省は基本方針に沿って今後、中医協で具体的な制度設計を検討する。
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薬価の改定は、原則2年に1度で次回は2018年度。しかし、超高額の抗がん剤「オプジーボ」に関し、対象患者の急増に伴って薬剤費が膨らんだのを受け、17年2月に半額に値下げする緊急措置を決めている。厚労省はこの日、薬価の算定方式や対象患者が拡大した場合への対応など、現行制度の課題を示した。
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25日の経済財政諮問会議では、民間議員が薬価改定を毎年実施するよう提案。塩崎恭久厚労相は、改定頻度を増やし薬価を柔軟に引き下げられるようにするなどの改革案を表明した。
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厚労省は、今後の検討課題として、
(1)新規収載品の薬価算定、
新薬の薬価算定方式、イノベーションの評価、外国平均価格調整、新規後発医薬品の薬価設定の4項目
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(2)既収載医薬品の薬価改定、
市場実勢価格の反映(改定頻度・流通価格の把握方法・費用対効果評価の導入など)、再算定、新薬創出・適応外薬解消等促進加算、長期収載品の薬価、後発医薬品の価格帯の5項目
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(3)薬価収載・改定のプロセス
薬価収載・改定のプロセスの向上
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――の3つの柱に分けて検討課題とする。
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