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指針見直しへ!
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業界の自主規制では健全化は無理!
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中小企業の後継者不足などでM&Aによる事業承継の需要は拡大し、足元では年間3000~4000件あるとされる。一方で参入に特別な資格が必要ないため新規参入企業も多い。中小企業庁は、2021年11月からM&Aの当事者から直接クレーム受付る窓口を設置し、業界のサービス提供状況をモニタリングする運用を進め、業界の自主規制団体である「M&A仲介協会」の設立(2021年10月)後押しし、業界の健全化に向けた取り組みを加速させた。
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中小企業のM&A(合併・買収)を巡るルール整備が始ままったが、後継者不足などで企業再編の需要が高まるに比例し、悪質な仲介業者によるトラブルも目立つてきた。2023年9月には、報告されたトラブルや問題提起を受けて、中小M&Aガイドラインを改訂するなどしてきたが、利用する側の経営者からクレーム、トラブル報告は後を断たない。
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トラブルの原因は仲介中立の立場を守れないことにある。仲介業者が売り手、買い手の両者を差配しており、顧客の利益より自己の利益を優先させているからである。自己利益を追求するなら、利益が発生する側の顧客に肩入れしてしまう
ケースも出てくる。
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トラブルの発生原因は「給与体系にある」という。仲介業界は「基本給が低く成約のボーナスが大きい」体形になっており、成約ボーナスが数百万円から1千万円超と大きく、金に目がくらむという背に腹は代えられない契約も出てくるだろう。過当競争の仲介業界、一発を狙うあまりしつこい営業になることも多いだろう。
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中小企業庁は5月31日、M&A仲介業者などに向けたガイドライン(指針)の見直しを議論する有識者会議を開いた。M&A仲介を通じた中小企業の事業承継でトラブルが相次ぐ問題を受け、買い手候補となる法人の信用調査を幅広く行うよう求める案などを示した。議論を重ね、指針は今秋に見直す。
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中企庁が示した見直し案では、仲介業者やアドバイザーが税務申告書などで買い手の資力やコンプライアンスを確認するよう求める。不適切行為のクレームがあれば内容を精査し、紹介を続けるかどうかは慎重に判断する。不適切な買い手の情報について業界内で共有する仕組みも検討する。
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中小企業庁の指導は買手の法人信用にターゲットを絞っているが、業界全体にはびこっている「いびつな給与体系から出てくる質の悪い仲介」にも指導をすべきではないか。顧客優先なのか、仲介業者優先なのか、トラブル仲介業者の排除など根本問題に手を付けるべき時期に来ていないか。
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