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違反認定へ・建築基準法で初!
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くい打ちデータ偽装問題の発端となった横浜市都筑区の傾斜マンションについて、横浜市が建築基準法違反を認定する方針を固めたことが8月15日、分かった。事業主側の検証結果を精査した結果、傾いた棟は一部のくいが強固な地盤に到達していない施工不良のため、長期的に十分な支持力がなく、中規模地震で損傷する恐れがあると判断した。昨年10月の問題発覚以来、同法が定める耐震基準を満たしていない疑いが指摘されていたが、認定されるのは初めて。
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国土交通省は今年1月に、建設業法に基づいて、元請けの三井住友建設と下請け業者2社(問題となっている杭工事は、三井住友建設が日立ハイテクノロジーズに下請に出し、日立ハイテクノロジーズがさらに旭化成建材に下請に出し、旭化成建材が実際の施工を行った)を指名停止や営業停止などの行政処分にしている。同マンションの建築基準法違反認定を受け、国交省は改めて3社の行政処分を検討する見通しだ。
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同マンションをめぐっては今年6月、三井住友建設と事業主の三井不動産レジデンシャルが「(傾いた棟は)震度5強の中規模地震で一部の部材が損傷する可能性がある」とする検証結果を同市に報告した。同市は、報告や構造計算書などの精査を進めていた。
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同市は昨年12月、同マンションの構造耐力の適合性について、事業主側に第三者機関の意見も踏まえた検証結果を報告するよう指示していた。建物が沈み込んだりする長期荷重への耐久性と、中規模地震時の損傷の可能性がポイントだった。また、昨年11月には、事業主側が同マンションについて「大規模地震(震度6強~7)で倒壊・崩壊する可能性はない」と報告。同市はこれを認め、「住民の避難勧告の必要性はない」としていた。
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事業主側は同マンションの全棟建て替えを提案。住民側は9月に決議を行う方向で手続きを進めている。
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横浜市都筑区のマンションのくい打ちを巡る問題で、全4棟が建て替えになった場合、三井不動産や旭化成など関係各社が負担する費用総額が約400億円に上ることが7月13日、わかった。建て替えは9月に開く管理組合の集会で正式に決める見通し。負担の割合は集会後に詰めるが、決着には時間がかかりそうだ。
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建て替えに必要な費用は全4棟の解体・建設費用や引っ越し、仮住まいの家賃、1世帯当たり300万円の慰謝料を含む。
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販売店が何の仕事もせず、口銭を受け取る仕組みの中に、杭工事工程の進捗確認や現場の安全確保という名目仕事の名称を付け、実務は全て旭化成建材が業務をし、日立ハイテクからは一人も現場に行っていないのだろう。事実確認もできず、だから、回答もできないのだろう。
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ゼネコンの下で、形ばかりの1次下請けでピンハネが商売の業者も多く、事故が起きて初めて実態が見えてくる。今回も建設業界のピンハネ体質が禍したと言えるだろう。少しの間はゼネコン業界緊張するだろうが、ほとぼりが冷めたら又もとに戻るのがこの業界の特質。
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横浜市のマンション傾斜問題は、くいを打ち込む地盤の強度だけでなく、補強用のセメント量のデータまで改竄(かいざん)されていたことが判明するなど深刻の度を増している。データ改竄に手を染めたとみられる旭化成建材の男性管理者は、これまでの旭化成側の聞き取りに対して明確には不正行為を認めていないというが、建築不信の高まりは避けられそうにない。住民の生活を砕いた「複合偽装」は、なぜチェックできなかったのか。
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「くい打ち施工のデータをすべて精査するのは無理。正直言って、仕事が回らなくなる」。全国でマンション建設を手がけるゼネコンの男性社員は、施工主の本音を打ち明ける。
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問題のマンションでは、約3カ月間の工期で4棟に計473本のくいが打ち込まれた。施工主の三井住友建設の関係者は「多数のデータの中に“偽物”を紛れ込ませて提出されれば見破るのは難しく、性善説に頼るしかない」とこぼす。
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今回のケースでは、現場でデータを確認して保管する責任者が改竄を行ったとみられるだけに、事態は深刻だ。旭化成建材によると、男性管理者はデータをまとめて施工主の三井住友建設に提出するのが仕事だったが、社内では目を通す立場の上司は1人だけだったという。
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