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台風15号で千葉県は何故甚大な被害を受けたのか!
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あらゆる面で日本は劣化している!
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今年も災害による被災地が拡大している。台風の通り道となっている九州や熱低低気圧となってからの東北・北海道の水害などは、関東圏の千葉県より「田舎」扱いされることが多い。地方の県庁所在地には、NHKの支局や民放キー局とネットワークした地元放送局が存在し、一定規模の取材態勢を有している。
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今回の台風15号の報道で深刻な事態になっていたが、報道が遅れた背景に、千葉や埼玉などの首都圏特有の構造的問題が指摘されている。報道を見ると、千葉、神奈川、埼玉などは、東京キー局が直接動くため首都圏のエアポケットとなっているのだ。県庁所在地の千葉市や空港のある成田に支局はあるが、館山など房総南方は駐在カメラマンなどを配置しているのだろうか。新聞社も、徳島県の徳島新聞(20万8千部)、隣接の愛媛新聞(23万部)、石川県の北國新聞(34万部)、宮城県の河北新報(44万5千部)、北海道新聞(96万3千部)のような強力な地元紙はいない。千葉県の人口は627万人いるが、は千葉日報社(14万5千部)はあるが、強力な地元紙はないのである。
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600万人という人口を擁しながら、27年国勢調査で見ると千葉県の昼間人口は558万2千人、夜間人口は622万3千人である。64万2千人が東京圏への通勤人口である。
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千葉県内でも「県庁所在地 VS 遠方の自治体」という報道格差がある中で、経営の苦境が続く新聞、テレビが取材拠点の統合・縮小を進めており、ニュース砂漠と揶揄される所以でもある。
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そもそも停電はなぜ起きるか。
大きく分けると2つある。1つは2018年9月6日に発生した北海道南西部で発生した震度7の地震による北海道全域の大停電(ブラックアウト)のように、苫東厚真発電所(厚真町)が地震により緊急停止し、需給のアンバランスから来る「系統崩壊」が原因と言われる。
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北海道と本州をつなぐ送電線の容量も60万kwと道内の電力需要をカバーできるほど確保されていない。道内の泊原子力発電所(泊村)も運転を停止中で供給力に余裕はなく、大規模停電は、一カ所の大規模火力発電所に依存することの脆弱さが浮き彫りになった形だ。
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もう一つがまさに今回のように、電気を送る設備(送配電線)の事故等により電気の流れる経路が途絶してしまうことによる停電。
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通常は、送電線が途切れたとしても迂回ルートで送電できるようにしてあり、今回も迂回ルートはあったが、迂回ルートから全ての需要家へ送電ができなかったようだ。木更津あたりはこうした要因が影響しているようだが、最大停電軒数約934,900軒のうち、鉄塔倒壊(2基)による停電軒数は約11万軒で、全体から見るとそれほど多くない。
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今回の特徴は、電柱の折損が非常に多くあったことのようだ。経済産業省は、台風15号の影響で、千葉県を中心に電柱2千本が倒壊や損傷したと推計、いかに今回の台風がすさまじかったかということですが、電柱は、インフラでいうと高速道路や国道のような存在ではなく、住民に密着した市道や村道という存在なはずだ。電柱を経由する配電線も1か所が折損しても網目のように配線されており、他の電柱の電線経由で送電できるようになっている。それが壊滅状態になってしまったのだ。
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電柱の折損で大停電となった千葉県だが、電柱を地中化しておけばという言葉はよく出る。しかし、舗道一体型電線共同溝方式(次世代新方式)で5.6億円/km)地中のケーブルにトラブルが発生した場合には地上の電線のようにすぐ作業ができないという難点もある。
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台風という災害に対し、行政機関や医療機関などは、このようなリスクへの備えをどれほど講じてきたのか。よく想定以外の事態で、、、と言うのは職務怠慢という言葉と同義語に聞こえる。九電管内なら、4~5時間ほどで復旧すると聞く。風台風に慣れているからだろうか。
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台風15号で停電や家屋損壊などの被害を受けた千葉市で、台風上陸の直後に立ち上げられた災害対策本部が、その日のうちに一時解散されていた。解散時点で市内では大規模停電が継続中で、住宅損壊などの被害も確認されており、常識では考えられない事だ。
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15号台風の記事がある。
9月8日(日)夜から9日(月)朝にかけて猛烈な風が吹き荒れ、暴風被害が各地で発生。東京電力によると、9日(月)朝7時45分時点では、約93万戸の大規模な停電が発生。3日経過した12日(木)現在も千葉県内では停電が続いています。
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分析の結果、停電が発生したエリアはおおよそ最大瞬間風速25m/s以上の地域となりました。また、特に停電が集中して発生したエリアでは最大瞬間風速40m/s以上を観測していました。千葉市の最大瞬間風速57.5m/sを筆頭に、千葉県内の広い範囲で記録的な暴風を観測。この暴風が送電網に影響をもたらしたと見られます。
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台風15号の影響で長期化していた千葉県内の大規模停電をめぐり、東京電力は9月24日夜、同県内で発生していた停電が2週間ぶりに解消したと明らかにした。
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「千葉県の初動対応腰重く 全容は今も分からず」
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「被害が大きいとは聞いていたが、実際に現地を見ると、これはひどいなと思った」。屋根が壊れ、ブルーシートが張られた住宅が並ぶ房総半島南部の鋸南(きょなん)町。千葉県の森田健作知事は9月20日、甚大な被害を受けたこの町を台風上陸後に初めて訪れた。被災地の視察は14日に続き2回目。同行した白石治和(はるかず)町長は、シートを屋根に張るための作業員の確保を知事に求めた。
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県が被災状況を確認するために職員を現地に派遣したのは12日午後5時半。台風上陸から3日後という腰の重さ。
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災害対策本部の設置のタイミングなど県の対応の遅れの指摘に対し、森田健作知事は「設置が台風通過の翌日になったことは対応の遅れにつながったとは考えていない」と否定した。台風15号の被害に対する県の対応を巡っては、台風が上陸した9日未明から丸1日たった10日午前9時に災害対策本部が設置されたことや、市町村への県職員の派遣が12日夕方になったことが問題視されている。
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代表質問は当初20日から予定されていたが、被害対応のため1週間延期された。9日の台風被害の発生以降、本会議で質疑が行われたのは初めて。
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斉藤守県議(自民)は「初動体制や災害対策本部の設置が遅れたと言われているが、どのように考えているのか」とただした。森田知事は、8日の昼から関係部局で情報収集にあたり、9日未明の大規模停電発生後は情報収集と、特に断水や拠点病院での水と電力供給不足について応急対策の検討を進めたとして「対策本部の設置が台風通過の翌日になったことは応急対応の遅れにつながったとは考えていない」と答弁し、初動対応の遅れを否定。その上で、「県、市町村ともに停電対応に追われる中で情報伝達や連携がどうだったのか今後しっかりと検証していく」と述べた。だが、県からの応援職員の派遣は災害対策本部の所管事項とされており、対策本部を即時に設置しなかったことが職員派遣のタイミングなどに影響を及ぼした可能性がある。
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千葉県では台風が直撃してから丸一日以上がたった9月10日の午前9時まで災害対策本部が設置されず、予定されていた都内での公務をキャンセルしたあと、終日千葉市内の知事公舎に滞在していた事に対し、千葉県は「風や雨が強く外に出ること自体が危険だと判断して、知事には公舎に待機してもらった」とした上で、知事公舎には県庁の執務室と同じような環境が整っているため、被害の情報は電話やファックスで報告していたとしている。
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大災害に際し、安倍晋三首相が「非常災害対策本部」を設置せず、さらには台風上陸2日後の11日に内閣改造を強行したことに批判が集まっている。
「昨年の西日本豪雨や2016年の熊本地震の際には、非常災害対策本部は設置されましたが、今回の台風15号の被害の大きさを考えれば、設置されるべきでしょう。さらに問題なのは、非常災害対策本部どころか関係閣僚会議すら開かれず、事務方レベルの関係省庁災害対策会議のみ。それも初めて開かれたのは、台風上陸翌日10日の午後になってからで、内閣改造が行われた11日をまたいで、2回目の会議が開かれたのは12日になってから。
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東京直下型地震も予測され、東南海地震も30年以内発生と予想されている中、中央も地方も政府や自治体が危機意識をもって、常日頃から意識してかからないと、発生してから考えるでは遅いのではないか。
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