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制裁逃れの企業・中国の「大連天宝国際物流有限公司」子会社!
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ぜいたく品の輸入が禁止されているはずの北朝鮮の店頭に、日本製のぜいたく品がずらりと展示されていることがしばしば報道される。ぜいたく品に限らず、制裁対象物品が北に流れ込んでいるのは明らかである。
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米国のシンクタンク「C4ADS」は、国連が対北輸出を禁じている「ぜいたく品」の北朝鮮への流入に約90か国が関与しており、北朝鮮は2015~2017年に高級車803台を輸入し、うち3割の256台が日本車(トヨタ自動車がレクサスなど211台、日産自動車43台、三菱自動車2台)であったことを明らかにした。
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国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議に違反し、ぜいたく品の高級ワインなどを北朝鮮に輸出して訴追されたと報じられた、シンガポールに拠点を置く企業が、日本政府が全面禁止する日本から北朝鮮への輸出に転送業者として関与していたことが、北朝鮮消息筋や関係当局の話で分かった。中国向け輸出を装い、実際の仕向け先を隠す手法で制裁逃れを図っていた。
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シンガポールの報道番組CNA(電子版)などによると、訴追されたのは、中国遼寧省大連市の「大連天宝国際物流有限公司」(大連天宝社)のシンガポール子会社とされる「SINSMS」(S社)。
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米財務省は2018年8月、大連天宝社を米制裁対象に指定、S社と「北朝鮮への違法輸出で協調している」と指摘していた。
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報道によると、S社は2016年から17年にかけ4回、60万シンガポールドル(約4600万円)相当以上のワインや蒸留酒などを大連を迂回させ、北朝鮮に不正輸出したとして、シンガポールで15日に訴追された。公判が9月に開かれるという。
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消息筋などによると、S社は14年7月、日本からシンガポール港に届いた約700万円相当の食料品などを大連に船で転送した。大連では、
大連天宝社と事実上同一企業とみられる貿易会社「サン・ムーン・スター・トレーディング」が荷受けし、別の船に積み替えて北朝鮮の南浦(ナムポ)港に輸送した。
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食料品などの最終仕向け先は北朝鮮の治安機関・人民保安省傘下の企業だったとされる。
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京都府警などの合同捜査本部は17年12月、北朝鮮に不正輸出した外為法違反(無承認輸出)容疑で、食料品などをシンガポールに送った東京都内の環境設備関連会社社長ら3人を逮捕したが、京都地検は18年1月に処分保留で釈放した。
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3人は同月、別の不正輸出容疑で再逮捕された。しかし、同地検は2月に不起訴とし、「犯罪事実を立証できる十分な証拠を収集できなかった」と説明していた。
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元国連安保理北朝鮮制裁委員会・専門家パネル委員の古川勝久氏が「日中合弁の闇 対北で利用される日本企業」(『正論』令和元年8月号所収)で明らかにしている。
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和歌山県に本社を置くB社(役員は中国人、A、C社も同じ)と丹東に本社を置くC社が、大連にA合弁会社を設立する。すなわちA社(在中国)がB社(在日本)から輸入した製品をC社(中朝国境)が北朝鮮で売る構図を確立しているのである。
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「丹東C社の代表者は大連A社を使って、日本から北朝鮮に大連経由で貨物を不正に輸出した。にもかかわらず、いずれの企業も普通に営業を続けている」という。
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B社は福岡、群馬、静岡各県および大阪府にも営業所を有して日本各地で事業を展開し、「主な仕入れ先として、日本国内の有名企業の名前がずらりと並んでいる。
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主要取引銀行は、メガバンク3行と地方銀行1行の計4行」で、「特に不審な点は見当たらないが、ホームページで、和歌山B社の『事業所』の一つとして大連A社を記載している」という。
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米国であれば、「大連の企業を米国内で起訴・訴追し、制裁対象に指定していただろう(いわゆる2次的制裁)」が、「日本では、国連安保理か米政府が制裁対象に指定しない限り、日本政府が独自制裁を科した前例はほぼ皆無」という。
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「日本の民間企業や金融機関が知らずに北朝鮮関連の取引に巻き込まれていた可能性は十分に考えられる」というが、「(日本の)現行の行政枠組みでは、独自制裁のための関係省庁間の役割分担も意思決定プロセスも不明確」と断言する。
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現状では「このプロセスを主導する組織はなく、日本国内の法的手続きに耐えうる高い証拠能力を持つ情報を海外で収集・分析する作業は行われていない」し、「『関係省庁間で責任を押しつけ合っている』との指摘も政府内から聞こえる」という。
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そして「米政府のように、2次的制裁のための強い根拠となる法制を整備し、政府としての意思決定プロセスを明確に定める必要がある」と提言する。
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