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パナマ文書について面白い記事が出ている。記事の執筆者は毎日新聞客員編集委員の金子秀敏氏である。
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<記事を引用する>
パナマ文書には、米国のオバマ大統領と関係が悪いロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席の友人、親族の名前もあった。中国外務省はノーコメントを繰り返しているが、「環球時報」紙が示唆したように、文書流出の狙いは中国とロシアだろうか。
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そういう目で見るとキャメロン英首相は中国傾斜が目立っていた。昨年、習主席の英国訪問を大歓迎し、米国の反対を無視して中国が提唱したアジアインフラ投資銀行(AIIB)に欧州勢で一番乗りした。
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だが、文書にはパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」がタックスヘイブンに登記したペーパーカンパニー1万6000社あまりが記載され、その約3割が中国人、香港人のものだった。習主席だけが特別ではない。
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中国共産党の最高指導部は習主席はじめ7人の政治局常務委員。同じ常務委員の劉雲山(りゅう・うんざん)・書記処常務書記と張高麗副首相もそれぞれ親族の名前が文書に出た。劉、張両氏は江沢民派で、このところ習主席との党内闘争が激しいが、この件では痛み分けになった。
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保守派では毛沢東の孫娘の夫、改革派ではトウ小平(しょうへい)の娘婿に、故胡耀邦(こ・ようほう)・元総書記の息子の名も出た。
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タックスヘイブンに群がる中共幹部たちの諸事情
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なぜ中国人はこれほどの情熱でタックスヘイブンに企業を登記するのだろうか。単なる節税ではない。国有企業から献金を送金させた痕跡を隠すロンダリングと、海外で外貨資産を運用して財産を殖やすためだ。
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権力闘争に負けたり汚職が発覚したりしたら、いつでも外国に逃げ出さなければならない。習主席に打倒された薄熙来(はく・きらい)・前政治局委員はシンガポールに巨額の口座を持っていた。パナマ文書には薄夫人の資産管理をしていたフランス人の名前もあった。
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実は、習氏の親族の件はすでに米国紙が報じており、さほど衝撃はない。今回、話題になった人物はジャスミン・リーこと李紫丹さん。前政治局常務委員・賈慶林(か・けいりん)氏の外孫という赤い血筋、24歳という若さ、米スタンフォード大卒の才色兼備。大学在学中にペーパーカンパニー2社の株主になり、北京にある子会社のコンサルタント会社を支配している。
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中国ではコンサルタント会社は国有企業が政治家に「利益輸送」をする仲介をするといわれている。現在ニューヨークで芸術関係の仕事をしているという李さんは昨年、香港で最高級のマンション1戸を約54億円で購入し、話題になった。
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中共打倒の大陰謀も?
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もしもジョン・ドウに政治的意図があったとすれば、習主席個人に対する攻撃ではなかろう。もっと大きい。共産党の幹部がオフショアのペーパーカンパニーを使って巨富を生み出す仕組みを暴露して、中国共産党を打倒する大陰謀ではないか。
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そのような陰謀を中国語では「和平演変」(平和的手段による体制転覆)と名付け、以前から習近平政権は「欧米の和平演変工作を警戒せよ」というキャンペーンをしてきた。だとすると世界同時多発スキャンダルの究極の焦点は、やはり中国、そしてロシアか。あな恐ろし。
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本紙は一部納得し、一部懐疑的に見ている。パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」は、新規開拓をするなら中国が一番と、中国共産党の幹部と親族をターゲットにしたことで扱い金額と顧客数が群を抜いているのだろう。
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共産国は、自分が影響力のある間に如何に懐を豊かにするか、利益分散し派閥の人間にも私財を貯めるならこのような方法と伝授することが自らの身を守ることになる。他派閥の人間がトップになることで、失脚させられ、財産や命も狙われる。中国の毛沢東主席から鄧小平に至る間はタックスヘイブンで利用する金は少ないが、政経二分で経済に比重を置き始めた鄧小平以降は経済とともに金も動き、袖の下も大きくなりタックスヘイブンが大きく利用され始めたという事。
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中国共産党の歴代幹部は、盗賊貴族と言っていいだろう。賄賂で私腹を肥やす規模がはした金でない「百億というとてつもない金額」なのだ。欲もここまで来ると、強盗に分類しても良いくらいだ。
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こういうことを聞いた軍部下士官や共産党地方幹部が「私腹を肥やすことに熱中」するのは理の当然であり、習近平主席がいくら摘発を進めても、嵐が収まればすぐ幹部強盗が芽をだし、盗賊貴族は跋扈する。
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