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土地のかさ上げに使用!
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処分費用を浮かせたかった!
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土中に墓石を不法投棄したとして、県警は6月11日、北九州市若松区の土木工事会社「貝掛商会」代表、貝掛真人容疑者(70)を廃棄物処理法違反の疑いで逮捕した。
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逮捕容疑は2015年7月、同市八幡東区の住宅地で、同社が駐車場の造成工事をしていた土中に、霊園の解体作業で出た墓石53個(約5.3トン)を従業員らと共謀し埋めた。墓石で土地をかさ上げしたとみられる。
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県警によると、貝掛容疑者の会社は当時、同市内の霊園の解体工事を請け負っており、貝掛容疑者は「事実間違いありません」と容疑を認め「処分費用を浮かせたかった」との趣旨の供述をし、容疑を認めている。
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昨年11月に別の業者が駐車場を宅地に造成する工事の際に見つけ、警察に通報した
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警察の調べに対し、貝掛容疑者は「事実間違いありません」と容疑を認めていると言うことです。
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警察によりますと、墓石などは最終処分業者に処理を依頼しなければなりませんが、貝掛容疑者はそれをせず土地のかさ上げに使っていたということで、今後、墓石を捨てた経緯などについても追及する方針です。
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貝掛容疑者の土木会社は、その工程を省いて地中に埋めることで処分費用を浮かせたわけだ。
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一見小さな出来事のようだが、今後は山奥の廃村などが捨場として狙われはしないか。
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団塊の世代の大量退職で、墓探しの困難さや墓は要らない論、墓守不在問題などで樹木葬など、墓をめぐる考え方も変化している。
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墓石のリサイクルもあるが、宗教的な感情対象物のため「全てが破砕してリサイクル」されているわけでもない。
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しかし、「墓じまい」をするケースも多く、それに伴う墓石の不法投棄は2010年前後から全国で問題視されている。墓石店も、墓を新たに作らない、墓が売れない時代が到来し「今後も増える可能性がある」と指摘している。
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不要になった墓石は産業廃棄物だが、最終処分場にそのまま持ち込むことはできない。細かく粉砕して破棄する必要があり、その設備・能力を持つ墓石の加工・販売業者が取り扱うのが通常だ。墓石の再利用のケースは「あるにはあるが、ニーズが少ない」のが実情。ほとんどは粉砕され、廃棄されていく。その件数は近年、急増しているという。
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「昔のように月に何十、何百と墓石が売れる時代ではない。お盆のお墓参りや、毎年高くなるお寺へのお布施など、先祖の墓を受け継いだ団塊世代は苦労してきた。そんな“不条理”を自分の子供に背負わせない選択をする人が増えた」
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新しい墓を作らない。新しい墓を作ろうとしても寺院に空きスペースがないため、最近は墓を買わず、永代供養の納骨堂を選ぶ人が多くなっている。また、核家族から始まり、少子高齢化に突入した結果、墓を守る子孫が絶え始め、今ある墓を処分する「墓じまい」の動きが広まっている。北九州の事件の発端も「墓じまい」にある。
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「墓石に使う大理石は中国で1個20万円で仕入れて、輸送費や加工賃などが上乗せされて、販売価格は250万~300万円くらいになる。しかし、売れなくなったことで、価格がどんどん下落し、葬儀場などを経営している大手を除いて、打撃を受けた小さな店はどんどん潰れていった」
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墓じまいの動きが加速していけば、不法投棄が増える可能性も高くなる。今回の事件は、宅地を駐車場、駐車場を宅地に土地用途を変えたことでたまたま不法に埋め込まれた墓石が発見されたが、墓石の不法投棄が今後増えていった場合、過疎化の土地が不法投棄場所に狙われる恐れもある。
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