石油元売り8社を家宅捜索:軽油の大規模カルテル!

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公取委が強制調査・刑事告発視野に!
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物流費上昇一の因か!
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運送事業者など法人契約者向けの軽油販売を巡り価格カルテルを結んだ独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いがあるとして、公正取引委員会は10日、石油元売り大手や総合商社の系列でガソリンスタンド(GS)を運営する8社を強制調査した。
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強制調査の対象は、東日本宇佐美(東京都)▽太陽鉱油(同)▽共栄石油(同)▽ENEOSウイング(名古屋市)▽エネクスフリート(大阪市)▽新出光(福岡市)▽キタセキ(宮城県)▽吉田石油店(香川県)――の8社。公取委は10日に各社の本社や支店などを強制調査していた。
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検察当局への刑事告発を視野に調査を進める模様だ。
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軽油はトラックなど大型車に利用され、市場規模が大きく、値段は近年高止まっている。公取委は、カルテルの疑いは悪質で、行政処分を前提とした調査では不十分と判断。刑事事件を前提とした「犯則調査権」に基づく強制調査で、検察への告発を視野に実態解明を進める模様だ。犯則調査権の適用は東京五輪談合事件以来約3年ぶり。
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関係者によると、8社の営業責任者らは長期間にわたり、定期的に会合などを行って情報を交換。東京に事業所がある運送・建設業者などに販売する軽油に関し、価格カルテルを結んでいた疑いがある。8社は少なくとも市場の過半のシェアを占めるという。
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軽油はコロナ禍後に需要が回復し、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻に伴う原油の供給不安や急激な円安により、価格が高騰している。資源エネルギー庁によると、今年4月中旬の軽油小売価格は1リットルあたり166.2円で、20年5月から約1.5倍に上昇している。
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政府は軽油やガソリンなどの燃料価格を抑えるため、22年1月以降で計8兆円余りの補助金を費やしている。カルテルの影響で価格が高止まりしていた恐れがある。
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《犯則調査権》
裁判所の令状に基づき強制的に捜索や差し押さえができ、検察当局への刑事告発を目指して調査を行う。悪質な価格カルテルや入札談合などで、行政処分では改善が困難と判断された事案が対象になる。
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