【勝手放談】ゼネコンも体質が変わり・劣化してきた?!

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施主は工期短縮を要求!
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名義人は仕事が来るのが当たり前と!
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下請発注は資材・購買部が権限強化!
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現場所長の仕事は何?
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ゼネコン各社の技術革新披露が各社のホームページに掲載され、人手不足の一部を担っているように見える。確かに技術は進歩していくだろうが、全現場で採用される汎用技術とは言い難い。
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技術革新もさることながら、ゼネコン各社の下請(主に名義人)発注は資材部、購買部が金額と業者選定を一手に握っている。大手ゼネコンになるほど本社が権限を握り、各支店の権限はほぼゼロに近い。
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現場所長が持っていた子飼いを引き連れて、、、などという話は100%ない。現場も、所長が下請名義人の担当者に「おはようございます」と自ら声をかけ「○○さん」と呼びオイなどとという言葉は使っていない。というほど変わってきたのだ。
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別に悪いことではないのだが、、、。
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ゼネコンの若い職員も、官庁工事は土、日、祝祭日は休みであるが、民間現場は日、祝祭日以外は施工しているところが多い。所長が若い職員に今週土曜日は(休むなよ)、、、と声をかけると「資格試験の勉強なので休みます」とすかさず返ってくる。若い現場主任がいとも簡単に休んでしまうのだ。
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平日でも、「育児休暇取らせてもらいます」と休んでしまう。会社側が推奨しているので現場として拒否はできないのだ。育休は1、2日の短期でなく1か月の長期にわたることもある。現場職員はギリギリの人数でやっており、そう簡単に補充は出来ない。結局、同僚や中間管理、所長などが穴埋めをしている。
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見本のような現場が出てきた。
2023年4月17日、大成建設施工の「(仮称)札幌北1西5計画」で鉄骨建て方等で精度不良が見つかり建て直しのための鉄骨解体が着手される。大成建設は既に15階まで組上っていた躯体の解体の解体、撤去費、再施工費用、引き渡し遅延に伴う28か月分の違約金など、工事の関連費が約240億円になると公表。取締役及び執行役員の報酬を2023年4月から3ヶ月間返上した。
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この建物は、NTT都市開発が発注し、複合ビル(北棟 B1-26F オフィスとHOTELハイアット セントリック札幌と南棟 B2-7F)2棟が建つ。これにより2024年2月竣工予定が26年6月末に延期された。
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発端は、発注者の担当が現場巡回時(23年1月5日)に鉄骨柱の接合部ボルトの穴がずれているのを発見し、大成建設の現場事務所に指摘したことから始まった。これにより、大成札幌支店の品質管理部門が鉄骨の全調査を始めた。
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調査の結果、鉄骨の使用部分754カ所で柱の傾き限界許容差を平均4mm、最大21mm超過、スラブ厚の不足が570カ所のうち245カ所が平均6mm、最大14mm、基準より薄かった。
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大成建設の現場事務所が鉄骨の建て入れ精度の計測値などを改ざんし、実際とは異なる数値を発注者や工事監理者に報告していた。
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大成建設は、鉄骨精度測値を改ざんして発注者に報告していた。建築部門責任者の寺本剛啓取締役専務執行役員建築総本部長兼建築本部長と平島信一常務執行役員札幌支店長からの辞任の申し入れを、3月16日に受理した。
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発注者 NTT都市開発 のコメント

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設計監理を担当した 久米設計 のコメント

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技術記事では
「鉄骨精度のチェックはまず、元請け業者の設計担当者と施工設計担当者→鉄骨工事発注者→鉄骨工事図面担当者→元請け業者の図面担当者と設計担当者というプロセスで行われる。
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次に、元請け業者の設計担当者と施工担当者、鉄骨工事を担当する業者が確認するという流れになる。各段階で正確にチェックしていればいいが、昨今は人手不足や資材高騰などもあるためか余裕のない現場が多く、チェックがおざなりになってしまったと考えられる」
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なぜ基本が守られないのか?
単純な答えは、
人手不足とモチベーションの低下だ。本社がすべてを仕切り、工事監督がもっていた発注先や職人選抜などの権限は、今では夢物語。現場所長の権限がゼロとなり、工期履行の厳命が肩に重くのしかかる。工程管理・工期管理だけを行うのが所長の仕事となっている。
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今の若者は「現場所長にはなりたくない」「責任を取りたくないから上を望まない」という風潮だ。なんの権限もないけど、責任だけは、、、。これでは、ゼネコンも劣化の一方だろう。
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まさかスーパーゼネコンでこのようなことが起こるとは、と思うかもしれないがこれも現実なのだ。
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