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提言も度を過ぎれば暴言に!
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山内氏の時代は現代にマッチしない部分も!
老兵は消えゆくのみ!
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大成建設の山内隆司前会長(78)が不当に名誉顧問職を解かれたとして、解雇の無効確認を求める訴訟を東京地裁に起こしたことが5月28日、分かった。提訴は4月18日付。大成建設は「訴訟中につき詳細は控える。当社の主張は司法の場で明らかにしていく」としている。
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訴状によると、2023年6月に名誉顧問に就任した山内氏は業績が低迷しているなどとして経営陣に改善を何度も要求。山内氏は24年7月に解雇された。山内氏は建築工事の受注に向けて営業活動をするなど会社に利益を与えていたと主張し、解雇は無効な処分だと訴えている。
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2024年6月の株主総会でも批判を繰り広げ、翌7月に解雇を言い渡されたとして、解雇は「報復」で無効な処分だと訴えている。
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原告となった山内隆司氏(78)。社長、会長を歴任し、大成建設のトップとして2023年までの16年の長きにわたり同社を率いた大物OBである。
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経済誌の報道によると、「現任の相川善郎社長の周りにはイエスマンしかいない。このままでは大成建設は業界トップに返り咲くことはできません。私は会社を救うため、あえて訴えを起こしたのです」(山内氏)
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苦言の最高潮は、大成建設の6月の定時株主総会。その会場で一悶着が起きていた。
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「株主総会を乱すようなことはやめてください」「このまま続けると退場させますよ」。司会者から注意を何度も受ける男性。だが男性は静まることなくまくし立てた。
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「会社は業績を落としている。利益が落ちている。品質問題も複数起きている。社長の責任だ。社長は辞めるべきだ」
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「会社は業績を落としている。利益が落ちている。品質問題も複数起きている。社長の責任だ。社長は辞めるべきだ」
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男性の正体は、山内隆司氏(78)。建設業関係者ならば、この名前を知らない者はいないだろう。大成建設で2007年から社長、2015年から会長を務め、選別受注を徹底し同社の業績を立て直した立役者だ。
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山内氏は一株主として株主総会に出席。質疑応答の時間になると、間髪を入れずに手を挙げて発言し、相川善郎社長(三菱重工元社長・会長の次男)への非難を繰り返した。会場内が騒然とする中、狼藉は後に続いて質問しようとした一般株主にも向けられた。
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「先ほど発言されたのは、元経営者とお見かけする。そんな方が会社を批判するような発言を繰り返していいのでしょうか」。一般株主がたしなめたところ、「山内氏はこの株主にもくってかかった」と、大成建設の株主でもある市場関係者は話す。
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「大成建設はここ数年、利益を落としていた。会社を立て直した実績のある山内氏からすると、歯がゆかったのだろう」(市場関係者)。
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騒動を前に相川社長は終始冷静だった。そして静かに、次のように応答した。
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「会社の利益だけを重視するのではなく、われわれが求めているのは、顧客に対する新たな価値の創造や社員・お取引先の1人ひとりが活躍できる職場環境の実現です。(山内氏の発言内容は)われわれが目指すマテリアリティー(重要課題)とは違います」
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市場関係者は「相川社長は『水掛け論』には持ち込まなかった。落ち着いていた」と振り返る。山内氏は最後は席に着いて、おとなしくしていたそうだ。
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この総会後、山内氏は名誉顧問の職を外された。「もう大成建設とは関係のない人」「部外者」と、市場関係者は素っ気ない。
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山内氏を知る人々の間ではその性格の熾烈さが知られている。
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会長になってからも全国各支店を回り幹部と面談。幹部との間で取り交わした施策やエンゲージメント(約束)をノートにびっしりと書いていた。「そのノートに書き込まれたことは絶対に遂行しないとやばい。『デスノート』と恐れられていた」(大成建設の中堅社員)。
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株主総会での指摘には頷けるところもある。一方で「山内氏の厳しい姿勢が(社内の硬直化といった)弊害を起こした側面もある」(同)との声が聞かれる。
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山内氏が怒りの声を上げた原因となった業績には改善の兆しがみられる。
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2024年度は売上高1兆9900億円、営業利益870億円と増収増益を見込む。2023年度は都内の建築工事で多額の工事損失引当金を計上し、営業利益が264億円だった。直近ピークの2017年度1818億円から8割減の水準に急降下していただけに改善幅は大きい。
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11月の中間決算時には純利益の上方修正を行った。従来計画の650億円から830億円へ大きく上振れする見通しだ。政策保有株の売却益を特別利益として計上したことが寄与する。
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この状況を株式市場は好感した。しかし、決算をつぶさにみるとけっして楽観視できる状況ではないことがわかる。
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大成建設の2024年4~9月中間期の建築事業は、粗利率が連結ベースで4.8%、単体ベースでは3.8%でしかなかった。同じスーパーゼネコンと比較すると、鹿島が8.8%(単体ベース)、大林組が6.6%(同)、清水建設も6.1%(同)だった。大きく見劣りしているのは明らかだ。
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中野雄一経理部長は「建築については東京五輪後の受注が厳しいときに受注した案件や資材高の影響を受けている案件が、利益率が回復してこない要因になっている。今後は受注時採算がいい案件に入れ替わっていく。2025年度は利益率8%程度を目指したい」と説明する。
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