東京・江戸川区:5年間で1123件の不適切工事・契約!

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江戸川区議会で追及・チェック機能の強化必要!
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発注者の勝手都合で分割!
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東京・江戸川区で行われていた“不適切な工事契約”を巡って、斉藤猛区長は2月19日に開かれた区議会で「契約を通じて提供する行政サービスは法令順守を前提に成り立つものだと認識し、適正な契約事務を行っていきたい」と述べ、改めて再発防止を徹底する考えを示した。
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この問題については、一般競争入札による契約が必要な工事発注を「入札の必要がない130万円未満」になるよう分割して発注していた契約が5年間で1123件あったことが全庁調査によって明らかになっています。
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2月19日の区議会代表質問で笹本尚区議が「監査事務局が長年、多くの所管で行われてきた事案を指摘できなかった事態が深刻度合いを物語っている。今こそ勇気を持って監査制度を抜本的に改革すべきタイミングだ」と述べるなど、5年間見過ごしてきた監査について見直すべきなどの指摘がされました。
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これに対し、区の監査委員事務局長は「不適切な契約事務が繰り返し行われてきたことは深刻な事態であり、大変重く受け止めている。今後は監査の在り方を強化するとともに、組織内部のチェック機能の強化が必要だと考えている」と答弁した。
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江戸川区は調査や再発防止策を検討する第三者委員会の設置や、区長らの給料減額の処分を行うとしている。
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区の詳細発表内容は以下の通り
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2025年2月3日 江戸川区 発表
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【不適切な分割発注に関する調査結果】
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令和6年9月に実施した定期財務監査において、本来一体的に発注すべき工事を、一般競争入札を避け随意契約を行うために不適切に分割して発注していた事案があることが判明しました。また、その後の区の調査でも、複数の部署において不適切な分割発注が確認されました。
区民の皆さまや関係者の皆さまに、多大なご心配をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
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区は今後、第三者検証委員会を設置し、原因の検証と再発防止策の検討を行ってまいります。
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1 学校施設の請負工事契約における不適切な分割発注
令和6年9月に実施した定期財務監査において、学校施設の請負工事契約の中に、同一事業者に同一金額で不適切に分割発注していた契約のあることが発覚しました。区教育委員会は、検証チームを立ち上げ、当該契約の検証及び令和5年度に学校施設課(以下、主管課という)が発注した学校施設の工事1,458件を調査しました。
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(1)定期財務監査で指摘された学校施設の請負工事契約
対象の工事
区立平井東小学校の渡り廊下の新設工事
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概要
令和4年度末に、区立平井東小学校から「既存校舎とすくすくスクール(学童クラブ)の建物の間を行き来する児童が、雨に濡れず、靴を履き替える必要がないように、できれば5月上旬頃までに渡り廊下を設置してほしい」という要望がありました。
この渡り廊下の新設には、建築基準法に定める手続き等が必要であり、また、契約予定金額(1,557万6千円)が規則で定める130万円を超えていたため、一般競争入札による契約締結の手続きが必要でしたが、いずれの手続きにも多くの時間を要することが想定されました。
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主管課は、児童のためには迅速に本工事を施工する必要があると考え、随意契約が可能で検査も主管課にて行うことができる主管課契約となるように、1件当たりの予定価格が130万円未満になるよう12分割して、同一事業者に同一金額(129万8千円)で発注しました。
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本工事については、随意契約制限を免れるための分割である点、また実態として同一の建物の工事で工期も連続しているものを分割している点などから、分割して発注する合理的理由はなく、本来一体的に発注しなければならない工事であると認められ、地方自治法等に違反する可能性が高いものであると判断されます。
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(2)令和5年度の学校施設の工事(計1,458件)における調査結果
調査結果
1,458件のうち、不適切に分割発注したと認められる工事は、上記の工事を含め145件確認されました。
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不適切な分割発注を行った主な要因
学校からの工事の要望は、空調機器の故障や新年度における学級数の増加対応など、児童・生徒の健康や学習環境に係る切実なものが多くありました。
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主管課も分割発注が不適切であることを認識していましたが、児童・生徒のためであればやむを得ないという誤った認識が優先され、法令順守の意識が欠けていました。
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他に適切な手法がないかなどの検討も不十分であり、前例踏襲が繰り返される中で、事務的に簡易な発注方法として選択肢の一つであるとの認識を持ってしまっていました。
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2 区全体の契約における調査
上記を受けて、契約文書の保存年限である過去5年間分(令和元年度~令和5年度)の区全体の契約について調査を行いました。対象となる契約は工事契約、物品購入契約などを含め計147,481件です。
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(1)全庁調査の結果
調査方法
調査は各課が契約関係書類の原本を確認の上、回答するとともに、分割発注の件数が多い課には理由や経緯などを聞き取りました。また、工事請負契約の受注業者102社に対して、文書による調査を実施しました。
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調査結果
不適切に分割発注したと判断される請負工事は8,439件のうち、1,123件(13.3%)確認されました。またそれ以外にも、不適切な分割発注にあたる疑いがある案件が、年間単価契約工事(年度当初に工事単価を契約する工事)計12,370件のうち464件(3.75%)
、物品の購入計126,672件のうち55件確認されました。
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不適切な分割発注が行われた請負工事の主な要因
・緊急性が認められるが、誤った認識で分割発注したもの
・児童生徒・園児の安全・健康上の問題から速やかに対応を要するもの
・教育活動のために速やかな対応が必須であるもの
・緊急性は認められないが、急を要するという認識で分割発注したもの
・照度不足の照明機器具の交換工事等により、教育・保育環境を整備するもの
・学校・保育施設の床・壁・天井の補修等により安全性を確保するもの
・防砂・防球ネットの設置工事等により、周辺住民の要望に対応するもの
・その他、蛍光灯のLED化、学校施設のIT化や便器の様式化等、区施策を推進するもの
いずれにおいても、担当課は分割発注が不適切であることを認識していましたが、子どもたちのため、区民のためであればやむを得ないという誤った認識が優先され、事務的に簡易な発注方法の一つであるとの誤った認識のもと、慣習的に不適切な分割発注を行ってしまっており、法令順守の意識が欠けていました。
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なお、調査では職員と業者の間で金品やサービスの提供など癒着と疑われる事実は確認されませんでした。
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3 今後の対応について
第三者検証委員会
「(仮称)江戸川区不適切契約事案の検証及び再発防止対策検討委員会」を附属機関として設置する条例改正を、2月14日に開会する令和7年第一回定例会に上程する予定です。
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委員会は日本弁護士連合会の「地方公共団体における第三者調査委員会調査等指針」に則り、公正・中立な第三者で構成するものとし、委員は、弁護士や外部有識者など5名程度に委嘱します。
条例改正の議決後、第1回を開催し、以降半年程度の間に数回開催します。
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委員会にて不適切契約事案の事実調査、原因等の検証、再発防止策の検討などを行い、報告書を提出してもらいます。
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特別職の給料減額
区長の3か月分の月額給料を10%減額、副区長・教育長の3か月分の月額給料を5%減額とする条例を令和7年第一回定例会に上程します。
また、関わった職員の処分についても、今後、第三者検証委員会の結果を踏まえて該当があれば、適正に対処します。
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